2015.11.06

遠藤友則氏、ミランでの16年を経て日本サッカーについて想うこと/連載第3回

ミラン
遠藤氏はミランで約16年間、メディカルトレーナーとして選手たちの体をケアしてきた [写真]=Getty Images
イタリア・ジャーナリスト協会会員。ミラノ在住。

 現在、遠藤友則氏は千葉市の鍋島整形外科に勤め、清水エスパルスのアドバイザーも務めている。イタリアやヨーロッパで活躍する一流選手たちを見てきて、日本の現場で感じたのはどんなことなんだろうか。

「自由がないね、日本の選手は……。自由な発想で自由にやっていくというのがない。ディフェンスなんかはある意味いいかもしれないけれど、オフェンスは難しい。日本人の気質? そうじゃないかな。監督が厳しくて自由勝手なことをやらせてくれない人だったら、金太郎飴みたいな人しかできない」と没個性を憂う。選手の前で話をした時「お前ら、監督が『この選手を使おうか、どの選手を使おうか』って悩めないじゃない。同じようなのばっかりだから。それじゃダメだって。もっと自分の武器を作らないと、考えないと」と、はっぱをかけたそうだ。

 また若手の16、17歳の選手たちと話す機会があった際に、「どんな体型になりたい? 理想的なのは?」と問いかけたところ、逆三角型のような体型に憧れる若者が多かったそうだ。ミラン時代のパオロ・マルディーニ氏を例に挙げ、「彼のふくらはぎを見たって、細い。でもお尻はでかい。ももの筋肉なんてそんなにない。だけど、お尻から足にかけてはライオンや馬のようなイメージですよ」と説明した。

「ももとかふくらはぎだけを鍛える間違えた筋トレやると、よくない体を作ってしまうこともある。逆効果になることもある。けがが多くなったり……」と警告する。見た目のよい筋肉がついた体を造り上げる=サッカー選手としての理想的な体型ではない。前回のコラムでも取り上げたようにパワー、筋力をつけることだけが全てのサッカー選手にとってベストではないというのが、遠藤氏の持論だ。バランスがとれていて敏捷(びんしょう)性のある選手がサッカーでは好ましい。

 以前にも『イタリアサッカー界とミランに警告』の本田発言コラムで触れたように、遠藤氏はスポーツ医学についてもブラジルやドイツなどからの遅れを感じている。フィジカル、メンタル面を鍛えていかないといけないと痛感している。Jリーグ発足から約23年、イタリアを経由して現場での若手育成に力を注ぐ遠藤氏は、選手だけでなくクラブ経営の次世代についても考える。「本田(圭佑)、長友(佑都)らセリエAや欧州リーグで長年プレーした選手たちが、Jリーグのフロントに入ったら、Jも変わる。世界的、グローバル・レベルになるはず。それまでにはあと5年,10年はかかるでしょうね」。次世代育成が今後の日本での大きな課題であり、将来を担う日本サッカー界の助けになる。次へのステップを踏み出した遠藤氏の今後の動向から目が離せない。

文=赤星敬子

【遠藤友則(えんどう・とものり)氏】1961年4月20日生まれ。静岡(旧清水)市出身。サッカーをしていた高校3年生の時、ひざを痛め、当時の川鉄千葉病院(現在の千葉メディカルセンター)で手術を受け、その後、大学時代に夜間学校での鍼、灸、マッサージについて勉強する。卒業後、千葉市の鍋島整形外科に勤務後、独立する。Jリーグ開幕から清水エスパルスのチーフトレーナーとなる。ミランから移籍してきたマッサーロ氏に腕を見込まれ、1999年にミラノへ。2015年6月末までメディカルトレーナーとして所属した。現在は鍋島整形外科に戻り、日本のスポーツ医学の発展や高校サッカーの育成、Jリーグへの橋渡しなど多分野にわたって活動している。

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