マンチェスター・ユナイテッドとブライトンが今週末に激突 [写真]=Getty Images
今週末のプレミアリーグ第5節では、日本代表MF三笘薫を擁するブライトンが敵地でマンチェスター・ユナイテッドと激突する。それでは因縁もある両者の対戦を徹底プレビューしよう。
[写真]=Getty Images
■対戦成績
まずは対戦成績を見てみよう。両者はプレミアリーグで過去に12度対戦しているが、一度も引き分けたことがない。これまでマンチェスター・ユナイテッドが7勝5敗と勝ち越しているが、最近の対戦はブライトンに分がある。プレミアでの最近3度の対戦はいずれもブライトンが制しているのだ。昨シーズンは、FAカップ準決勝での対戦こそマンチェスター・ユナイテッドがPK戦の末に勝利を収めたが、リーグ戦ではブライトンがダブル(ホーム&アウェイで勝利)を果たした。
もし、今回もブライトンが勝つようなことがあれば、リヴァプール(2000~2002年)とマンチェスター・シティ(2013~2014年)に続いてプレミア史上わずか3チーム目となるユナイテッド戦での4連勝を達成することになる。そしてマンチェスター・ユナイテッドをどん底に突き落とすことになる。今季ここまで2勝2敗のマンチェスター・ユナイテッドは、この試合に敗れると1989-90シーズン以来となる開幕5試合で3敗目という非常事態に陥るのだ。
だがマンチェスター・ユナイテッドにも意地がある。苦しいスタートを切った彼らだが、サポーターが見守るホームゲームでは結果を残しているのだ。昨シーズンの終盤から数えてホームでのリーグ戦は8連勝中。前回、これよりもホームで長い連勝を飾ったのは最後にリーグ制覇したアレックス・ファーガソン政権ラストイヤーの2012-13シーズンだ。確かにマンチェスター・ユナイテッドは本拠地で盤石の力を発揮しており、ホームでのリーグ戦は最近20試合も無敗(17勝3分け)を維持している。最後に彼らが本拠地で敗れたのは昨シーズンの開幕戦。その時の相手というのが…ブライトンだ!
■ユナイテッドキラー
昨シーズンの開幕戦は歴史的な事件だった。エリック・テン・ハフ体制の初陣を白星で飾りたいマンチェスター・ユナイテッドだったが、前半のうちにMFパスカル・グロスに2ゴールを許すと、後半途中からFWクリスティアーノ・ロナウドを投入して反撃を試みるもオウンゴールで1点を返すのが精いっぱい。初対戦の1909年から113年後、初めてオールド・トラッフォードでの試合でブライトンに敗戦を喫したのだ。
「他の試合でもゴールを決めたいけど、なぜかいつもユナイテッド戦なんだ」と試合後に語ったのは、2ゴールでチームを勝利に導いたMFグロスだ。彼はまさに“ユナイテッドキラー”である。2017年にブライトンに加入したグロスは、これまでプレミアリーグで196試合に出場して27得点しているが、そのうち「22%」をマンチェスター・ユナイテッド戦で決めているのだ。
プレミアでのマンチェスター・ユナイテッド戦では10試合に出場して6ゴール・2アシスト。彼が最もゴールを決めている相手がマンチェスター・ユナイテッドなのだ。ちなみにデータ会社『Opta』によると、プレミア史においてグロスよりもマンチェスター・ユナイテッド戦でゴールを決めている選手はアラン・シアラー(10ゴール)、モハメド・サラー(10)、ティエリ・アンリ(8)、セルヒオ・アグエロ(8)など8名しかいないという!
