2015.11.03

日本人マッサージ師・遠藤友則氏が経験したミランの現場とは/連載第2回

ミラン
約16年間、ミランのメディカルトレーナーを務めた遠藤氏は黄金時代も知る
イタリア・ジャーナリスト協会会員。ミラノ在住。

 アンドリー・シェフチェンコにフィリッポ・インザーギ、パオロ・マルディーニにアレッサンドロ・コスタクルタ、そしてズラタン・イブラヒモヴィッチにアントニオ・カッサーノ、マリオ・バロテッリまで、遠藤友則氏から次々に明かされるエピソードはミラニスタでなくとも、興味深いもの。その遠藤氏が16年もの間、日々勤めながら考えたことや感じたこと、疑問に思ったことは数えきれないほどあった。

 調子がよくないミランとシニシャ・ミハイロヴィッチ監督体制の現在について「イタリアは監督が変わったら、ごろっと変わっちゃうからね。この間、ミラネッロに行ったけど、びっくりした。ジムが全く変わった」と驚きを隠せなかった。元同僚や関係者の話でも、それが賛否両論だという。あまりの激変ぶりに関係者もついていけていないのではないか、という複雑な事情もあるようだ。遠藤氏が所属した1999年から昨シーズン末までは、チャンピオンズーグ優勝などの黄金時代から欧州カッブの出場権をも得られない衰退期までのミランだった。

 チームには数人のマッサージ師がいる。「誰でもいい」というこだわりのない選手もいれば、数人はそれぞれお気に入りのマッサージ師をご指名する。「シェフチェンコにしてもカッサーノ、イブラにしても“コイツにしか診させない”というのがある。そのコイツを取るのに戦いになる」と苦笑い。「だから僕なんかも去年、(サリー)ムンタリと(ナイジェル)デ・ヨングと(ディエゴ)ロペスともめて。誰が最初に診てもらうか、とか」とマッサージ師争奪戦争に巻き込まれていた。

 生まれつき体のバランスがよかった選手は「けがしなかった選手はみんなそうだろね」と同氏。その中でも「コスタクルタは小さいけがや肉離れ、グローインペイン症候群、腰痛を常にフォローしていた。インザーギは細いのに身体能力がある。運動能力が高かった。弟もサッカー選手だったわけでしょ? だから遺伝子は持っているんですよ」と振り返った。カッサーノも同氏を信頼していた。また現役最後にミランからフィオレンティーナに移籍したマッシモ・アンブロジーニ氏も、フィレンツェに遠藤氏を呼んでマッサージを依頼していたという。

 そして「バロテッリはお尻が大きいからグローインペインになってしまう。お尻が硬いと前が緊張してしまう。細い選手はそういうのはあまりなく、バランスが崩れない。筋力ががっちりしている選手の方がある」。同氏は力強さとスピード・サッカーへの筋力トレーニングの過度ぶりに疑問を抱く。結果的にはミラン側のドクターら首脳陣とのトレーニング方法の見解の相違から、クラブを離れることになったのだった。そして次世代のマッサージ師育成と、日本のサッカー選手の将来という次のステップに踏み出すべく、イタリアを離れたのだった。

文=赤星敬子

【遠藤友則(えんどう・とものり)氏】1961年4月20日生まれ。静岡(旧清水)市出身。サッカーをしていた高校3年生の時、ひざを痛め、当時の川鉄千葉病院(現在の千葉メディカルセンター)で手術を受け、その後、大学時代に夜間学校での鍼、灸、マッサージについて勉強する。卒業後、千葉市の鍋島整形外科に勤務後、独立する。Jリーグ開幕から清水エスパルスのチーフトレーナーとなる。ミランから移籍してきたマッサーロ氏に腕を見込まれ、1999年にミラノへ。2015年6月末までメディカルトレーナーとして所属した。現在は鍋島整形外科に戻り、日本のスポーツ医学の発展や高校サッカーの育成、Jリーグへの橋渡しなど多分野にわたって活動している。

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