2017.03.14

【コラム】ヴェンゲル監督、CL大敗で解任論が過熱…アーセナル21年目にして幕?

アーセナルを率いて21年目を迎えているヴェンゲル監督 [写真]=Arsenal FC via Getty Images
ロンドン在住のサッカーライター。

 現在プレミアリーグにおいて監督の最長在籍年数を誇るアーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督が、21年目にして退任の危機に追いやられている。

 過去公式戦8試合で3勝5敗と不振に陥っており、勝利した3チームは降格争いに瀕するハルのほか、アマチュアのサットンとリンカーン(それぞれFAカップ16強と8強で対戦)であったため、それら勝利に対する評価は低く付いた。直近のリーグ戦ではリヴァプールに敗れて暫定5位に転落。解任論が最高潮に達したのは、チャンピオンズリーグ(CL)16強で対戦したバイエルンにホーム&アウェーの2試合ともに1-5の大敗を喫し、総計点2-10というイングランド史上最低の結果で敗退した直後だった。

 名誉失墜の渦中にある67歳のヴェンゲル監督は、過去7シーズン連続CL16強で敗退を喫しており、CL決勝トーナメントのホームゲームで5シーズン連続の敗北は史上初となった。さらにアーセナルがホームで5失点を喫したのは、1998年のリーグカップ4回戦でチェルシーに0—5で敗れて以来、約18年ぶりの不名誉な記録となり、7日に行われたバイエルン戦の試合前後には、本拠地エミレーツの外で数百人のファンによるヴェンゲル監督の解任を訴える小規模のデモが行われた。

 試合内容はホーム&アウェーともに似通っていた。アウェーでの第1戦で、アーセナルはバイエルンに先制点を許すも前半を1—1で折り返し善戦。だが後半開始早々に守備の要であるフランス代表DFローレン・コシェルニが負傷退場すると状況は一変し、そこから一挙4失点を献上した。ホームでの第2戦も、アーセナルは前半こそ優位な試合運びで1—0と健闘したものの、またしても後半開始早々にコシェルニーが一発退場処分を科され、万事休した。

 試合終了の笛とともにうつむきながら首を横に振ったヴェンゲル監督は試合後、次のように述べている。

「今日は審判の判定が試合を決定づけた。非常に無責任な判定であり、私は非常に憤っている。コシェルニーの退場とPKの判定は言語道断であり、説明のつかないものだ。PKの前にレヴァンドフスキはオフサイドであったし、ゴール横の審判がPKの判定を主審に伝えたうえ、彼は主審が最初にイエローカードを提示したにもかかわらず、彼の意見でレッドカードへと変更された。我々は最近、批判の的にされているが、あのような不可抗力があっては、状況は好転できない」

 試合前にファンによるデモがあったことにはノーコメントを貫いたが、9日の記者会見では、「ファンの意見が私の残留意志を左右させることはないが、もちろん考慮はする。約20年もの間、私は全力でファンに尽くしてきたし、負ける時は誰しもうれしくはない。どう私が批判されようが気にしない」と、一定の理解を示したうえで、今後の進退については、「私はこのクラブを愛しているし、忠誠を尽くしている。クラブのために全力を尽くし、今後も正しい決断をしていくつもりだ」と、説明した。

 アーセナルはヴェンゲル監督に2年の契約延長を提示しているとされるが、同監督はシーズン終了までその決断を保留している。今シーズン、栄冠の望みは準決勝に進出しているFAカップのみとなっているが、一方で来シーズンのCL出場権獲得圏内となるリーグ4位以内確保も及第点の最低ラインになる。

 アーセナルは2004年にプレミアリーグ史上初の無敗優勝を達成して以来、リーグ優勝から遠ざかっており、以来獲得した主要トロフィーは3度のFAカップのみとなっている。ヴェンゲル監督は毎シーズン、クラブ収益安定のカギとなる『プレミアリーグ4位以内』、『CL決勝トーナメント進出』というノルマを達成し続けており、その安定した結果に一定の評価を下すファンもいれば、比較的賞金額の低い国内カップ戦の栄冠を強く望むファンも少なくない。批評家らは毎年こぞって「04年の黄金期を最後にアーセナルは衰退した」と口を揃え、ヴェンゲル監督の作るチームについても、「最強チームを作って魂を入れず」などと、揶揄し続けてきた。

 ヴェンゲル監督がファンの怒りやメディアの非難を鎮めるには、FAカップ優勝をはじめ、リーグ戦も4位より一つでも上の順位を目指すことが必須条件となる。自身の進退問題については言葉を濁してはいるものの、晩節を汚したまま愛するクラブを去るというようなことは毛頭ないはずだ。CL敗退により、国内でのシーズン終盤戦に集中できる環境が整ったのも事実としてあるが、いずれにしても今後の結果がヴェンゲル監督の去就に大きく左右することは間違いなさそうだ。

文=藤井重隆

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