2016.05.21

これを読めばすべてわかる! セリエA 15-16シーズン「全クラブ通信簿」(1位~10位編)

ユヴェントス
2015-16シーズンのセリエAを制したユヴェントス [写真]=Anadolu Agency/Getty Images
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 今シーズンのセリエAの序盤戦を振り返ってみると、フィオレンティーナが16年ぶりに首位に立ったり、近年低迷を続けていたインテルがトップを走ったりと、例年とは違う顔ぶれが前半戦の上位争いを彩った。また、中小クラブのサッスオーロが大健闘を見せ、カルピとフロジノーネという2つのクラブがセリエAに初参戦したことなど、見どころは色々とあった。

 しかし、最終的にスクデットを勝ち取ったのはユヴェントス。シーズン序盤は負傷者が続出したことや、新戦力の適応が遅れたこともあり低迷したが、中盤以降は28試合で26勝1分け1敗と他を圧倒。1930-35年以来、2度目の5連覇という偉業を達成した。結局、今シーズンのセリエAもユヴェントスの強さだけが目立つシーズンだった。

 そんな2015-16シーズンのセリエAを改めて振り返ってみる。

Juventus v FC Bayern Muenchen - UEFA Champions League Round of 16

■1位:ユヴェントス(100点)

 5シーズン連続のスクデット獲得という幕切れに、今年も結局、結果的にこうなったという感が否めない。安定しすぎた強さで、クラブとしての能力の高さと、ユヴェントスの一員という選手、監督、スタッフらの自信があふれた一年だった。

 マッシミリアーノ・アッレグリ監督の2年目は昨シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝で敗れたメンタル的なもの、またフィジカル的な疲れを背負ってか、第10節終了時で勝ち点12という散々なものだった。しかし、スタートダッシュの失敗に“ユーヴェ帝国崩壊か”と叩かれる中、チームは次第に落ち着きを取り戻していく。

 ジャンルイジ・ブッフォンは第19節サンプドリア戦の失点後、連続無失点記録を3月のトリノ戦で更新。974分間という新記録を達成した。シーズンの総失点「20」は上位チームの中でも断トツに低い。ブッフォンとともにベテランDFアンドレア・バルザーリも2018年までクラブとの契約を更新した。クラウディオ・マルキージオ、レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニら“ユーヴェ・スピリット”を受け継ぐ選手たちとポール・ポグバ、パウロ・ディバラら若手攻撃陣の融合で、常勝軍団の勢いは止まりそうにない。

SSC Napoli v AC Milan - Serie A

■2位:ナポリ(90点)

 ユヴェントスとのスクデット争いが期待されたが、今年に入って少しペースが落ちてしまい、周囲からの期待とプレッシャーからかナーバスになる場面も多く見受けられた。マウリツィオ・サッリ監督がコッパ・イタリア準々決勝で対戦相手インテルのロベルト・マンチーニ監督に「ホモ野郎」と暴言を吐いた。またゴンサロ・イグアインが、逆転スクデットに望みをつないでいた4月のウディネーゼ戦で2度のイエローカードを受けて退場。その際、主審に激怒し胸を突き飛ばすなどの態度から4試合の出場停止処分(後に3試合に軽減)を食らった。

 得点ランキングを独走し、36ゴールでセリエA新記録を叩きだしたイグアインはナポリの原動力となったが、出場停止処分の間の第33節はインテルに1-0と完封負けした。ただ、第34節のボローニャ戦では6-0と大勝し、ナポリはイグアインだけではない爆発的な得点力を持っていると証明した。

 サッリ監督をクラプに迎えたアウレリオ・デ・ラウレンティス会長の見る目の高さも突出している。地味ながら地方クラブのエンポリを指揮し、戦術的にも能力が高いと言われていた同監督をためらいもなくクラブに迎えた。エース・イグアインの残留は難しいところだが、歴代のナポリ指揮官が超えられなかったCLの壁をどう崩すかで、サッリ監督の真価が問われる。

AS Roma v Bologna FC - Serie A

■3位:ローマ(85点)

 今シーズンのポイントは2つある。1つは、1月のリュディ・ガルシア監督解任というジェームズ・パロッタ会長の英断と、ルチアーノ・スパレッティ監督の起用だった。ガルシア監督は今シーズン、結果を出さなければならない就任3年目を迎えた。しかし年明け1月の時点で5位に後退したチームに、早急に何らかのテコ入れが必要だと考えた会長ら幹部が呼んだのがスパレッティ監督だった。

 これまでにローマ(2005年から2009年まで)、ロシアのゼニトで積んだ経験から、スパレッティ監督はすぐさま改革に乗り出し、ローマを浮上させた。そして終盤から最終節までナポリと2位争いをするほどチーム力を高めた。しかし、セリエA界に存在する“唯一のバンディエラ”フランチェスコ・トッティが、リスペクトされていない待遇に不満をもらす。2つ目のポイントがトッティだ。

