2016.11.13

【コラム】スペイン冬の風物詩、C・ロナとメッシのバロンドール争いも今年が最後か?

8年間バロンドールを独占してきたC・ロナウド(左)とメッシ(右) [写真]=Getty Images
フリーライター&フォトグラファー。スペインで活動中。

 秋から冬にかけての風物詩が今年もスペインで始まった。レアル・マドリード寄りのメディアは白い7番を、バルセロナ寄りは青とえんじの10番を強烈にプッシュする。アメリカ大統領選挙の報道にも似ているが、投票券がないであろう大多数の読者に向けて「バロンドールにより適しているのは彼だ」とアピールする。

 クリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシの2人がバロンドールを独占してから実に8年が過ぎた。2008年にC・ロナウドがバロンドールを受賞し、メッシは2位だった。それから2010年を除いて、2人はバロンドールの最終候補3人に選出され、得票数の1位と2位を分け合ってきた。毎年のように世界中から有望な若手が現れ、移り変わりが早いサッカーの世界において、世界最高の選手に与えられる個人タイトルを8年の間も独占していたのは、後にも先にも彼ら2人だけとなるだろう。ヨハン・クライフとベッケンバウアーという偉人が世界の覇権を代表とクラブで争っていたが、8年も続かなかった。かつては欧州に生まれた選手だけに受賞資格があったが、ペレでもマラドーナでも彼らのように8年もの間、ずっと個人タイトルを争っていたかは疑わしい。僕らは2人の選手がとても長い期間世界を統治している稀有な時代を目の当たりにしている。

 2016年は代表でもクラブでも欧州王者となったC・ロナウドが優位だと言われている。メッシはリーガ・エスパニョーラ、コパ・デル・レイを獲得したが、代表では南米選手権決勝で敗れた。主要タイトル獲得という観点では、ポルトガル人に分がある。レアル・マドリードOBの元ブラジル代表ロベルト・カルロス氏は「CR7はすでに自宅にトロフィーがあるだろう。だけど、まだ誰にも言っていない」とコメントしていたが、同氏は自身に起きたことを忘れている。2002年にロベルト・カルロスはレアル・マドリードでチャンピオンズリーグ、トヨタカップを制覇し、ブラジル代表ではワールドカップを獲得していながら、バロンドールを勝ち取れなかった。ワールドカップ得点王のロナウドに次いで2位だった。

 タイトルの数、価値では文句なしだが、バロンドールは得点を決めるフォワードの選手が多く受賞しているようにインパクトが重要な意味を持つ。2010年は誰もがワールドカップ制覇の原動力でバルセロナで活躍していたアンドレス・イニエスタかシャビ・エルナンデスにバロンドールが渡るだろうと考えていたが、結局メッシが受賞した。世界各国には2人のアシストやゲームメイクよりも、メッシの得点シーンの方が圧倒的にニュースとして放映される回数が多い。投票券を持つ世界各国代表の監督、キャプテンがどんなシーンを最も目にするか。週末のリーグ戦、週中のチャンピオンズリーグでスーパープレーが瞬時に世界に拡散される現代だ。タイトルよりもインパクトに気持ちは傾きやすい。ちなみに2010年は、ワールドカップとチャンピオンズリーグでファイナリストになり、両チームの中心にいたウェスレイ・スナイデルは最終候補にも残れなかった。

 シーズンも序盤戦を終えようとしている。バルセロナ寄りのメディアは「ベストの選手か、タイトル獲得者か」といった見出しをつけて、メッシを推す。新シーズンが始まって、C・ロナウドよりもメッシのパフォーマンスが優れているのは明らかだ。ポジションを下げて、ゲームメーカーとして決定的な仕事をする試合もあれば、破壊力あるドリブルで相手ディフェンスを崩壊させ、得点で勝利を導くゲームもある。一方、C・ロナウドは負傷で出遅れたとはいえ、新シーズンはさしたるインパンクトも結果も残せていない。依然として危険なストライカーであることは間違いないが、31歳のアタッカーに陰りが見える。マドリード寄りのメディアも結果とパフォーマンスが伴ってきたベイルを新たな顔として推したいが、契約を更新したペレス会長の意向も汲まなければならない。同じ紙面にはそんなジレンマが透けて見える。

 C・ロナウドはベストフォームを取り戻せるのか。スペインの冬の風物詩は今年が最後となる可能性は高い。

文=座間健司

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