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【インタビュー】ドルトムントのレジェンド2人が来日…浦和戦は「新監督に注目して」

2017.06.05

 7月の来日に先駆け、ドルトムントのレジェンドであるカール・ハインツ・リードレ氏とラース・リッケン氏が来日を果たした。さいたま市やJリーグを訪問し、精力的にクラブのPR活動を行った2人に、今シーズンのドルトムントのこと、そして浦和レッズ戦の見どころなどについて聞いた。

インタビュー=国井洋之
写真=佐野美樹

――まずはDFBポカール優勝おめでとうございます。2人はどのように優勝を祝ったのですか?

リードレ 試合当日はスタジアムにいたよ。ハラハラしながら見ていたけど、優勝した時は大いに喜んだ。その後、ホテルで祝勝会が準備されていたので、それにも参加した。もちろん、あの盛大なパレードにもね。

リッケン 3年連続で決勝で敗れていたから、勝てたことでクラブも選手たちも安堵していたと思う。優勝が決まった後は24時間みんなで飲み続けたよ(笑)。優勝パレードには30万人もの人が集まってくれたけど、恐らくあんな盛大なお祝いは、ほかではないんじゃないかな。

――30万人というのは町の人口の約半分だそうですね。改めてドルトムントのサポーターについてどう思いますか?

リードレ まず、ファンにとってドルドムントというのは“すべて”と言っていいくらいの存在なんだと思う。自分が現役だった頃はドイツチャンピオンになった(95年と96年にリーグ連覇)ということもあって、今回と同じようなお祝いをしてもらった。97年のチャンピオンズリーグ(CL)優勝後は、しばらくビッグタイトルから見放されていたけど、またクラブが盛大なお祝いをできるようになったのは私にとってもうれしいよ。

リッケン パレードに集まったのは、恐らくドルトムント市民だけではなく、ドイツ全国から、あるいはほかの国から来てくれた人も大勢いたと思う。日本にもドルトムントファンはたくさんいる。そういう人たちが一緒に祝ってくれて本当にうれしく思うよ。

――今シーズンはDFBポカールで優勝、リーグ戦は3位、CLはベスト8でした。総括するとどんなシーズンでしたか?

リードレ 非常に良いシーズンだったと思う。目標としていたことはすべて達成できたし、来シーズンのCLにも出られる状態になった。残念なのはモナコ戦の前に起きたバス襲撃事件だ。あれがなければ、もっと上までいくことができたかもしれない。今シーズンはケガ人も多く出てしまった。それがなければもっともっといい成績が残せたんじゃないかと思う。

リッケン 忘れてはいけないのが、我々は昨夏にマッツ・フンメルス、ヘンリク・ムヒタリアン、イルカイ・ギュンドアンと3人の主力選手を失っていたという点だ。若い選手には「新しい出発だぞ!」という話をしたが、彼らをチームにしっかりと根づかせることができた。2012年以来となるタイトルも取ることができたし、良いシーズンだったと思う。

――今、若い選手の話が出ましたが、今シーズン特に印象に残っている選手は誰ですか?

リードレ 例えばエムレ・モルはそこまで出場機会に恵まれなかったが、出場したゲームではその才能を十分に見せてくれた。マルク・バルトラはしっかりとチームに溶け込んでいたし、ラファエウ・ゲレイロも思っていた以上に活躍してくれた。でも、一番注目されてしかるべきなのは、ウスマン・デンベレかな。彼はサッカー選手に必要なものをすべて身につけている。これからが楽しみな選手だよ。

リッケン デンベレに関しては、恐らくほかのチームのスカウトが「なぜ、アイツを獲得しなかったんだ!」とドヤされるぐらいの選手だよ(笑)。現時点でヨーロッパでも屈指の選手に成長してくれた。それからクリスティアン・プリシッチは、まだユースチームでプレーできる年齢だけど、ブンデスリーガでもアメリカ代表でも重要なゴールを決めている。ポカールの決勝でも決定的なPKを獲得してくれた。

――シーズン後半に重要な役割を果たした香川真司の印象はどうでしょう?