 一時は空中分解しそうな関係だったが、同監督はトッティをゲームの重要な場面で起用し、それが当たる。4月のトリノ戦ではトッティが残り4分間のプレーで2得点を挙げて逆転勝利に導くなど、途中出場での活躍が目立った。そして5月のキエーヴォ戦ではセリエA通算600試合出場を達成。これはパオロ・マルディーニ氏、ハビエル・サネッティ氏に続く歴代3位の記録となった。39歳のトッティの今後に注目が集まっている。

Juventus FC v FC Internazionale Milano - TIM Cup

■4位:インテル(75点)

 ロベルト・マンチーニ監督がエリック・トヒル会長に要求し、自分の獲りたい選手を次々と呼んで、満を持して臨んだシーズンだった。センターバックにミランダとジェイソン・ムリージョ、また攻撃面ではアダム・リャイッチにステヴァン・ヨヴェティッチ、イヴァン・ペリシッチらが加入。目標はCL出場権の確保だった。

 長友佑都は戦力外としてベンチを温めたが、チームは序盤戦で首位争いを演じ、スクデット獲得を期待された。マンチーニ監督が敷いたターンオーバー制は成功しているように見えた。だが12月から2月にかけて、インテルは試合終了間際やアディショナルタイムに失点を許す、という悪いパターンにはまってしまう。12月の第17節ラツィオ戦は87分の失点で敗戦。1月の19節サッスオーロ戦ではアディショナルタイムに決勝点を奪われ、第21節でもカルピにアディショナルタイムのゴールで同点とされた。これらが響いて結果的にはCL出場権争いから脱落し、後味の悪い4位という成績に終わった。

 真のレギュラーが少なかった今シーズン、長友は中盤戦以降、マンチーニ監督の信頼を取り戻してサイドバックでの起用が多くなった。昨シーズンと違い、ケガが少なかったことも高く評価できる一年だった。長友個人には90点をつけたい。

Fiorentina v Tottenham Hotspur - UEFA Europa League Round of 32: First Leg

■5位:フィオレンティーナ(80点)

 CL出場権は獲得できなかったが、パウロ・ソウザ監督はスタープレーヤーのいないチームをうまくまとめ、全員が走り、パスを速くつなげていくサッカーで新しいフィオレンティーナを作り上げた。ヨシップ・イリチッチに加え、監督の強い希望で獲得したニコラ・カリニッチが13得点とブレイク。PKキッカーを務めるイリチッチと同数のゴールを記録したカリニッチが今シーズンの“新人王”なのは間違いない。

 序盤はソウザ監督の戦術がはまり、采配は見事だった。しかし、CL出場への期待が高まる中、少しずつ足踏み状態で勢いがなくなってしまったのが事実だ。シーズン56得点に対し、40失点は上位5チームの中でもバランスが悪く、失点を減らしていく策があれば結果は変わっていたかもしれない。前線には「10番」を託されたフェデリコ・ベルナルデスキという将来有望な若手もいる。ソウザ監督の2年目のチーム作りに期待したい。

US Sassuolo Calcio v Udinese Calcio - Serie A

■6位:サッスオーロ(95点)

 セリエAでは毎シーズン、サプライズを与えてくれるチームがある。つまり強豪ではないチームが上位に食い込んでくる現象だ。今シーズン、大きな驚きとなったのがサッスオーロだった。3年目を迎えたエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督は、プロヴィンチャ(地方)クラブでもヨーロッパのカップ戦出場が夢ではないと証明した。抱負な資金力を持ち、ディ・フランチェスコ監督を信頼して見守ってきたジョルジョ・スクインツィ会長の懐の深さも忘れてはならない。

 選手が少しずつ変わっても、“ゼーマン・サッカー”を継承する「4-3-3」の攻撃的な戦術はしっかり根付いている。ユヴェントスにシモーネ・ザザを放出した後、クラブの至宝ドメニコ・ベラルディがチームを引っ張った。最終節では、2013年9月に1-7と屈辱の大敗を喫したインテルに勝ち、シーズン・ダブルを達成。ユヴェントス(1勝1敗)などビッグクラブとも堂々と競り合った。イタリア4部リーグから怒涛の勢いで昇格を続け、最高峰のリーグで苦しみ続けてきたサッスオーロにとって、これまで積み上げてきたものが開花した一年となった。

US Sassuolo, FC Internazionale, AC Milan - TIM Preseason Tournament

■7位:ミラン(65点)

『Sette sorelle(セッテ・ソレッレ=7人姉妹)』と呼ばれるセリエAのビッグクラブの中で「最もがっかりしたで賞」を贈呈したい。サンプドリアで指導者として格を上げたシニシャ・ミハイロヴィッチ監督の下、開幕前の評判はよかった。しかし、プレシーズンマッチの成績はあてにならないというジンクスは本当だった。

