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アンリやオーバメヤンも”渋々”選択?…アーセナルのエースナンバー「14」にまつわる誤解とは

2023.01.05

アーセナルで背番号「14」を背負った選手たち [写真]=Getty Images

 熱戦が続くプレミアリーグでアーセナルの勢いが止まらない。今季ここまで17試合を戦って勝ち点44の首位。無敗優勝を果たした2003-04シーズン以来、実に19年ぶりのリーグ優勝に向けて邁進しているのだ。
 
 アーセナルが首位で新年を迎えるなど誰が想像しただろか? アーセン・ヴェンゲル政権の晩年から優勝争いとは無縁の生活を送るようになった同クラブは、過去6シーズンはトップ4にさえ入れていなかった。それが今シーズンはFWガブリエウ・ジェズスやDFオレクサンドル・ジンチェンコ加入の影響もあり、攻守の連係がかみ合うようになると、開幕5連勝を飾るなどスタートダッシュに成功。それでも”前線の大黒柱”ジェズスがFIFAワールドカップカタール2022で膝を負傷して離脱すると、チームは失速するものと思われた。
 
だがエースを欠いた手負いのチームは、若いメンバーがその穴を埋めようと猛アピール。とりわけ先発の機会を得たFWエディ・エンケティア(23歳)は、今季リーグ戦初スタメンとなった12月26日のウェストハム戦でネットを揺らすと、大晦日のブライトン戦でもゴールを決めて勝利に貢献。新年最初のニューカッスル戦こそ無得点でゴールレスドローに終わったが、何とかジェズスの代役を務めようと奔走している。
 
ようやく松葉杖が要らなくなったジェズスが復帰する2月まで、もしくは新たな戦力を補強するまでは、クラブ生え抜きの背番号「14」の両肩に重圧がのしかかることになる。やはりアーセナルの優勝のカギを握るのは“エースナンバー”「14」だ…と言いたいところだが、果たしてアーセナルにとってエースナンバーは「14」で正しいのか?
 
 クラブの”英雄”ティエリ・アンリ氏が着用していたことでエースナンバーと言われるようになったアーセナルの「14番」だが、実はアンリ本人を含めて多くの選手は“渋々”その背番号に袖を通していたのだ。それでは、本当は望まれていないアーセナルの「14番」の系譜を見てみよう。

[写真]=Getty Images
 

エディ・エンケティア

着用期間:2022年6月〜

エディ・エンケティア

2022-23シーズンから「14番」を背負うエンケティア


 
 ロンドン生まれのストライカーは、14歳でチェルシーの下部組織から放出されてアーセナルのアカデミーに入団。順調にステップアップを果たし、2017年に18歳にしてヨーロッパリーグ(EL)の試合でトップチームデビューを飾った。当時の背番号は「62」だった。
 
 子供の頃からアーセナルファンだというエンケティアは「ティエリ・アンリ、デニス・ベルカンプ、イアン・ライトのプレーを見て育った」と語り、アンリが2015年にアーセナルのユースチームのコーチを務めていたころには様々なアドバイスを貰ったという。
 
 2018-19シーズンには背番号「49」を身にまとってプレミアリーグで初ゴールを決めた。そして翌シーズンには武者修行のため当時2部リーグに在籍していたリーズにローン移籍。そのリーズで背番号「14」を着用し、半年後にアーセナルに呼び戻されるまで公式戦19試合に出場して5ゴールをマークした。
 
 2020年1月にアーセナルに復帰すると背番号「30」を渡された。出場機会が限られる中で、同シーズンのFAカップ決勝のチェルシー戦に途中出場して優勝に貢献。2020-21シーズンも途中出場の日々が続いたが、翌2021-22シーズンの後半になってようやくスタメンに定着。昨年4月のチェルシー戦で2得点して勝利に貢献すると、そこからプレミアリーグで5ゴールの活躍を見せた。昨夏、契約が満了することになっていたが、シーズン後に晴れて5年契約を結び直し、憧れのアンリが着けていた背番号「14」も手に入れた。
 
 そんな”アンリ先輩”を「子供の頃からのアイドル」と尊敬して止まないエンケティアでさえ、もしかすると違う番号を望んでいたのかもしれない。同選手は自身の背番号について「一番好きな番号は『9番』だけど、『14番』も本当に好きなんだ。子供の頃からアンリに憧れていたので、ずっと彼のように『14番』を着けたかった。だから『14番』を着用するチャンスが巡ってきたときは躊躇しなかった」とコメントしており、「14番」への愛着を熱弁しつつも「一番好きな番号は『9番』」と語っているのだ!
 

