2017.10.23

【コラム】重要なのは「コミュニケーション」…香川、好調なスタメン組の牙城を崩せるか?

香川
定位置奪取に意気込む香川 [写真]=Getty Images
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 ピーター・ボス新監督率いる今シーズン、ブンデスリーガでは開幕から7戦無敗で首位を独走してきたドルトムント。しかし10月14日のライプツィヒとの上位対決で初黒星を喫し、続く17日のチャンピオンズリーグ(CL)アポエル戦で1-1のドローに終わった。日本代表MF香川真司はこの試合で2戦ぶりの公式戦スタメン復帰を果たしたが、チームの勝利に貢献できず、悔しさを味わった。

 そこから中3日で挑んだ21日の敵地・フランクフルト戦。指揮官は香川をスタメンから外し、ドイツ代表MFゴンサロ・カストロ、同代表MFマリオ・ゲッツェの両インサイドハーフコンビとトルコ代表MFヌリ・シャヒンのアンカーという、今シーズン最も信頼を寄せている中盤トリオを並べて戦った。前半はフランクフルトの速い攻撃に苦しみながらも、3人がいいバランスをキープしゲームをコントロール。シャヒンの1点でリードして折り返す。後半もガボン代表FWピエール・エメリク・オーバメヤンを筆頭にスピードのあるFW陣が攻め込み、13分にドイツ人FWマキシミリアン・フィリップが2点目をゲット。これでドルトムントの勝利が確実視された。

 香川はこの直後にカスロトを代わって出場。「2-0で入ったので、しっかりと中盤をコントロールしながら3点目を取りに行く姿勢で戦おうと思った」と話す。しかし、直後にPKで1点を献上してしまいゲームプランが狂った。彼自身は中盤でいい守備をしながらゲームを落ち着かせるつもりだったが、フランクフルトがロングボールを多用したことで、思惑が外れてしまう。加えて、ギリシャ代表DFソクラティス・パパスタソプーロスの出場停止もあって最終ラインの構成がガラリと代わったこともマイナスに作用し、1失点目から4分後に同点に追いつかれ、勝てるはずの試合を引き分けてしまった。

香川

香川が出場してから同点に [写真]=Getty Images


 香川自身のプレーは「可もなく不可もなく」といった状況だったが、彼が入るや否や、0-2から2-2に追いつかれたというのはイメージが悪い。本人もそういう思いがあるのか、試合後も不完全燃焼感が色濃く感じられた。とりわけ、スタメンから外されたことは納得がいっていない様子。「僕は(アポエル戦を)1試合やっただけで休みをもらう必要はない。監督とも話したけど、(ベンチスタートは)指揮官が決めたことなので、なかなか整理は難しいです。個人としては試合に出続けて、もっとやれることはあると思いますけど」とボス監督と話し合いを持ったことも明かした。

 かつて明治安田生命Jリーグでプレーした親日家のボス監督は、決して香川を低く評価しているわけではないはずだ。しかしながら、6月の日本代表シリア戦(東京)で負傷した左肩の問題で、開幕前の準備期間に彼を使えなかったことから、カストロとゲッツェ、シャヒンのトライアングルを軸にチーム作りを進める形になったのだ。その3人のバランスが非常によく、開幕から結果が出ていたのだから、香川が入る余地はどうしても少なくなる。9月にCLグループステージが始まり、過密日程になったことで出場機会は少しずつ増えているが、指揮官の中の序列は依然としてカストロとゲッツェの方が上と言わざるを得ない。

 その現実を強く認識しているから、香川は「何とかその牙城を崩さなければならない」と躍起になっているのだろう。

「自分としてはもっと試合に出場したいし、チャンスを与えられた中で結果を残していかないといけないと思っています。今は出ている時に結果を残しているという自信も得ているし、得点を取れる匂いも感じています。監督がそれをどれだけ評価しているかはいろいろ思うところもありますけど、さらにもっともっとアピールしていく必要があるかなと。今、新しいチームの中で存在意義を示していくことがどれだけ大事かというのはよく分かっているし、中盤も含めて選手層が厚い分、数字が物語る部分はより強くありますね」と本人も言うように、ここからはゴールやアシストといった目に見える結果により一層、強くこだわっていくつもりだ。

香川

自身の存在意義を語る [写真]=Getty Images


 今シーズンのブンデスリーガ5試合出場2得点という数字は、彼の築いてきた華々しいキャリアを考えると確かに物足りない。中盤でつなぎ役をしているだけでは香川は怖くない。そこはボス監督も感じているところだろう。ただ、今シーズンのドルトムントの前線はオーバメヤン、フィリップ筆頭に矢のようにゴール前へ突き進むタイプが多いため、彼までもが前へ行き過ぎると連携面でかみ合わなくなりかねない。個の力に秀でたアタッカー陣をうまく生かしながら、自らも生きるようなコンビネーションを構築することがまずは肝要だ。

 そのためにも、チームで年長者の部類に入る彼自身が周りにアクションを起こし、要求していくくらいの気概が必要だ。そこは本人も強く自覚しているという。

「もちろんコミュニケーションを取る必要はありますし、そこはやり続けていくしかない。シーズンは長いので、そういうところでもっと影響を及ぼせるようになっていきたい」と香川は静かに決意を口にした。そういったリーダーシップを示せる選手だとボス監督に認識してもらえれば、出場機会は自ずと増えていくに違いない。今シーズンの本当の戦いはここからだ。

文=元川悦子

欧州リーグ順位表

リヴァプール
42pt
マンチェスター・C
41pt
トッテナム
36pt
欧州順位をもっと見る
ドルトムント
36pt
ボルシアMG
29pt
バイエルン
27pt
欧州順位をもっと見る
バルセロナ
31pt
セビージャ
28pt
アトレティコ・マドリード
28pt
欧州順位をもっと見る
ユヴェントス
43pt
ナポリ
35pt
インテル
29pt
欧州順位をもっと見る