2017.02.01

【コラム】柴崎岳が移籍したテネリフェとは? 100年を超えるクラブ史を紐解く

柴崎岳
スペイン2部テネリフェへの移籍が決まったMF柴崎岳 [写真]=AMA/Getty Images

 ヨーロッパの冬の移籍市場の最終日となる1月31日、鹿島アントラーズMF柴崎岳のテネリフェへの移籍が決定した。

 リーガ・エスパニョーラ2部に所属するテネリフェは、柴崎の移籍先として当初有力視されていた1部のラス・パルマスと同じく、カナリア諸島に拠点を置く。同諸島を形成する7つの島で、最大の人口を誇るテネリフェ島を本拠地とするテネリフェと、それに次ぐ人口を有するグラン・カナリア島を本拠地とするラス・パルマスとの間には、自治州での覇権を争う2大クラブとして強烈なライバル意識があり、“デルビー・カナリオ”と呼ばれる両者の対戦はスペイン有数の熱狂的なダービーとして知られている。

 大西洋に浮かぶカナリア諸島は、スペイン本土であるイベリア半島からは遥か遠く、アフリカ大陸の北西部に近接し、レアル・マドリードのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドの出身地として知られるポルトガル領マデイラ諸島の南に位置している。このような地理的要因や年間を通じて温暖な気候的要因が相俟って、カナリア諸島のクラブはショートパスで相手を崩すという典型的なラテン系のスタイルを特徴としている。とはいえ、テネリフェは宿敵のラス・パルマスに比べ、より戦術的な側面も伝統的に持ち合わせている。

 実際、バルセロナの近年の最強部隊を作り上げたジョゼップ・グアルディオラ氏(現マンチェスター・シティ監督)が師と仰ぐフアン・マヌエル・リージョ氏(現セビージャ・アシスタントコーチ)、バレンシアやリヴァプールで一時代を築いたラファエル・ベニテス氏(現ニューカッスル監督)など、テネリフェは戦術家として高い素養を持つ指導者にチームを委ねることが多い。また、現指揮官であるホセ・ルイス・マルティ監督は、現役時代はテネリフェの1部昇格に貢献し、セビージャやマジョルカでも主力を務めるなど、2015年に40歳で引退するまで、戦術眼に優れた選手として息の長い活躍を見せた。

 1912年創設と堂々たる歴史を誇るテネリフェだが、ディビシオネス・レヒオナーレス(地域リーグ)での戦いが長く続いたため、リーガ・エスパニョーラに昇格したのは1953年とそれほど古くはない。以降、2部での在籍期間が40シーズンと最も長く、1部で13シーズン、3部で8シーズン、4部で3シーズンと続いている。一方、ライバルのラス・パルマスは、1949年創設と歴史は浅いものの、1部で33シーズン、2部で28シーズン、3部で6シーズン、4部で1シーズンと、実績ではテネリフェを上回っている。

 100年を超すクラブ史における黄金期は、10シーズン連続で1部に在籍した1989-90シーズンから98-99シーズンまでとなる。そして、レアル・マドリードをその後率いることになるホルヘ・バルダーノ氏が指揮を執った92-93シーズンおよびバイエルンに数々のタイトルをもたらしたユップ・ハインケス氏が指揮を執った95-96シーズンに、歴代最高位となる5位を記録している。

 とはいえ、テネリフェがスペイン全土にその名を轟かせる決定打となったのは、レアル・マドリードの前に天敵として立ちはだかった伝説の2試合に他ならない。91-92シーズンならびに92-93シーズン、2年連続で首位レアル・マドリードと最終節で対戦するという奇遇な巡り合わせに遭ったテネリフェ。だが、ホルヘ・バルダーノ氏がベンチから采配を揮い、卓越したテクニックならびにゲームビジョンを持つMFフェルナンド・レドンド氏や95-96シーズンにはスペインおよびヨーロッパのダブル得点王を獲得したFWフアン・アントニオ・ピッツィ氏らがピッチで躍動するチームは、いずれもホームで大金星をもぎ取った。逆に、よもやの返り討ちに相次ぎ見舞われたレアル・マドリードは、ヨハン・クライフ監督率いる宿敵バルセロナに最終節で優勝をさらわれるという屈辱を2シーズン連続で味わった。

 栄光の10シーズンが幕を閉じてからのテネリフェは、2001-02シーズンならびに09-10シーズンと2度に渡り1部に復帰した。しかし、11-12シーズンからは3部でのプレーを余儀なくされ、13-14シーズンに復帰した2部でも残留が精一杯と、近年は苦しい戦いが続いている。

 ところが、今シーズンは42試合のうち23試合を消化して6位と、8シーズン振りの1部復帰に向けて好位置に着けている。首位のレバンテとは15ポイント差があるものの、2位のジローナとは8ポイント差と、自動昇格の上位2チームに入るチャンスはまだ残されている。また、現在の順位を最後までキープすれば、3位から6位までの4チームで残り1枠を争うプレーオフに進むことができる。

 テネリフェとの契約は今シーズン末までとなる柴崎は、「日本に戻るつもりはない。できるだけ長くスペインでやりたい」との言葉通り、半年という短い期間で勝負を賭けることになる。しかし、中心選手としてチームを昇格に導く活躍を見せられれば、テネリフェとの契約延長やよりレベルの高いクラブへの移籍など、来シーズンの1部でのプレーへと必ずや道が開けるはずだ。

文=北村敦

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