2016.07.22

実現すれば史上最高額の移籍金…『1億ポンドの男』ポグバってどんな選手?

ポール・ポグバ
マンチェスター・Uへの移籍報道が加熱するポグバ [写真]=Getty Images
サッカー総合情報サイト

 9200万ポンド(約130億5000万円)。一人のサッカー選手に付けられた値段が「高いのか、安いのか」をめぐって、サッカー界で論争が巻き起こっている。

 プレミアリーグのマンチェスター・UがセリエAのユヴェントスから、かつてクラブに在籍していたポール・ポグバを連れ戻そうとしている。前述の金額はイギリス紙『ガーディアン』による移籍金の予想だ。もしもこの取引が成立すれば、レアル・マドリードが2013年夏にギャレス・ベイルを獲得する際にトッテナムへ支払った金額を上回り、移籍金の史上最高額が更新される。

ギャレス・ベイル

現在の移籍金最高額とされるベイル(レアル・マドリード) [写真]=Real Madrid via Getty Images

 23歳ながらイタリア王者の主力として4シーズンを戦ったその才能は誰もが認めるところだが、『史上最高額』での移籍には一部で「高額過ぎる」との声も上がっている。元フランス代表のティエリ・アンリ氏が「史上最高のMFの1人になれる選手だ」と絶賛する一方で、同じく元フランス代表のエマニュエル・プティ氏は「もし1億ポンドあるなら、私はルイス・スアレス(バルセロナ)を買う。ポグバには素晴らしい未来が待ってるが、まだ国際レベルには達していない」とその金額に疑問を呈した。

 そもそも、マンチェスター・Uがこれほど高額な移籍金を支払ってまで買い戻そうとするポグバとは、いったいどんな選手なのだろうか。『1億ポンドの男』のキャリアを振り返ってみる。

ポール・ポグバ

現在はユヴェントスでプレーするポグバ [写真]=Getty Images

 1993年3月15日、ポグバはフランス・パリ近郊のラニ・シュル・マルヌでギニア人の両親のもとで生を受けた。双子の二人の兄の影響でサッカーを始めると、地元クラブを経てル・アーヴルの下部組織に在籍。フランス世代別代表での活躍もあり、2009年にマンチェスター・Uの下部組織へ引き抜かれた。

ポール・ポグバ

世代別代表での活躍もあり、マンチェスター・Uの下部組織へ加入した [写真]=Bongarts/Getty Images for DFB

 2011年2月、当時の指揮官アレックス・ファーガソン氏に実力を買われてトップチームへ招集され、2011年9月のリーグカップ・リーズ戦でトップデビュー。リーグ戦でもベンチ入りの機会が増えると、このタイミングで中盤にケガ人が続出する。いよいよポグバにも出番がまわってくるかと思われたが、2012年1月、前シーズンで現役を引退していたポール・スコールズが電撃復帰。スコールズにチャンスを“奪われる”格好になると、2011-12シーズンはプレミアリーグ3試合に途中出場するのみとなった。出場機会を求めるポグバは、同シーズン終了後に満了を迎えるマンチェスター・Uとの契約を延長せず、ユヴェントスへの移籍を選択。もっとも、ファーガソン氏自身はポグバを高く評価していたというが、当時19歳の若者にすぐさま出場機会を与えなかったことで、クラブは後々大きな出費を強いられることになるようだ。

ポール・ポグバ

ファーガソン氏からは評価されていたものの、十分な出場機会は与えられなかった [写真]=Man Utd via Getty Images

 イタリアへ新天地を求めたポグバは、アントニオ・コンテ監督(現チェルシー)の下、アンドレア・ピルロ(現ニューヨーク・シティ)、アルトゥーロ・ビダル(現バイエルン)、クラウディオ・マルキージオに次ぐ4番手として出場機会を増やし、移籍1年目から公式戦37試合に出場。第8節のナポリ戦で豪快なボレーシュートを突き刺してセリエA初ゴールを記録すると、第21節のウディネーゼ戦では圧巻のミドルシュートを2本沈めるなど、5ゴールを奪う活躍を見せた。2年目以降は完全に主力として定着し、セリエA切ってのスタープレーヤーへと変貌を遂げた。