リードレ 君の言うとおり、後半戦は活躍してくれたね。ゴールにつながる決定的なパスをたくさん出していたし、チームにとって貴重な選手だったと思う。クラブに戻って来て2年目だけど、その前からチームにいたわけで、なくてはならない選手だと思う。

リッケン シンジがあれだけのパフォーマンスを見せてくれたのはチームにとって大きかった。同じポジションのマリオ・ゲッツェやアンドレ・シュールレがあまり試合に出られなかったことを考えると、香川がいなければチームはここまでの成績を収められなかったかもしれない。彼が最初にドルトムントにやって来た時は、まだ若く、プレッシャーを感じずにプレーしていた。でも今は豊富な経験を持っているし、年齢を重ねて、チーム内での立場も変わってきた。今後はチームを導いていくような存在、若い選手を引っ張っていくような存在になってくれることを期待している。

――ピッチ外の香川についての印象も聞かせてください。

リードレ シンジは半分ドイツ人と言ってもいい。周りの人にいつも親切だし、時間に正確で几帳面だ。パフォーマンスについても出すべき時にしっかりと出してくれる。そういうメンタリティはドイツに合っていると思う。

リッケン シンジは地に足がついていて、控え目だ。でもスポーツ面では、「絶対にやってやる!」という野心を持っている。日本からやって来て、注目される中で、若い頃から大人として振る舞わなければいけなかったということもあるが、そういう中で人間的にも成長してきた。監督なら誰もがほしいと思う選手だし、チームの中でも非常に好かれているよ。

――あなたたちのゴールでドルトムントがヨーロッパを制してからちょうど20年が経ちます。1997年のCL決勝の思い出を聞かせてください。

リードレ クラブにとっても自分たちのキャリアにとっても歴史的な瞬間だったと思う。ラースなんて、いつもアレ(優勝メダル)を持ち歩いているぐらいだ(笑)。昼も夜も、寝る時も、肌身離さず持っているんだ(笑)。

リッケン とにかく「あの瞬間!」という感じだね。そうとしか言いようがない。僕はドルトムントで生まれ、子どもの頃は一人のファンとして南スタンドで試合を見ていた。そんな人間があんな“世紀のゴール”を決められたんだから本当に名誉だよ。ファンと当時の話をすると、私のゴールそのものよりも、“あのゴールの瞬間に何をしていたか”という話題になることが多いんだ。直前に選手交代があったから、トイレに行ったり、ビールを買いに行ったりしていたファンも多かったようで、スタジアムにいた3分の1ぐらいのファンがあのゴールを見ていなかったなんて話も聞く(笑)。それから、あの試合をパブリックビューイングで見ていたファンから聞いた面白いエピソードもあるんだ。ああいう場所ではゴールの瞬間に隣の見知らぬ人と抱き合ったりするでしょ? そういう男女が、それをきっかけに出会って、結婚をして、産まれた子どもに「ラース」と名づけたんだって! これは本当の話だよ(笑)。

――ドルトムントは7月に浦和レッズと対戦します。日本のファンにどんなところを注目してほしいですか?

リードレ ドルトムントが多くのゴールを決めるからそれを見てほしい、っていうのは冗談だよ(笑)。浦和レッズもホームで試合をするわけだから、「絶対に負けたくない」という気持ちでくるだろうし、簡単な試合にはならない。お互いがそういう思いでぶつかるわけで、面白い試合になるだろう。ドルトムントはドイツを代表して、ブンデスリーガを代表して日本に来るわけだから、ドルトムントがどんなプレーをするかを見てほしい。

リッケン 何よりまずは新しい監督に注目してください。新たに就任する監督にとってはおそらく浦和レッズ戦が初陣になるはずだからね。監督が代わったことで、当然選手たちもまた自分たちをアピールする場になると思うし、全力でプレーすると思う。浦和も全力でぶつかってこないと、簡単に我々には勝てないだろうし、お互いが全力で戦う試合になるだろう。

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