2015.11.11

独誌記者が綴る復活したドルトムントの実力…香川らスターの共演と若手の台頭

ドルトムント
シャルケとのダービー戦を制したドルトムント [写真]=Getty Images

 ドルトムントは本来の姿に戻った。

 昨シーズンにユルゲン・クロップ監督の下で苦労しつつも、ぎりぎりヨーロッパリーグ(EL)出場権を手にしたドルトムントがトーマス・トゥヘル新監督の指揮で素晴らしいスタートを切り、見事蘇りを果たした。

 ピエール・エメリク・オーバメヤンやヘンリク・ムヒタリアンはトゥヘル監督の戦略で絶好調を見せる。ガボン代表のオーバメヤンは、バイエルンのエースストライカーであるポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキと現在得点王ランキングの首位争いをしており、ブンデスリーガの最強フォワードの1人として(現在、第12節終了時点で14ゴール)、得点力を披露している。アルメニア代表のムヒタリアンも昨シーズンには失っていたサッカーの楽しさを再発見するようになった。2014-15シーズンでは今ひとつのパフォーマンスが多く、あまり実力が出せなかったが、今シーズンはゴールに直接つながる場面において第12節ですでに前年の数字を超えている。マルコ・ロイス、香川真司、イルカイ・ギュンドアンもドルトムントの圧倒的な攻撃の優越に大きく貢献している。特に香川もチームの司令塔として活躍し、創造性に溢れるプレーを披露。運動量も豊富で、マンチェスター・Uに移籍する前の調子ぶりだ。

 しかし、スター選手の調子だけではない。現在ある若手選手が脚光を浴びている。。U-20ドイツ代表である20歳のユリアン・ヴァイグルだ。今夏まであまり知られていなかった同選手がビッグクラブであるドルトムントで初シーズンにしてスタメンの座を奪うとは誰も予想しなかっただろう。2部の1860ミュンヘンからドルトムントに移籍したボランチは、プレシーズンの練習試合からトゥヘル監督の興味を引き、フランツ・ベッケンバウアーの様なプレースタイルですでにドルトムントのシステムにおいて欠かせない存在になっていると言っても良いだろう。バイエルンを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督も、「最初は彼のことを知らなかったが、ぐっとくるものがあったよ」と高く評価。「ドルトムントで成功するための条件はすべて満たしている。ほかの選手にとってもとても重要な存在だ。彼がいなければドルトムントはきっと今のところまで来ていないだろう」。

 ドルトムントは、今シーズン1番の決定力を見せている。1得点あたりのシュート本数が平均5.5であり、バイエルンよりも良い数値だ。そしてクロップ時代に身に着けた素早いカウンター・サッカーに加えてボール回しも良くなった。

 現在はドルトムントがブンデスリーガの首位を堅持しているバイエルンの1番のライバル。しかし、バイエルンは今シーズンいくつかのブンデス歴代記録を更新し、誰にも止められないようなパフォーマンスを毎週のように見せている。ドイツでも開幕後ブンデス5連勝を果たしたドルトムントを見て、「やっとまたバイエルンに対抗できるチームが現れた」と思った人は少なくなかっただろう。それはここ最近の2シーズンでバイエルンが勝ち点差19点と10点で優勝を簡単に獲得したことにより「つまらない」、「面白くない」という声が多くなってきたからだ。

 しかし、その願望は第8節に早くも打ち砕かれた。ドルトムントがミュンヘンのアリアンツ・アレーナで3連覇中の王者と直接対決。ドルトムントが前の2試合を引き分けで終えて大一番を迎えると、バイエルンは自らの強さを思い知らせるパフォーマンスを見せた。高いレベルでの勝負だったものの、ハーフタイムで2-1、フルタイムでは5-1となりドルトムントが屈辱的な敗北を食らわされた。

 これで分かったことは、ドルトムントは昨シーズンよりだいぶ成長したものの、バイエルンに勝てるレベルまでには至っていないということ。だがそれよりも大きいのはリーグ優勝がその1、2試合で決まるわけではないことだ。

 ドルトムントはすでに昇格したばかりのダルムシュタット(13位)とホッフェンハイム(17位)に引き分けてしまい、勝ち点4を落としている。シーズンが進むにつれて、勝てるはずの試合でポイントを落としてしまうことが危惧される。バイエルンにおいては、このようなことはないだろう。レコードマイスターはたいていの相手チームを簡単に制する。ドルトムントはバイエルンのように全ての相手をいとも簡単に負かすことはないだろう。リーグ終盤まで王者バイエルンに対抗するのは難しいかもしれないが、唯一追走できるのもドルトムントぐらいだ。しかし、目標はバイエルンを倒すことだけではない。自分たちの最良のパフォーマンスを追求することが第一である。

 11月8日に“ルール・ダービー”が行われた。ドルトムントは3-2で宿敵のシャルケを倒し、3位のヴォルフスブルクに勝ち点8の差(!)をつけた。それに大きく貢献したのが香川真司。175センチでプロにしては小柄の日本人が珍しいヘディングゴールでリードを奪った。同選手のゴールをアシストしたマティアス・ギンターはその後自分でも得点を取り、点取り屋のオーバメヤンが3点目を獲得。シャルケがクラース・ヤン・フンテラールの得点で2点を返したが、ドルトムントが試合開始から終了の笛が鳴るまで相手を制していた。その調子で続けると優勝まで行かなくても「バイエルン“以外”のリーグ王者」になる可能性が高い。

文=キム・デンプフリング(ドイツ誌『キッカー』編集部)

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