ピエール・エメリク・オーバメヤン

着用期間:2018年1月~2022年1月

ピエール・エメリク・オーバメヤン

オーバメヤンはアーセナルで「14番」を背負い、約4年間に渡って活躍


 
 ガボン代表で背番号「9」、ドルトムントで背番号「17」を着用していたストライカーが「14番」に袖を通したのは2018年1月にアーセナルに加入したときだ。ドルトムントから加入したオーバメヤンは当初、「7番」を希望していたという。FWアレクシス・サンチェスが着けていた背番号だが、同選手はオーバメヤンが加入する直前にマンチェスター・Uへ移籍。そのため背番号「7」が空席になると思われていた。
 
 しかし、サンチェスとのトレードでユナイテッドから加入したMFヘンリク・ムヒタリアンが、オーバメヤンが加入する1週間前に背番号「7」を先取り。そのためオーバメヤンは「ほとんど背番号に空きがなかった。『7番』が良かったがムヒタリアンに取られてしまったしね。そこで『英雄の足跡をたどるのも悪くない』と思ったのさ」と、アンリの背番号を受け継ぐ決心を固めたという。
 
 結局、オーバメヤンはアーセナルで公式戦163試合92ゴール。キャプテンまで任されるようになったが、2021年3月のノースロンドンダービーで遅刻してスタメン落ち。同選手は遅刻の常習犯で、同年12月にも無断で練習を休んで今度はメンバー外。そして腕章を剥奪されて、昨年1月末に契約解除となりバルセロナへ移籍。現在はチェルシーに所属している。
 

セオ・ウォルコット

着用期間:2008年7月~2018年1月

セオ・ウォルコット

約9年半アーセナルに在籍していたウォルコット


 
 2006年1月に16歳にして加入したスピードスターは、サウサンプトン時代に着用していた背番号「32」をアーセナルでも着用することに。そして2008年、前年にクラブを退団した英雄アンリの背番号「14」を引き継ぐことになったのだが、実は本人の希望は違ったという。
 
 そのスピードとプレースタイルから「ニュー・アンリ(新たなアンリ)」と呼ばれ、名将アーセン・ヴェンゲルに大いに期待されたウォルコットが「14番」を背負うのは当然のように思えた。しかし「最初は背番号『8』が欲しかった」と、後に『talkSPORT』のインタビューで明かしている。「でもサミル・ナスリが加入したので、『8番』はダメだと言われたんだ。そこで、あまり考えずに、それならば『14番』で良いと言ったんだ。あとで『ヤベ、アンリの番号だ』と気づいたんだ!」
 
 そのウォルコットだが、アンリのようなウインガーからストライカーへのコンバートには失敗。なかなかポテンシャルを最大限に発揮できず、2018年1月にエヴァートンに移籍した。それでもアーセナルで公式戦397試合108ゴールという成績を残した。
 

■ティエリ・アンリ

着用期間:1999年~2007年

ティエリ・アンリ氏

アーセナルのクラブ歴代最多スコアラーでもあるティエリ・アンリ


 
 アーセナルの背番号「14」を神格化したのは、クラブ歴代最高プレーヤーのアンリだ。モナコ時代にヴェンゲル監督の元でプロデビューを果たしたアンリは、1999年に恩師に誘われてユヴェントスからノースロンドンにやってきた。そしてストライカーを任されるのだが、当初アンリは「僕はゴールを奪えないのに…」とヴェンゲル監督の起用法に首を傾げたという。しかし、2007年にバルセロナへ移籍する頃にはクラブ歴代最多ゴールを奪う世界最高のストライカーに成長していた。
 
 そのアンリですら最初から「14番」を希望していたわけではない。彼のお気に入りの背番号は、子供の頃から憧れていた元オランダ代表FWマルコ・ファン・バステン氏が着用していた背番号「12」なのだ。1988年の欧州選手権の決勝で角度のないところから伝説のボレーシュートを決めたファン・バステン氏に憧れたアンリは、子供の頃に何度も英雄の真似をしていたという。そして自身がフランス代表として1998年のW杯を制したときも「12番」を背負っていた。

 アーセナル加入時も「12番」を希望したというアンリ。「私の本来の番号は『14』ではなく『12』なんだ」とコメントしつつ、アーセナルでの「14番」選択の経緯については「でもアーセナルに加入したとき、FWクリストファー・レーが12番を着けていたので、私は仕方なく14番になったのさ」と明かしている。

「14番」というイメージが定着したアンリだが、2012年にニューヨーク・レッドブルズからのローン契約でアーセナルに再加入した際には、晴れて大好きな背番号「12」に袖を通したのだった。
 

■マーティン・キーオン

着用期間:1993~1999年

マーティン・キーオン

長く「5番」を背負っていたキーオンもかつては「14番」を着用


 
 プレミアリーグに固定ナンバー制が導入されたのは1993-94シーズンのこと。そのシーズン、アーセナルの一代目の「14番」を任されたのが、センターバック(CB)としてアーセナルで堅守を築いたマーティン・キーオンである。1993年にエヴァートンから加入した”レジェンド”は、アーセナルで公式戦422試合に出場して3度のリーグ制覇に貢献した。
 
 加入当初、アーセナルにはDFトニー・アダムスとDFスティーヴ・ボールドという絶対的な存在がいたため、キーオンは一桁の番号を背負うことができず「14番」に甘んじた。それでも1999年にボールドが退団すると、ようやくキーオンはCBに相応しい「5番」を手に入れ、自身が退団する2004年までその番号を背負ったのだ。

(記事/Footmedia)

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