FOLLOW US

乾貴士が移籍間近…アラベスってどんなクラブ?

2019.01.23

ラ・リーガで上位に食い込んでいるアラベス。乾貴士の新たな所属先となるか。

 乾貴士アラベス移籍が秒読み段階に入っている。昨夏の移籍市場で名門・ベティスに加入したものの、なかなか出場機会に恵まれていなかった日本代表MFに、バスク自治州の州都ビトリア=ガステイスを本拠地とするアラベスが触手を伸ばしたのだ。

 目下、ラ・リーガでは9勝5分6敗の5位(1月23日現在)。上位戦線を大いに盛り上げているクラブとはいえ、アラベスがどのようなクラブなのか、日本ではあまり知られていないのが現状だ。1921年に創設された由緒あるクラブの概要を、少しだけ紹介しよう。

■ホームタウンは?

ビトリア=ガステイスの中心部にある『ビルヘン・ブランカ広場』。中央部にはビトリアの戦いのモニュメントがそびえ立っている。


◎バスク自治州の州都ビトリア=ガステイス

 12世紀、ナバーラ王国のサンチョ6世がガステイスと呼ばれていた集落の丘に「NUEVA VICTORIA」“新しい勝利”という街を築いたことが、ビトリアの起源と言われている。ビトリア=ガステイスの中心部にある『ビルヘン・ブランカ広場』には、19世紀に起きたイギリス・ポルトガル・スペインの連合軍がフランス軍を破った「ビトリアの戦い」の記念碑が建てられている。2012年には環境分野の自治体賞である『欧州グリーン首都賞』を受賞した、スペインの中でも自然が豊かな地域だ。

 バスク州の中ではビルバオに次いで人口が多い。スペインの各都市やフランスにも、スペイン国鉄RENFE(レンフェ)で簡単にアクセスでき、交通網が充実している。

■ホームスタジアムは?

決して収容人数は多くないが、趣のあるスタジアムだ。


◎エスタディオ・デ・メンディソロツァ

 収容人数は19,840人で、バスク代表が親善試合の際に使用することもある。

 リーガ・エスパニョーラにおいては、スポルティング・ヒホンが使用する『エル・モリノン』、バレンシアのホームスタジアムである『メスタージャ』に次いで、3番目に古いスタジアムである。

■ラ・リーガでの最高成績は?

1999-2000シーズンは、バルサからホーム&アウェイともに勝ち点3をもぎ取った。


◎ラ・リーガ 6位(1999-2000シーズン)

 シーズン最終成績は、17勝10分11敗の6位。5位でフィニッシュしたレアル・マドリードとは勝ち点差わずか「1」、優勝したデポルティーボとも勝ち点差は「8」しか離れていなかった。

 この好成績により、アラベスはクラブ史上初の欧州カップ戦出場権を手にしている。

■欧州カップ戦の最高成績は?

決勝ではリヴァプールと壮絶な打ち合いを披露。クラブの黄金期だったと言えるだろう。


◎UEFAカップ 準優勝(2000-01シーズン)

 前年にラ・リーガで6位になったことで出場権を得たUEFAカップ(現UEFAヨーロッパリーグ)でも、アラベスは快進撃を見せる。4回戦でインテル(イタリア)、準々決勝でラージョ・バジェカーノ(スペイン)、準決勝で1.FCカイザースラウテルン(ドイツ)を破ると、見事決勝まで駒を進めた。決勝では延長戦の末にリヴァプールに4-5で敗れたものの、スモールクラブの大躍進は欧州に衝撃を与えた。

■主な在籍選手は?

個性豊かな選手たちが、アラベスの黄金期を彩った。乾もクラブを代表する存在となれるか。


◎アベラルド(元スペイン代表)
マウリシオ・ペジェグリーノ(元アルゼンチン代表)
コスミン・コントラ(元ルーマニア代表)
ジョルディ・クライフ(元オランダ代表)
ネネ(元ブラジルU-23代表)
◎ハビ・モレノ(元スペイン代表)

■乾が狙えるポジションは?

躍進するチームのキーマンだったホニー・ロドリゲス


◎4-4-2の中盤左サイド

 今季のアラベスは、時折4-3-3を導入することがあるものの、基本的には4-4-2を採用している。指揮官のアベラルドから厚い信頼を得ていた中盤左サイドのホニー・ロドリゲスは、第18節バレンシア戦で足首を負傷。左サイドに開いてから中央にカットインする乾のキャラクターは、今のアラベスに欠けているものを十分に補うことだろう。

文=松本武水
写真=Getty Images

SHARE

SOCCERKING VIDEO