 カルロス・バッカとルイス・アドリアーノの2トップがどれだけ攻撃面で貢献できるか、にかかっていた。バッカは17得点とそれなりの結果を出したが、ルイス・アドリアーノは4ゴールに終わった。そしてミランでの再出発を誓ったマリオ・バロテッリは11月に恥骨炎の手術を受けたこともあり、セリエAではたったの1得点。さらに、頼みの綱となった若いエムバイェ・ニアンが2月下旬、深夜に交通事故に遭って左足首と左肩を負傷し、全治2カ月の戦線離脱となった。ミハイロヴィッチ監督の計算は大きく狂い、結果として4月中旬に電撃解任される。32試合で勝ち点49という成績だった。ミハイロヴィッチ前監督の唯一のお手柄は、GKジャンルイジ・ドンナルンマを抜擢し16歳でセリエAデビューさせたことだろう。クラブ売却の話も本格的になってきており、まだまだミランの迷走は続きそうだ。

UEFA Europa League round of 32 - "SS Lazio v Galatasaray"

■8位:ラツィオ(70点)

 今シーズンの目標は、昨年に続きCL出場権を得ることだった。そして昨シーズンから在籍する多くのメンバーが主力として戦った。そんなラツィオはヨーロッパリーグでスパルタ・プラハに敗れると、セリエAの成績にも暗雲がたちこめる。4月3日の“ローマ・ダービー”では、スパレッティ監督就任で勢いづく新生ローマに1-4と惨敗し、クラウディオ・ロティート会長を激怒させた。そこでステファノ・ピオリ監督に変わり大抜擢されたのが、プリマヴェーラ(下部組織)でコツコツと修行をしていたシモーネ・インザーギ監督だった。

 4月10日の第32節パレルモ戦で3-0と快勝し、その後もエンポリ、カルピ、ホームのインテル戦で勝利を収めた。ユヴェントス、フィオレンティーナとの試合での負けは仕方がないとしても、4勝4敗はセリエAの監督一年目としては悪くない成績だろう。マルコ・パローロ、アントニオ・カンドレーヴァによる右サイドからの攻撃スタイルも確立されている。なお、ミロスラフ・クローゼは退団し、来シーズンの新監督としてアルゼンチン人のルイス・サンポーリ氏に就任オファーを提示している。

AC Chievo Verona v Frosinone Calcio - Serie A

■9位:キエーヴォ(75点)

 セリエAに定着したキエーヴォ。昨シーズン途中から指揮を執ったロランド・マラン監督の戦術が浸透して、今シーズンは9位という成績となった。チームが目標としていた勝ち点「50」にも到達し、シーズン終了後の17日、お祝いムードでクラブ関係者全員がそろったパーティーを開いた。ちなみにチームのセリエA最多勝ち点は2005-06シーズンの54ポイントだ。また02-03シーズンの16勝、01-02シーズンの14勝に次ぐ13勝を挙げて、及第点のシーズンとなった。フロジノーネ戦での5得点は、セリエAでのクラブ史上最多ゴールを記録している。

 派手さはないもののセルジョ・ペリシエ、ダリオ・ダイネッリ、ジェンナーロ・サルド、ニコラ・フレイらキエーヴォを支えてきた選手が健在だ。ルカ・カンペデッリ会長としては、そろそろ再び欧州カップ戦出場を視野に入れたいところだろう。

Empoli FC v Bologna FC - Serie A

■10位:エンポリ(75点)

 セリエAに復帰して2年目、昨シーズンの15位よりも良い結果を出した。エンポリにはローマのスパレッティ監督やナポリのサッリ監督に見られるように、選手だけでなく、良い監督を育てる土壌もあるようだ。今シーズンはカリアリなどを率いたマルコ・ジャンパオロ監督の手腕が好成績につながった。チームの攻撃面を引っ張ったのは35歳のベテラン、マッシモ・マッカローネで、13ゴールを挙げた。また2トップのもう一人、リッカルド・サポナーラも5得点を記録した。

 イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、エンポリのデータで興味深い点が2つある。1つはボールポゼッションが20チーム中7位の52.74パーセントで、サッスオーロ、ミランを上回っている点。またポーランド代表MFピオトル・ジエリンスキのドリブルキープ回数は89回で全選手中6位だった。これらのデータがチームの10位という成績を築き上げている部分はあるだろう。22歳になったばかりのジエリンスキには、リヴァプールも興味を示しているという。残念ながらジャンパオロ監督の続投はなく、来シーズン誰がチームを率いるかが気になるところだ。

 11位から20位まではこちら
「これを読めばすべてわかる! セリエA 15-16シーズン『全クラブ通信簿』(11位~20位編)」
https://www.soccer-king.jp/news/world/ita/20160522/445290.html

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