逝去したベッケンバウアー氏 [写真]=Getty Images
“皇帝”の異名で知られた元西ドイツ代表DFフランツ・ベッケンバウアー氏が現地時間7日に逝去した。78歳だった。
1945年9月11日生まれのベッケンバウアー氏は、バイエルンの下部組織を経て1964年夏にトップチームへ昇格し、その後の約13年間で公式戦通算582試合に出場。74ゴール75アシストをマークし、4度のブンデスリーガ制覇やチャンピオンズカップ(現:チャンピオンズリーグ)3連覇を経験した。DFながら高い攻撃性能を有する“リベロ”としての地位を確立した同氏はニューヨーク・コスモスやハンブルガーSVでも活躍。2度のバロンドール受賞も果たした。
また、西ドイツ代表としては国際Aマッチ通算103試合に出場し14ゴール10アシストを記録。1974年に母国で開催されたFIFAワールドカップでは、決勝戦で故ヨハン・クライフ氏らを擁するオランダ代表を2-1で撃破し、西ドイツに2度目の栄冠をもたらした。そのほか1972年にはEURO制覇も経験している。
1983年夏の現役引退後は指導者に転身し、西ドイツ代表やマルセイユ、バイエルンの監督を歴任。FIFAワールドカップイタリア1990では、ローター・マテウス氏やルディ・フェラー氏、ユルゲン・クリンスマン氏らを率い、決勝戦で故ディエゴ・マラドーナ氏擁するアルゼンチン代表を破って優勝を果たした。なお、選手と監督の双方でワールドカップを制覇したのは、先日逝去した元ブラジル代表FWマリオ・ザガロ氏に次いで史上2人目の快挙となった。
また、古巣バイエルンでもブンデスリーガとUEFAカップ(現:ヨーロッパリーグ)を制覇。1998年以降はドイツサッカー連盟(DFB)の副会長や国際サッカー連盟(FIFA)の副会長、バイエルンの名誉会長などを務めていた。
ベッケンバウアー氏の家族は『ドイツ通信社』にて声明を発表。「深い悲しみと共に、私たちの夫であり父であるフランツ・ベッケンバウアーが昨日の日曜日、家族に見守られながら安らかに息を引き取ったことを発表します。私たちが静かに別れの時間を過ごすことをお許しいただき、いかなる取材や質問も控えて頂くようお願い致します」としている。
ドイツサッカー屈指の“レジェンド”の逝去を受け、DFBは「安らかに眠ってください。スポーツ史上最高の選手の1人であり、天性のリーダーでもあった。我々全員が彼のことを惜しんでいるだろう」と声明を発表。また、古巣バイエルンも次のように哀悼の意を表している。
「バイエルンの世界はもはや以前のものではなくなった。突然暗く静かに、そして貧弱になった。我々は比類なき“皇帝”ベッケンバウアー氏を悼みます。彼がいなければ、バイエルンは今日のようなクラブにはなり得なかっただろう。安らかに眠ってください」
By サッカーキング編集部
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