戦前の予想以上に熱い試合となった“エル・クラシコ” [写真]=Soccrates/Getty Images
何のタイトルも懸かっていないが、“エル・クラシコ”はやはりヒートアップした。
試合前には「カフェインがないコーヒー」とも評され、バルセロニスタとマドリディスタの友人同士が顔を合わせれば「カンプ・ノウにはカスティージャ(Bチーム)が来るんだろう?」と軽口を叩いていた。今回の“エル・クラシコ”に例年であれば存在するちょっとした緊張感は皆無だった。
それもそのはずだ。リーガ・エスパニョーラのタイトルはすでにバルセロナが手中に収め、レアル・マドリードはバイエルンとの死闘を制し、チャンピオンズリーグ決勝進出を決めたばかり。伝統の一戦とはいえ、両者にとっては消化試合のひとつでしかない。ライバルに勝ったからといって、タイトルが減るわけでも、増えるわけでもない。単なるリーガの1節であり、手にする勝ち点も重要ではない。バルセロナは無敗でリーガを終えたい。レアル・マドリードはいい感触を手にして、5月26日のキエフでの決戦に弾みをつけたい。それぞれの思惑はそれくらいだろう。と勝手に思っていたが、試合は思いの外、熱戦だった。というよりも荒れた。両選手は頭に血が昇っていた。
原因は、はっきりしている。“ジャッジ”だ。
今シーズン限りでバルセロナを退団するアンドレス・イニエスタは、試合後の主役ではなかった。1ゴール1アシストをしたルイス・スアレスよりも、それぞれ得点を決めた両チームのエース、クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシよりもスポットライトを集めた人物がいた。彼からすればスポットライトというよりも、取調室のスタンドを顔に近づけられている感覚かもしれない。主審のエルナンデス・エルナンデスだ。
2012年8月からわずか29歳にしてリーガ1部で笛を吹き始め、2014年1月から国際審判員を務める、まさにエリートだ。これまでに“エル・クラシコ”は2試合吹いており、今回が3回目だったが、現在35歳の彼は前半終盤に試合の舵取りを上手くできていないことを露呈した。
44分、セルヒオ・ラモスとスアレスの小競り合い。その後、プレーが再開した直後の45分には、S・ラモスへのメッシのスライディングでのファウル。そして、前半アディショナルタイム1分にはサミュエル・ウムティティに対するギャレス・ベイルのファウル。一気にヒートアップした中で迎えた前半アディショナルタイム3分には、セルジ・ロベルトがマルセロの顔面を殴打し、レッドカードが提示された。前半終了間際に立て続けに危険なプレーが続いた。S・ロベルトは、当然ながらレッドカードに値した。一方、ベイルのタックルは後方からウムティティのふくらはぎを踏みつけており、レッドカードが妥当だったと多くのメディアが主張するが、イエローカードすら出なかった。
後半にも議論となるジャッジが続く。
52分、メッシのゴールの場面だ。アシストしたスアレスがラファエル・ヴァランをドリブルで抜き去ったが、ウルグアイ代表FWは競り合った時に明らかにフランス代表DFにファウルを犯したが、笛は鳴らなかった。直後の54分、バルセロナがカウンターから3-1となるゴールを決めたように思えたが、アシストをしたラキティッチがボールを受けた時のポジションがオフサイドと判定され、無効になった。微妙な判定だった。また76分にはペナルティエリア内でマルセロがジョルディ・アルバに足をかけられたが笛は吹かれなかった。明確なPKだった。
スペインのラジオ局『カデナセル』では試合が終わってからずっと疑わしいジャッジを取り上げ、来シーズンからリーガにも導入されるビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によってこのような事態がなくなるのか、真剣に議論していた。地元紙『ムンド・デポルティーボ』は電子版で「近年のエル・クラシコで最悪のジャッジ」と伝えている。
ジャッジが主役だった試合で、もうひとつ試合前から論争になっていたのが、花道だ。
タイトルを勝ち取ったチームに対して、翌節の試合ではそのタイトルホルダーを称えるため、対戦相手が入場時に花道をつくることが習慣となっていた。ただし、それを行う義務はなく、各自に任されている。例えば、前節には、コパ・デル・レイのタイトルを獲得したバルセロナを祝福するため、入場時にバルセロナの選手たちに対して、ホームのデポルティーボの選手が花道をつくり、拍手で迎えた。そしてバルセロナは、そのゲームでリーガ制覇を決めた。ゆえにカンプ・ノウでの“エル・クラシコ”では、レアル・マドリードがリーガ王者を称えるために、花道をつくるのか、とたいして話題もないので、地元メディアが大げさに報じていたが、ジネディーヌ・ジダン監督が前日会見でやらないことを明言した。
「私が花道をするかどうか、決めるわけではない。クラブワールドカップを制覇した後に、バルセロナにとっては、そのタイトルに対しての花道をすることは重要ではなかった。誰かが言うには、(バルセロナは)クラブワールドカップには出場していなかったのだからする必要はない、というものだ。それは嘘だ。クラブワールドカップに出場するためにはチャンピオンズリーグに勝たなければいけないし、チャンピオンズリーグには参加しているはずだ。私が決めるわけではないが、私はしたくない。(クラブワールドカップ制覇直後のゲームだった“エル・クラシコ”で)彼らはしなかった。私たちはやらない。なぜなら彼らもやらなかったからだ。最も大事なのは、バルセロナが達成したことを尊重することだ。私にとってリーガを勝ち取るのは、最も美しく、難しいことだ。だけどもうこの話題は終わりだ。彼らが花道をしていれば、今までのままこういう風に何も壊すことはなかった」
フランス人指揮官の言葉どおり、レアル・マドリードの選手たちは花道をつくらなかったが、この話題は試合後も続いた。というよりも続けさせたい人物がいた。レアル・マドリードとのライバル関係をいじるのが好きなジェラール・ピケだ。イニエスタがピッチに戻り、スタンドにわずかに残ったファンとリーガ制覇の喜びを分かち合った後だった。選手たちがセンターサークルに集まり、ロッカールームに戻る前にピケがマイクを持ち、皮肉を交えてスタンドに向けてこう言ったのだ。
「僕たちは家族に囲まれているし、彼ら(レアル・マドリード)は花道をやりたくなかったようで、僕は僕たちのスタッフに花道をつくってくれと頼んだんだ。そこを通って僕らはもう(ロッカールームに)行くよ」
バルセロナの選手たちは、エルネスト・バルベルデ監督を始めたとしたスタッフとハイタッチをしながら、ロッカールームに戻っていた。
終わってみれば、最初から最後まで多くの話題が生まれた“エル・クラシコ”だった。意外にもヒートアップした今回の一戦で、最も気を揉んでいるとすれば、2つのクラブから多くの選手を招集し、ワールドカップに挑まなければいけないスペイン代表監督フレン・ロペテギくらいだろう。
文=座間健司
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By 座間健司