セリエAデビューから4試合目で初ゴールをマークした [写真]=Getty Images

セリエAデビューから4試合目で初ゴールをマークした [写真]=Getty Images

 ポグバの特徴といえば「フィジカルの強さ」が挙げられる。190センチ近い身長、相手DFのタックルを受けても弾き返す体の強さ、無理な体勢でもボールをコントロールするボディバランス。ピッチの真ん中を支配する姿から、同郷の大先輩であるパトリック・ヴィエラ氏(現ニューヨーク・シティ監督)になぞらえ“ヴィエラ2世”と呼ばれることもあった。しかし、ポグバのプレースタイルはシーズンを追うごとに変化を遂げる。

 元々、高いテクニックを備えた選手ではあったが、13-14シーズンから14-15シーズンにかけて局面を打開する能力が開花し、より攻撃的な選手へと成長した。左インサイドハーフでの出場が最も多く、局面によってはサイドハーフのように張り出してチャンスを生み出す。また、“ピルロ仕込み”の浮き玉のパスにも磨きがかかり、ペナルティエリア手前から浮かせたボールを供給することも増えた。柔らかなボールタッチと相手の寄せをものともせずにドリブルでかわしていく様子から、今やジネディーヌ・ジダン氏(現レアル・マドリード監督)と比較する声まである。

徐々に“崩し”の場面での貢献度が増した [写真]=Getty Images

徐々に“崩し”の場面での貢献度が増した [写真]=Getty Images

 しかし、フランス代表として出場した母国開催のユーロ2016では、決勝でポルトガル相手に敗戦。準決勝のドイツ戦を除いて目立った活躍ができなかったことで、「過大評価」と揶揄されることとなった。その原因として考えられるのは起用されたポジションと、ボールの配給役の不在だ。所属するユヴェントスでは中盤が3枚の選手で構成され、マッシミリアーノ・アッレグリ監督はポグバにある程度の自由を与えている。マルキージオやサミ・ケディラが試合の組み立てを担い、ポグバは“崩し”の局面で実力を発揮している。だが、フランス代表では主に4-2-3-1のシステムが採用され、2ボランチにはポグバとブレーズ・マテュイディ(パリ・サンジェルマン)が入った。相棒のマテュイディは縦横無尽にピッチを駆け回るタイプの選手であるため、ポグバは中盤の低い位置まで下がってビルドアップに奔走。ペナルティエリア付近でボールを持つ機会は少なかった。

フランス代表では不慣れなポジションで起用され、真価を発揮できなかった [写真]=Icon Sport via Getty Images

フランス代表では不慣れなポジションで起用され、真価を発揮できなかった [写真]=Icon Sport via Getty Images

 もしもマンチェスター・Uへの移籍が実現した場合、ジョゼ・モウリーニョ新監督はフランス代表と同じく4-2-3-1を採用することが予想されている。選手の組み合わせや戦術にもよるが、試合を組み立てられる選手が不在の中でポグバが2ボランチの一角で出場することになれば、ゴール前に顔を出す場面は必然的に減ることになる。ポグバがユヴェントスと同じように輝きを放つことは容易ではない。

 ポグバが持つ数多くの武器は、チームメイトとの高い連携、周囲の選手との相性、そして指揮官の理解があってこそ発揮される。それらが噛み合わなければ、マンチェスター・Uにとって“高い買い物”になってしまう可能性も十分に考えられる。果たしてポグバはユヴェントス残留を選ぶのか、それとも新たな挑戦を選ぶのか。サッカー史に残る去就問題は、ユーロ出場組がバカンスを終える8月上旬までには決着が付きそうだ。

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