過去に優勝チーム以外を率いて年間最優秀監督に選ばれた監督たち [写真]=Getty Images
2021-22シーズンのプレミアリーグはマンチェスター・Cの優勝で幕を閉じた。注目の年間最優秀監督は、24日に発表される。
12日に公開された候補者は、プレミアリーグ初参戦のブレントフォードを13位に導いたトーマス・フランク氏とプレミアリーグで監督を務めるのは初めてながらクリスタル・パレスを同リーグに残留させて、FAカップ準決勝にも導いたパトリック・ヴィエラ氏。シーズン途中から率いるニューカッスルを立て直したエディー・ハウ氏に加えて、最終節まで熾烈な優勝争いを繰り広げたマンチェスター・Cのジョゼップ・グアルディオラ氏と、リヴァプールのユルゲン・クロップ氏の計5人だ。
プレミアリーグは1992-93シーズンにスタートし、年間最優秀監督の選出はその翌シーズンから始まった。優勝チーム以外の監督が受賞したのは、過去28シーズンで4回だけ。グアルディオラ氏も過去に3度、プレミアリーグを制覇した3シーズンで受賞済み。クロップ氏もリヴァプールを30年ぶりのリーグ制覇に導いた2019-20シーズンに年間最優秀監督に輝いた。優勝しなかったチームから選ばれる可能性も皆無ではないが、大きなインパクトが必要となるのは間違いないだろう。そこで今回は、過去に優勝チーム以外を率いて年間最優秀監督に選ばれた4監督の例を紹介する。
※カッコ内は当時率いていたクラブと、シーズン最終順位
[写真]=Getty Images
■2000-01シーズン:ジョージ・バーリー(イプスウィッチ、5位)
優勝チーム以外から初めて年間最優秀監督が誕生したのは2000-01シーズンだった。ジョージ・バーリー氏は1994年12月にプレミアリーグの最下位に沈んでいたイプスウィッチの監督に就任。降格を免れることはできなかったが、その後5年の月日をかけてチームを強化した。プレミアリーグ復帰を果たした2000-01シーズンは、いきなり5位と大健闘。ジェラール・ウリエ氏の下でカップ・トレブルを達成したシーズンのリヴァプールに適地で勝利を収め、翌シーズンのUEFAカップ出場権も手に入れた。
この功績が称えられて、バーリー氏はリーグ3連覇を果たしたマンチェスター・Uのアレックス・ファーガソン氏を上回って年間最優秀監督に選ばれた。しかし翌シーズンがプレミアリーグの舞台で戦った最後の一年となってしまったイプスウィッチ。現役時代も同クラブで長年にわたってプレーをしていたバーリー氏は、翌シーズン途中で解任されている。
■2009-10シーズン:ハリー・レドナップ(トッテナム、4位)
イングランド人で初めてプレミアリーグ年間最優秀監督に選ばれたのは、ハリー・レドナップ氏だった。カルロ・アンチェロッティ氏が率いるチェルシーが、勝ち点1差でマンチェスター・Uを上回ってリーグ優勝した2009-10シーズン。トッテナムがクラブ史上最高となるプレミアリーグ4位でシーズンを終えて、初めてチャンピオンズリーグ(CL)出場権を手に入れたのはこの年だった。以降、トップ4入りの常連となったトッテナムは、マウリシオ・ポチェッティーノ氏の下で2016-17シーズンにはプレミアリーグで2位となり、2018-19シーズンにはCLファイナリストとなった。
トッテナムでは2008年から2012年まで監督を務めたレドナップ氏。プレミアリーグではアーセン・ヴェンゲル(828)、アレックス・ファーガソン(810)に次ぐ歴代3位となる641試合で指揮を執った。ただし年間最優秀監督の選出回数はヴェンゲル氏が3回、ファーガソン氏が11回なのに対し、レドナップ氏はこのシーズンだけだった。
■2011-12シーズン:アラン・パーデュー(ニューカッスル、5位)
アラン・パーデュー氏が、2011-12シーズンの年間最優秀監督に決定したのは2012年5月11日。セルヒオ・アグエロがQPRを相手に試合終了間際に劇的な優勝決定弾を決める2日前のことだった。下馬評の低かったニューカッスルを5位に導いたパーデュー氏。ヨーロッパリーグ(EL)出場権も獲得した手腕が高く評価され、同シーズンのLMA(リーグ監督協会)の年間最優秀監督賞とのダブル受賞となった。
翌シーズンが始まって早々の2012年9月下旬に、クラブと8年間という超長期契約を締結したパーデュー氏。2012-13シーズンはプレミアでは16位と低迷したがELではベスト8入りを達成。しかし翌季はプレミアリーグで10位に入るのが精いっぱいで、サポーターを満足させるには至らなかった。2014-15シーズンは開幕から7戦未勝利。一部サポーターからは解任を求める声も挙がっていた。そんな中、パーデュー氏は2014年12月29日に4年間率いたニューカッスルを退任すると、その5日後に現役時代に所属したクリスタル・パレスの新監督に就任。「私は間違いなく良い仕事をしたし、堂々とニューカッスルを去ることができた」と語り、マグパイズでの仕事は失敗ではなかったことを強調した。
■2013-14シーズン:トニー・ピューリス(クリスタル・パレス、11位)
優勝したのはマヌエル・ペジェグリーニ氏が率いるマンチェスター・C。2位リヴァプールとは勝ち点2差、3位チェルシーとも4ポイント差と上位争いが拮抗したシーズンだった。就任直後は最下位に沈んでいたクリスタル・パレスを残留どころか、最終的に11位まで引っ張り上げたトニー・ピューリス氏。シーズン終盤に5連勝を飾り、第37節には首位リヴァプールに3点を先取されながら引き分けに持ち込んだことが大きなインパクトを残した。
リヴァプールのブレンダン・ロジャーズ氏が有力視されていた同年の年間最優秀監督。ピューリス氏自身はハル・シティのスティーヴ・ブルース氏が相応しいと分析。「流行遅れなクラブを率いて、プレミアに残留させ、FAカップ決勝に辿り着いた」ことを理由に挙げていたが、最終的には自らが受賞。ボトムハーフでシーズンを終えたチームから年間最優秀監督が選ばれたのは後にも先にもこのシーズンが初めてだ。なお、ピューリス氏は翌シーズンの開幕48時間前に突然クリスタル・パレスの監督を辞任。補強方針で上層部と衝突したことが原因だと言われている。
(記事/Footmedia)
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