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【インタビュー】プレミア優勝直後にノエル・ギャラガー直撃! マンCの偉大な1年を振り返る

2019.06.06

 5月12日、マンチェスター・Cがクラブ史上初となるプレミアリーグ連覇を決め、コミュニティ・シールド、リーグカップ、FAカップ(リーグ制覇の1週間後に優勝)を制し、イングランド史上初となる“国内4冠”を成し遂げる、偉大な1年となった。

 リーグ優勝を決めた日のSNS上で話題になった動画がある。

 マンチェスター・Cをサポートしていることでも知られるノエル・ギャラガーが、ロッカールームで選手たちと一緒にOasisの名曲『Wonderwall』を熱唱する姿が映し出されていた。

 そのノエルが、ソロ・プロジェクト『ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ』として、4年ぶりに日本での単独ツアーをするということで、リーグ優勝の3日後という何ともタイムリーなタイミングで、昨年のフェス来日時以来となるインタビューの機会を得た。

『Wonderwall』のエピソードや、ヴァンサン・コンパニの“あのミドルシュート”のシーンについて、そして7月に来日するチームを生観戦する時のポイントなども聞いた。

インタビュー=小松春生
翻訳=湊昂大
写真=須田康暉、Getty Images

■俺がやっていることがクラブ全体に深く染み付いている。最高に気持ちがいい

ノエル・ギャラガー

―――マンチェスター・Cのプレミアリーグ優勝、おめでとうございます。

ノエル・ギャラガー(以下、NG) Thank you very much! 最高だな。素晴らしい1日、素晴らしいシーズンだった。開幕から10試合ぐらいで決まった昨シーズンとは全く違ったな。モヤモヤしたし、エキサイティングだった。イングランド中のみんなが優勝争いも楽しんでいただろ。多くの人がシティに優勝してほしいと思っていた。メディアはリヴァプールを推していたけどな。だから最後の最後で優勝できて最高だ。

―――クラブ初のリーグ連覇でした。長い間サポートしているノエルさんにも特別なシーズンになったと思います。

NG 俺は52歳になるが、48年間もシティのサポーターだ。そのうちの38年間で獲得したタイトルはFuckin’ Nothingだぞ。この10年間で全てを勝ち取ったが、今でも優勝することはスペシャルなことだ。連覇するなんて誰も想像もできなかったことだが、それを達成した今、俺たちがイングランドサッカー界のエリートだということだ。

 クラブに関わる人たちについては言葉で言い尽くせない。俺はその全員と友人になったが、スペシャルなことだよ。(最終節の)ブライトン戦も2人の息子と見に行った。試合後にロッカールームを訪れると、みんなが『Wonderwall』を歌っていて、最高だったな。8歳の息子は、自分よりもデカいトロフィーを抱えていたし、あいつらにとっても最高の瞬間だったと思う。夢が叶った瞬間だったな。

―――優勝後決定後のロッカールームで『Wonderwall』を歌ったときはどんな気分でしたか?

NG 本当に信じられないことだ。一人のファンとして、こんな経験ができることはただただ最高だ。選手たちはすげぇいいやつらで、ついさっきリーグ優勝を果たして、疲れていただろうけど、俺の息子たちにも良くしてくれた。グアルディオラもまったくFuckin’最高な男だ。言葉では言い表せない。本当に素晴らしい時間だった。もちろんみんな、これが永遠に続くとは考えていない。これから10年はビッグクラブであり続けるかもしれないし、今ぐらいの成功を続ける可能性はあるが、だから今を楽しみ、心に刻んでいるんだ。

―――チームをはじめ、みんながモチベーションを上げるために『Wonderwall』を歌っているのも嬉しいことですね。

NG ファンがみんなで歌っているのを見ると、本当にすげぇと思うよ。俺がやってきたことや、やっていることが、クラブ全体やファンの人生に深く染み付いている。そういったことに関われていると考えると、本当に名誉なことだし、最高に気持ちがいいことだな。普通のことだとは思っていないし、信じられないことだ。

■コンパニのミドルは「Fuckin’何をしているんだ!」

ノエル・ギャラガー

―――優勝決定後、監督や選手と言葉をかわしましたか?

NG あー…、覚えてないな。酔っ払っていたからな。でもマジでハイだったし、幸福感に満ちていた。最終節は先制されてから優勝を決めたが、かなり奇妙な感じだった。ロッカールームはパンイチの男たちばかりだぞ? 俺はちゃんと服を着ていたが、他はみんなサンダルとパンツだけでほぼ裸だ。俺の妻は喜んでいたけどな(笑)。でも本気で嬉しかったし、クラブの歴史でもスペシャルな瞬間を分かち合え、しかもそれは動画で永遠に残る。みんなじっとしていられなくて、ビールを飲んだりしているやつらもいた。成し遂げたことを大いに祝うムードだったな。

 選手のロッカールームはある種、不思議な場所で、俺も何回か入ったことはあるけど、あまり人が入れるところではないんだ。ときには監督ですら無理なぐらいだ。スタッフや選手にとって特別な場所だから、選手たちからそこに招待されること自体が異常なことなんだよ。たまにクラブの人間が「入って写真を撮っていいよ」なんて言ってくれるが、選手たちから歓迎されるのはスペシャルだ。彼らにとってプライベートな場所だからな。だから最高だったよ。

ノエル・ギャラガー

―――今シーズン、優勝を決めたシーン以外でスペシャルな瞬間はありましたか?

