2016.06.24

【データで見るユーロ2016】ボール支配率と勝敗の関係…ポゼッションサッカーは、今なお有効なのか?

今大会はポゼッションチームが優位なのか否か?[写真]=Getty Images
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 ユーロ2016のグループリーグ全日程が22日に終了し、決勝トーナメントに進出する全16チームが出そろった。連日繰り広げられる熱戦を余すことなく中継しているWOWOWは史上初めて、欧州のスポーツデータ会社『Opta(オプタ)』が作成するリアルタイムスタッツと連携。各チームや選手のスタッツやランキングを特設ページで公開している。今やデータはスポーツを見る、語るうえで欠かせない存在となっているが、今回はこのデータを参考にしながら、グループステージを振り返ってみたい。

 今大会の見どころはたくさんあるが、なかでも注目ポイントの1つとされているのは、「ポゼッションサッカーは、今なお有効なのか?」ということだろう。

Soccer - UEFA European Championships Euro 2012 - FINAL - Spain v Italy


ユーロ2012ではスペイン代表が圧倒的なポゼッションサッカーで優勝を果たした [写真]=Getty Images

 ご存知のとおり、過去2大会は、スペインが圧倒的なボールポゼッションを武器に欧州王者に輝いた。しかし近年、クラブレベルにおいては、ポゼッション型の筆頭であったバルセロナが、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールによる“MSN”を中心とするカウンター攻撃を新戦術として取り入れたり、堅守速攻型のチームであるアトレティコ・マドリードがチャンピオンズリーグで躍進を遂げたりと、ポゼッションサッカーのピークはすっかり過ぎ去った感がある。では代表レベルでも、ポゼッションサッカー優位の時代は終わりを告げようとしているのだろうか。

 まず、1試合平均のボール支配率を上から順に並べてみる。すると、上位8カ国のうち、決勝トーナメント進出を逃したのは、ウクライナ(55.8%)だけだった。一方、下位8カ国では、アルバニア(40.5%)、チェコ(42.5%)、ルーマニア(43.8%)の3チームが大会から姿を消すことに。やはりポゼッション優位の傾向は続いていると言えそうだ。

 ただし、現時点ですでに3連勝したチームが存在しないように、支配率が60%を超えたドイツ(71.9%)、スペイン(67.2%)、ポルトガル(64.9%)、イングランド(60.9%)、スイス(60.4%)の5カ国にしても、楽に勝ったと言える試合は数えるほどしかなかった。実際、彼らが戦った15試合のうち、2点差以上で勝利したのはわずか2試合に留まっている。

Northern Ireland v Germany - Group C: UEFA Euro 2016


ドイツ代表は今大会で唯一グループリーグの支配率が70パーセントを越えている [写真]=Getty Images

 次に、支配率50%以上と50%未満のチームの平均勝ち点を比較する。すると、形勢は一気に逆転する。50%以上のチームの平均勝ち点は3.92であるのに対して、50%未満のそれは4.17と、“ボールを持たない”チームの方がより多くのポイントを稼いでいたのだ。なお、50%未満のチームからは、イタリア(48.2%)、クロアチア(45.2%)、ウェールズ(41.2%)の3カ国がグループ首位で決勝トーナメント進出を果たしており、その他にも、ポーランド(43.4%)とアイスランド(29%)が同グループ1位の国と同じだけの勝ち点を獲得している。

 さらにグループステージ全36試合の支配率と勝敗の関係性を調べてみたところ、ボールを保持することの有効性が薄れていることを裏付けるような結果が出た。支配率50%以上のチームの勝利数は11であったのに対して、50%未満の勝利数は14。“ボールを持たない”チームの方が3つも多く勝ち星を挙げたのだ。ちなみに、大混戦だったグループF(ハンガリー、アイスランド、ポルトガル、オーストリア)では、支配率で勝るチームは未勝利に終わった(4分け2敗)。こうなると、代表レベルでもポゼッションサッカーの優位性は崩れつつあると言えるかもしれない。

Russia v Wales - Group B: UEFA Euro 2016


“ボールを持たない”チームのウェールズはグループ首位で決勝トーナメント進出を果たした [写真]=Getty Images

 とはいえ、ドイツのヨアヒム・レーヴ監督が「グループステージはエネルギーをセーブしながらの戦いになる」と話すように、強豪国は最初からエンジン全開というわけでなく、それが受けに回ることの多いマイナー国の健闘を演出している、との声もある。それ故、長い目で見たときには、支配率に勝るチームが勝ち残っているという結果になる可能性も十分ある。

 果たして、ポゼッションサッカーはこのまま苦戦を強いられるのか。そして最終的に大会を制するのは、ポゼッション型のチームか、それとも堅守速攻型のチームか。いよいよ佳境を迎えるユーロ2016。WOWOWで公開されているオプタのスタッツを見ながら、観戦を続けるとその答えが明らかになるかもしれない。

■グループリーグの平均支配率ランキング
(支配率/勝ち点/グループ順位)
1位:ドイツ (71.9%/7p/1位)
2位:スペイン (67.2%/6p/2位)
3位:ポルトガル (64.9%/3p/3位)
4位:イングランド (60.9%/5p/2位)
5位:スイス (60.4%/5p/2位)
6位:ウクライナ (55.8%/0p/4位)※
7位:フランス (55.3%/7p/1位)
8位:ベルギー (54.1%/6p/2位)
9位:ロシア (54%/1p/4位)※
10位:オーストリア (54%/1p/4位)※
11位:スウェーデン (52.9%/1p/4位)※
12位:ハンガリー (52.1%/5p/1位)
13位:イタリア (48.2%/6p/1位)
14位:クロアチア (45.2%/7p/1位)
15位:トルコ (45.2%/3p/3位)※
16位:アイルランド (44.8%/4p/3位)
17位:スロヴァキア (44%/4p/3位)
18位:ルーマニア (43.8%/1p/4位)※
19位:ポーランド (43.4%/7p/2位)
20位:チェコ (42.5%/1p/4位)※
21位:ウェールズ (41.2%/6p/1位)
22位:アルバニア (40.5%/3p/4位)※
23位:アイスランド (29%/5p/2位)
24位:北アイルランド (28.9%/3p/3位)
※はグループリーグ敗退国


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