2018.05.30

これを読めばすべてわかる! リーガ・エスパニョーラ 17-18シーズン「全クラブ通信簿」(1位~10位編)

17-18シーズンのリーガ・エスパニョーラを総括 [写真]=Getty Images
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 4月下旬にバルセロナの2年ぶり通算25度目のリーグ優勝が決定すると、残り3節の時点で降格3クラブがすべて決定。今シーズンは、順位表の上でも下でも明確な差が存在した。リオネル・メッシが2年連続で“ピチーチ(得点王)”を、ヤン・オブラクが3年連続で“サモラ賞(最少失点率GK)”を獲得したことも考えても、例年に比べてかなり“あっさり”した1年だったことは否めない。

 それでも、バレンシアやベティスの復活は古参のリーガファンには嬉しいトピックスであり、ヘタフェやジローナといった昇格組の躍進は、一般的に想像する“スペインらしさ”とは一線を画す戦いぶり(戦術)も含めて、サッカーの奥深さを我々に提供してくれた。ピッチ上での対戦は実現しなかったとはいえ、乾貴士と柴崎岳の“日本人対決”、また“ランチタイム・クラシコ”も歴史的イベントであった。

 最終節を待たずして、チャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)の出場権争いに決着がついたことは、ファンにとっても朗報だったと言える。勝負が最優先される状況であれば、アンドレス・イニエスタやフェルナンド・トーレスら、今シーズン限りで退団を発表したレジェンドたちとの“お別れパーティー”を享受する余裕はなかったはずだからだ。(トーレスの2ゴールは存在しなかったかもしれない……)

 最終盤での“タイトルマッチ”や“サバイバルマッチ”が、リーグ戦最大の見どころであるのは間違いない。ただ、リーガ・エスパニョーラを彩ってきたクラック(名手)たちとの別れには、勝負という枠組みを超えて、純粋に彼らのプレーそのものを堪能できる舞台はやはり必要だった。そういう意味で、今シーズンは最高のフィナーレを迎えられたのではないだろうか。

写真=ゲッティイメージズ
文=Footmedia

■優勝:バルセロナ 95点

 CLはベスト8敗退。伏兵ローマに足元をすくわれた。そのマイナスイメージはどうしても拭えないので満点をつけることはできないが、リーグとコパ・デル・レイの2冠を達成したことには高い評価を与えるべきだろう。
 なにせ今シーズンは異例の1年だった。8月にはネイマールが電撃退団。後釜として狙っていたフィリペ・コウチーニョの獲得に失敗(※冬の移籍市場で加入)し、鳴り物入りで加入したウスマン・デンベレも早々に負傷離脱を強いられた。ピッチ外でも、バルセロナ中心部でテロが発生。10月には、カタルーニャ独立を問う住民投票による混乱が原因でクラブ史上初の無観客試合が行われた。
 ただ、再三のトラブルに見舞われながらも、チームは安定飛行を続けてきた。第37節のレバンテ戦に敗れて無敗優勝を逃したが、黒星はこれだけ。34得点12アシストを記録し、チーム総得点(99)の半数近くを演出したリオネル・メッシの存在感はさすがだった。
 MVPには、就任1年目でチームを再建したエルネスト・バルベルデ監督を推したい。“クライフ門下生”でありながら、バルセロナでは異端の4-4-2を導入。攻守のバランスを安定させると同時に、メッシの能力を最大限に生かすという難しいミッションをやり遂げた。アンドレス・イニエスタがいなくなる来シーズンは、世代交代を進めながら欧州制覇を目指すという難易度の高いタスクに挑戦する。果たしてどんな答えを出すのか、真価の問われる1年となりそうだ。

