日本のバルサスクールに通う子供たち [写真]=Alex Gallardo Ginesta
バルセロナスクール葛飾校、福岡校に通う子どもたちは、バルセロナの価値観を日々吸収し続けている。
約2年前、アンドレウ・セラロスコーチは地元カタルーニャのカルデルスを離れ、まったく異なる状況に身を置くことになる。それまで勤務していたのは、環境の整ったバルセロナのFCBエスコラ(バルサスクール)だったが、遠い日本のFCBエスコラ「バルセロナスクール葛飾校(以下葛飾校)」のテクニカルディレクターに就任することが決まったのだ。
人口約1,300万人を擁する東京にある葛飾校。このスクールに通う生徒たちは、“ボンディア(カタルーニャ語でこんにちはの意)” の挨拶でグラウンドに現れ、“アスタマニャーナ(スペイン語でまた明日の意)”で帰宅する。
葛飾校の子どもたちは、単にサッカーの技術向上だけを求めてスクールに通っているのではない。スポーツ以外の価値感のほか、自分たちが生まれ育った国とは異なる文化も学んでいる。月曜日から木曜日まで、5歳から12歳の選手たちが、バルセロナのエンブレムを身に着けてさまざまなトレーニングに励んでいるが、その中にはクラブの応援歌を歌える子どももいるという。
日本のスクールは毎年バルセロナ遠征を行っている。5月上旬、現地バルセロナのミニエスタディを訪れた選手たちを引率していたアンドレウコーチは、スペインメディア『ムンド・デポルティーボ』のインタビューに対して次のように語った。「私たちはサッカー選手を育んでいるのではなく、1人の人間としての成長により重きを置いています。子どもたちの中には将来プロ選手になる子もいるかもしれませんし、それはもちろん素晴らしいことでしょう。しかしそれが私たちの1番の目的ではないのです」

スクールコーチを務めるアンドレウコーチ [写真]=Alex Gallardo Ginesta
日本には、葛飾からおよそ1,000キロ離れた福岡にも「バルセロナスクール福岡校(以下福岡校)」がある。この福岡に程近い熊本では、2016年に大きな地震が発生した。被災地を中心に多くの人々が苦しんだが、福岡校に通うカイト君もその1人である。震災で交通手段が断絶してしまったため、地元熊本からトレーニングに参加することができなくなったのだ。
カイト君が自宅から片道1時間半をかけて福岡校に通えるようになったのは、地震発生から1カ月半後のことである。先日、バルセロナを訪問した福岡校の生徒の中には、このカイト君の姿もあった。ミニエスタディの芝生の上でリフティングをするその表情は、笑顔に満ち溢れていた。
男子生徒だけでなく、福岡校にはマリンちゃん、ヒイロちゃん、ナナちゃんという女子選手も在籍している。彼女たちもまた、プロを夢見て日々トレーニングに励んでいる生徒だ。同校のディレクターとして指導を行っていたチャビ・モンデロコーチは、このたび中国のバルサスクールへの異動が決まっており、今後はオスカル・コカコーチがその役を引き継ぐことになる。
(記事提供:ムンド・デポルティーボ日本語版)