NG 俺がはっきり思い出すのは、マフレズがアンフィールドでPKを外したときだな(プレミアリーグ第8節、0-0で終了)。他の日に会ったとき、やつに(拳を握って)「この野郎」って言ってやったからな。あとはエティハドでリヴァプールを倒したとき(第21節、2-1で勝利)、ジョン・ストーンズがライン際ギリギリでボールをクリアしたのも覚えている。ニューカッスルに負けた(第24節、1-2で敗戦)次の日にリヴァプールもドロー(第24節レスター戦、1-1)だったから、「まだ終わってねぇな」と思ったのもあったな。あとはオールド・トラフォードで勝ったとき。そして、最高の瞬間はレスター戦(第37節)のヴァンサン・コンパニのゴールだな。あのシュートはFuckin’ Wowって感じだ。言葉も出ないような瞬間の一つだったし、叫ぶ以外なかったな。

―――コンパニのゴールは、グアルディオラ監督やアグエロがシュートのタイミングで「まだ打つな!」と思ったようですが、同じ気持ちでしたか?

NG 俺はツアーの途中でエディンバラにいて、ホテルで休みながらデカいTVで試合を見ていたが、残り20分ぐらいで、じっとしていられずにテーブルの周りをウロウロしていて、「Fuckin’何が起こるんだ」って考えていた。それで…「打つな」とは思わなかったが、「やつはFuckin’何をしているんだ」と思ったね。「何してんだ、パスしろ」って。それで、シュートを打った瞬間、ほんの一瞬だけスタジアムが静まって、俺は「ヤバい、Fuckin’入るぞ」って思ったね。もちろんその後、1人で部屋中をFuckin’狂ったように走り回ったよ。あれはマジで驚いた瞬間だったし、本当にスペシャルだった。あのとき俺はリーグ優勝を確信したな。あのゴールは間違いなく重要なものになると思ったからだ。

■日本でシティを見られるのは特別だ

ノエル・ギャラガー

―――今シーズンのMVPを選ぶとすれば?

NG 今シーズン最高の選手は…ベルナルド・シルヴァだな。素晴らしいシーズンを送ったと思う。シティとリヴァプールの違いは、リヴァプールにはいつもシーズン最優秀選手や、得点王、最優秀GKがいる。ユルゲン・クロップが最優秀監督に選ばれるのも、Fuckin’間違いない。でもトロフィーを獲得したのは俺らだ。リヴァプールはそれぞれいい選手が揃っているが、何も勝ち取っていない。だから俺はチームとして戦えるクラブが好きだ。俺は最優秀選手にベルナルド・シルヴァを挙げるけど、他の人にとっては違うだろう。アグエロは21ゴールを決めて、スターリングも際立っていた。コンパニも優勝に導いてくれたといってもいいだろう。グアルディオラはスーパースターが好きではなく、大切にしているのはチームだ。俺らのチームに今ところ世界最高額の選手がいたことはない。お金は使っているが、最も高い給料や移籍金を払っているわけではない。他のチームが大金を使っている一方で、個人レベルは落ちるかもしれないが、チームに合った選手をたくさん買っている。チームこそ一番重要だ。

―――リーグが一番大事と、常々おっしゃっていますが、CLで2年連続プレミアリーグ勢に負けたのは悔しさもあったのでは?

NG 仕方のないことだろうな。あのセカンドレグは俺が見てきた中でもベストゲームの1つだ。バルバドスにいて、ひどいFuckin’TVで試合を見ていたが、逆転できると思ったらVARに泣かされた。胸が痛んだが…でもCLで優勝できると思っていたからではない。正直、CLなんてどうでもいい。プレミアリーグの方がよっぽど重要なタイトルだ。でも選手のことを思うと悲しくなったな。ダビド・シルバ、アグエロ、コンパニらにとってはあと1回ぐらいしかCLのタイトルを獲得できるチャンスはないだろうからな。まあ全てを勝ち取るなんて無理だから、彼らも受け入れるだろう。ほとんどのシティファンはCLよりプレミアリーグでの優勝を願っている。でもいつだって次がある。

ノエル・ギャラガー

―――最後に、7月末にマンチェスター・Cが来日して試合をします。

NG マジかよ。

――初めて実際にマンチェスター・Cを見る人たちもたくさんいると思います。「ここを見ろ」というポイントがあれば、教えてください。

NG まず、このクラブにおいての最大のスーパースターは監督だ。彼はタッチラインでクレイジーになるが、何を企んでいるかなんてFuckin’わからねぇ。あとは選手によるだろうな。今年はワールドカップがないし、多くのビッグプレイヤーが参加するだろう。いつもTVで見ているなら、普段とそんなに変わったところはないんじゃないか。もし、新しい選手が加入したら、日本で最初に見られるだろうし、彼らがどんな選手で、どんなプレーをするか見るのも面白いはずだ。でもチームとしては変わらないだろうな。新しいユニフォームは着ているだろうけどね。チームが日本に行くことは知らなかったけど、日本で見られるのは特別だろうな。チームのプレースタイルは同じだろうし、いい試合になる。

■INFORMATION

Noel Gallagher’s High Flying Birds | ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ
最新作『Black Star Dancing | ブラック・スター・ダンシング』配信中/6月14日EP発売
<配信>
Black Star Dancing | ブラック・スター・ダンシング
再生・購入はこちら
<EP>
6月14日(金)輸入アナログ盤限定リリース
収録内容
Black Star Dancing | ブラック・スター・ダンシング
Rattling Rose | ラトリング・ローズ
Sail On | セイル・オン
Black Star Dancing (12” Mix) | ブラック・スター・ダンシング(12” ミックス)
Black Star Dancing (The Reflex Revision) | ブラック・スター・ダンシング(ザ・リフレックス・リヴィジョン)

ノエル・ギャラガー公式HP
ノエル・ギャラガー日本版公式Twitter
ノエル・ギャラガー公式YouTube

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