■2位:アトレティコ・マドリード 90点

 アトレティコ・マドリードも、優勝したバルセロナに劣らずいくつもの困難を抱えたチームだった。補強禁止処分によって新戦力を加えられないまま開幕を迎えると、既存メンバーに負傷者が続出。エースのアントワーヌ・グリーズマンも、8試合連続無得点というスランプに陥った。CLではグループステージ敗退。ディエゴ・シメオネ体制で初めての屈辱を味わった。加えて、冬の移籍市場ではヤニック・フェレイラ・カラスコニコラス・ガイタンアウグスト・フェルナンデスの3選手が揃って中国へ旅立ち、さらに2選手が退団。トップチームに残った選手はわずか19人で、Bチームの選手がベンチメンバーに名を連ねるのは日常茶飯事だった。
 そんな逆境下にあっても、リーグ最強のディフェンスを武器に第26節まで1敗をキープ。第27節に行われたバルセロナとの首位決戦に敗れて逆転優勝の可能性は潰えたが、12月以降ずっと2位の座を守り抜いた。
 この1年で、アンヘル・コレア(23歳)、リュカ・エルナンデス(22歳)、トーマス・パルティ(24歳)といった若手が急成長。課題の一つであった世代交代が一気に進んだ。またELを制覇し、4年ぶりにタイトルを手にしたことはクラブの将来にとって大きな意味を持つ。
 噂どおりグリーズマンが退団すれば、シメオネ監督はまたしてもチームの再構築を強いられることになる。だが、フェルナンド・トーレスが「アトレティに不可能なんてない」と言うように、彼らはどんな困難があってもそれを乗り越えるクラブであり続けるはずだ。

■3位:レアル・マドリード 80点

 今シーズンのレアル・マドリードは、“2つの顔”をもったチームだった。
 CLでは、決勝ラウンド以降にパリ・サンジェルマン、ユヴェントス、バイエルンと、各国王者を次々に撃破。迎えた決勝ではリヴァプールに王者の貫録を見せつけ、前人未到の3連覇を達成した。クリスティアーノ・ロナウドギャレス・ベイルが見せたオーバーヘッド弾に象徴される“個の力”は圧倒的で、選手層、経験値、勝負強さ、監督の采配のいずれをとっても“欧州最強”の名に相応しいチームだったと言える。主将セルヒオ・ラモスが言うように「一時代を代表するチーム」として、彼らは後世まで語り継がれるはずだ。
 翻って、国内では“前年度王者”らしからぬ戦いぶりに終始した。リーグ戦では、優勝したバルセロナと17ポイント差。2位の座もアトレティコ・マドリードに譲り、3位に甘んじた。勝ち点「76」は、同勝ち点を記録した2006-07シーズン以降(当時は優勝を果たした)でのワースト記録になる。象徴的だったのが、格下レガネス相手にホームで黒星を喫して大会からの敗退を余儀なくされたコパ・デル・レイだ。昨夏にハメス・ロドリゲスアルバロ・モラタペペと有用なバックアッパーが揃って退団した影響は大きく、ダニ・セバージョスマルコス・ジョレンテヘスス・バジェホら若い新戦力はいずれも役不足を印象づけた。昨シーズンの快進撃を支えたローテーションが機能不全に陥ったことは、ジネディーヌ・ジダン監督にとっても大きな誤算だっただろう。
 新たな伝説を作った一方で、失望を買ったことも事実なので、及第点の「80点」とした。

■4位:バレンシア 90点

 残留争いに巻き込まれていた過去2シーズンから一転、CL出場権を獲得した。今シーズンからチームを率いるマルセリーノ・ガルシア・トラル監督は、組織的で規律正しく、なおかつバランスも良い4-4-2を採用。そのうえで、クラブ伝統の“堅守速攻”へと原点回帰を果たした。さらに、選手たちには体調管理の徹底を厳命。その結果、主将のダニエル・パレホは7得点7アシストを記録するなど、キャリア最高のパフォーマンスを披露した。ロドリゴ(16得点)、シモーネ・ザザ(13得点)、サンティ・ミナ(12得点)の“FWトリオ”が全員、二桁得点を記録したのも、優れた指導力とそれに応える実力があったからだ。
 また的確な補強をしたフロントの働きも見逃せない。昨夏の移籍市場では、指揮官の元教え子であるガブリエウ・パウリスタ、リーガ経験者のジョフレイ・コンドグビア、そして「ポルトガルの新たな至宝」と称されるゴンサロ・グエデスを揃って獲得。いずれも1年目から不可欠な戦力となった。欧州カップ戦がなく、国内の戦いに集中できたというアドバンテージはあったにせよ、監督、選手、フロントが三位一体となって華麗なる復活を遂げた。