■注目のストライカー対決
先日の日本戦でドイツ代表デビューを飾ったMFパスカル・グロスよりも注目を集めることになるのは、両チームのストライカーだろう。今オフに移籍金7200万ポンド(約132億円)でアタランタからマンチェスター・ユナイテッドに加入したデンマーク代表FWラスムス・ホイルンド(20歳)がようやくオールド・トラッフォードのピッチに立つのである。ケガの影響で出遅れていたストライカーは、前節のアーセナル戦で67分からピッチに立って待望のデビューを果たした。
出場時間は短かったもののアーセナル戦では192㎝の長身を活かした抜群のフィジカルでブラジル代表DFガブリエウ・マガリャンイスを苦しめたほか、終盤には華麗な足技で決定機を演出。抜け出したアレハンドロ・ガルナチョがオフサイドの判定となって勝ち越しゴールは認められなかったが、間違いなく大物の片鱗を示した。
とはいえ、本当に獲得すべきはホイルンドだったのか? その疑問が、今回の試合で解き明かされるかもしれない。今夏、ストライカーの補強が必須だったマンチェスター・ユナイテッドは色々な選択肢を模索した。ハリー・ケインやヴィクター・オシムヘンは予算オーバーだったため、彼らは若手を連れてくることに。最終的にホイルンドに決まったが、ブライトンの18歳、アイルランド代表FWエヴァン・ファーガソンを求める声もあった。昨季ホイルンドがアタランタで公式戦34試合に出場して10ゴールを奪ったのに対し、ファーガソンは25試合で10ゴールを決めていたのである。
そのため元アイルランドのジェイソン・マカティア氏などは「なぜ誰もファーガソンを獲得しなかったのか理解できない。ホイルンドはまだ実績がない。一方、ファーガソンは過去12カ月で十分なクオリティを見せつけたと思う」と同胞の新星について力説している。
いずれにせよ、プレミアリーグの次世代ストライカー対決はこの試合の最大の注目ポイントとなるだろう。
■三笘薫の夢舞台
当然、日本のアタッカーも注目の的になる。昨シーズンの敵地でのマンチェスター・ユナイテッド戦では出番がなかった三笘薫だが、今回こそはピッチに立つはずだ。実は、“夢の劇場”ことオールド・トラッフォードは、日本人にとって何かと縁起の良いスタジアムなのだ。17年前の9月13日には、当時セルティックに所属していた元日本代表MF中村俊輔がチャンピオンズリーグにおける日本人初ゴールを決めたが、その試合がオールド・トラッフォードでのマンチェスター・ユナイテッド戦だった。チームは2-3で敗れたが、名手エドウィン・ファン・デル・サールの守るゴールに得意の直接FKを叩き込んで見せたのだ。そのシーズン、中村俊輔はホームでのマンチェスター・ユナイテッド戦でも再び直接FKを蹴り込んでチームを勝利に導いている。
その3年前には稲本潤一がオールド・トラッフォードで鮮烈なゴールを決めて見せた。当時フルアムに所属していた日本のミッドフィルダーは、2-1とリードして迎えた79分、敵ゴール前に飛び込むと味方からの浮き球のパスを左足で合わせてチームの3点目をゲット。チームをマンチェスター・ユナイテッドの本拠地では約40年ぶりとなる勝利に導いた。
2012年には日本代表がオールド・トラッフォードで躍動した。ロンドン五輪に出場したU-23日本代表はグループステージでスペインを撃破するなど順調にベスト8に駒を進めると、オールド・トラッフォードで行われた準々決勝であのモハメド・サラー(現在リヴァプール所属)を擁するエジプトと対戦。オーバーエイジ枠のDF吉田麻也のゴールのほか、FW永井謙佑やFW大津祐樹もネットを揺らして3-0で快勝した。
その翌年、2013年1月30日にはプレミアリーグの舞台で初めて日本人初対決が実現したのだが、その舞台もオールド・トラッフォードだった。当時マンチェスター・ユナイテッドに所属していた香川真司とサウサンプトンの吉田麻也がピッチ上で相まみえることに。試合は、香川真司のパスをFWウェイン・ルーニーが決めるなどしてホームのマンチェスター・ユナイテッドが2-1で勝利した。
同年3月には、マンチェスター・ユナイテッド加入1年目の香川真司がオールド・トラッフォードでのノリッジ戦で偉業を成し遂げる。先発出場した背番号26は、前半終了間際にネットを揺らすと、76分にはルーニーのパスを右足インサイドで恐ろしいほど冷静に流し込んで2点目。その11分後には、再びルーニーのパスからゴールを奪ってハットトリック。日本人が世界最高と呼ばれるプレミアリーグでハットトリックを達成したのは、今のところオールド・トラッフォードでのこの1回だけだ。ちなみにこのシーズン、マンチェスター・ユナイテッドは首位の座を維持し続けて頂点に立っただが、それ以降はリーグ制覇から遠ざかっている。
果たして日本代表MF三笘薫は、日本人にとって縁起の良い“夢の劇場”で活躍することができるのか? 16日に行われるマンチェスター・ユナイテッド対ブライトンの一戦に注目だ。
(記事/Footmedia)
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