■5位:ビジャレアル 75点

 開幕6試合で2勝1分け3敗とスタートダッシュに失敗したところで、フラン・エスクリバ監督を解任。2017年にBチームの監督に就任したばかりのハビエル・カジェハを後任に据えた。結果的には、この人事が大成功だった。39歳(※就任当時)の青年監督に率いられたチームは、王者バルセロナに2敗を喫したものの、2位アトレティコ・マドリード(1勝1分け)、3位レアル・マドリード(1勝1分け)、4位バレンシア(2勝)の上位陣相手に6戦負けなし。格下相手の取りこぼしも少なく、常時争っていたEL出場権を確実に手に入れた。
 ピッチ上の功労者を挙げるなら、15得点6アシストを記録したカルロス・バッカ、そしてメッシ、ルイス・スアレスと並ぶリーグ最多の12アシストを記録したパブロ・フォルナルスの新戦力2人になるだろう。ミランからのレンタルで2年ぶりのリーガ復帰を果たしたコロンビア代表ストライカーは、冬に中国へ新天地を求めたセドリック・バカンブに代わる“新エース”の役割を全う。昨シーズン、マラガでブレイクを遂げたフォルナルスも、監督交代を機にトップ下で躍動した。一方、ロドリゴ・エルナンデス(21歳)やダニエル・ラバ(22歳)の両MFの働きも印象深い。前者は、負傷で1年を棒に振った主将ブルーノ・ソリアーノの不在を感じさせない好パフォーマンスを披露。カジェハ監督のBチーム時代の教え子としてリーガデビューを飾った後者も、公式戦29試合に出場して4ゴールと結果を残した。

■6位:ベティス 90点

 1部6位は、4位で終わった2004-05シーズン以降での最高成績。EL出場権の獲得、また宿敵セビージャを上回ってシーズンを終えたのは、5年ぶりのことだった。
 彼らの最大の功績は、「リーガ・エスパニョーラ」と聞いて、まず連想する“華やかなサッカー”を実践しながら好結果を残したことにある。実際のところ、1試合平均のボール保持率(55.9%)とパス成功率(84.7%)はバルセロナとレアル・マドリードに次ぐリーグ3位だった。
 ポゼッションサッカーを信奉するキケ・セティエンを新指揮官に招へいすると、GKを含めた11人全員でパスを回し相手ゴールに迫る。まだ完成度が低かった序盤戦は相手のハイプレスの餌食となったが、時間の経過とともに右肩上がりでレベルアップを果たした。特に、バルサ育ちの技巧派DFマルク・バルトラを追加補強し、4バックから3-5-2へとシステムを変更した冬以降は“確変”。バルセロナを上回る“上手い、速い、美しい”パス回しで、第28節からは6連勝を達成し、欧州行きを決めた。
 乾貴士の獲得が噂されるなど、今夏の移籍市場でも注目の的になりそうなベティス。今後の動向から目が離せない。

■7位:セビージャ 60点

 新たに迎え入れた監督を2度にわたって解任すると、新任のスポーツディレクターにまで「クビ」を言い渡す。とにかく混迷を極めた1年だった。
 CLではマンチェスター・Uを破って初の8強入り。コパ・デル・レイでも準優勝を果たした。しかし、決勝でバルセロナに0-5で敗れるという失態を演じると、開催地マドリッドまで駆けつけたファンに総スカンを食らう。かくして、スポーツディレクターのオスカル・アリアスとヴィンチェンツォ・モンテッラ監督の解任が発表されるという非常事態に陥った。さらに昨年12月には、エドゥアルド・ベリッソ監督を更迭。同監督の場合は前月に前立腺がんを患っていることが発覚するなど、想定外のアクシデントにも見舞われた。
 ようやくクラブに平穏が訪れたのは、シーズン最終月の5月に入ってから。“リーグ戦4試合限定の指揮”という異例の条件でホアキン・カパロスにチームを託すと、レアル・マドリード戦の勝利を含めて3勝1分けと無敗でシーズンを終えた。かろうじてEL出場権を手に入れたことが、唯一の救いである。

■8位:ヘタフェ 80点

“敢闘賞”を与えるなら、ヘタフェになるだろう。文字どおり、彼らは体を張った。
 中盤をフラットに並べた4-4-2をベースにコンパクトな守備ブロックを作り、激しいプレスでボール奪取を敢行。イエローカード計126枚、1試合平均ファール数17.7回はいずれもリーグ最多だった。荒々しいサッカーで“ヒール役”になることをいとわず、「芝生が長いし、乾いている」と対戦相手から不評を買った本拠地のピッチコンディションを含めて、実に嫌らしいチームだった。ただ、その結果がアトレティコ・マドリード(22)、バルセロナ(29)に次ぐ33失点なのだから、戦術だけでなく戦略も含めた勝利と言える。
 攻撃もシンプルかつ効果的だった。ボールを奪うと、両サイドMFと2トップの4人で手数をかけずに攻めきってしまう。1試合平均シュート数は全20チーム中、唯一の一桁台(9.8本)、42得点も下から8番目と、一見すれば降格チーム並みの数字だが、得失点差はトップ4に次ぐ「+9」。“持たざるクラブ”が生き残るには、何が必要とされ、そして何ができるのか――それを徹底したゆえの残留であり、1部復帰1年目での躍進につながった。
 そんなチームにあって、“助っ人”の柴崎岳は22試合出場1得点を記録。第4節のバルセロナ戦でスーパーボレーを決めながら、その試合で負傷したことは不運であり、復帰後はチーム事情でサブ組に回らざるを得なかった。ただ、リーガのリアルな戦いに身を置いたことは貴重な経験となったはずだ。

■9位:エイバル 70点

 3年目を迎えたホセ・ルイス・メンディリバル体制で最高の9位フィニッシュ。14位(2015-16)、10位(2016-17)ときて、クラブ史上初となる1部での一桁順位を達成した。
 ただ、実に浮き沈みの多い1年だった。スタートはまさに最悪。ケガ人続出に主力選手の不調が重なり、開幕11試合でわずか2勝。一時は降格圏に足を踏み入れるなど、大スランプに陥った。その後、第12節からの12試合でわずか1敗。27ポイントを稼ぎ出し、EL出場権争いに加わることに成功する。0-2と完封負けを喫したものの、第24節のバルセロナ戦では首位チームを相手に大健闘を見せた。もったいなかったのは、そこから再び調子を落としたこと。バルセロナ戦を含む11試合で2勝しか挙げられず、“欧州行き”は再び持ち越しとなった。
 それでも、5月にはメンディリバル監督との契約延長が発表。最大の懸案事項が解消される一方で、“エイバルの顔”となった乾貴士や主将のダニ・ガルシア、そして生え抜きのアンデル・カバら、クラブを象徴する選手たちは揃って退団することが決まった。スモールクラブの雄は新たな時代へ突入することになる。

■10位:ジローナ 90点

 今シーズン、最も大きなサプライズを提供したチームだ。1部初参戦ながら、第10節のレアル・マドリード戦でジャイアントキリングを達成すると、中盤以降はEL出場権争いにも参戦。ラスト10試合で2勝しか挙げられずに10位フィニッシュとなったが、開幕前は降格候補筆頭だったのだから「大変よくできました」を与えるべきだろう。
 最大の功労者は、パブロ・マチン監督だ。2014年3月からチームを率いるスペイン人指揮官は、リーガでは珍しい3-4-2-1を採用。昨夏には「シティ・フットボール・グループ」の傘下に入ることが決定し、マンチェスター・Cからのレンタル組を含めて10人以上の新戦力を補強したが、独特なシステムを習熟したペレ・ポンスアレックス・グラネルら、2部時代からの主力の大半を継続起用することで極めて完成度の高いサッカーを披露した。そんな中、新加入のクリスティアン・ストゥアーニは1トップに入って、21ゴールと大爆発。昇格チームに不可欠な“点の取れるストライカー”がいたことも、大躍進を果たすことができた大きな要因だった。

欧州リーグ順位表

マンチェスター・C
32pt
リヴァプール
30pt
チェルシー
28pt
欧州順位をもっと見る
ドルトムント
27pt
ボルシアMG
23pt
ライプツィヒ
22pt
欧州順位をもっと見る
バルセロナ
24pt
セビージャ
23pt
アトレティコ・マドリード
23pt
欧州順位をもっと見る
ユヴェントス
34pt
ナポリ
28pt
インテル
25pt
欧州順位をもっと見る