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【コラム】マンUと代表で不振に陥るルーニー、チェルシーとの大一番で復調なるか

2016.10.23

不調に陥っているマンチェスター・Uのルーニー [写真]=Getty Images

 イングランド代表のエースが絶不調に陥っている。

 今月24日に31歳の誕生日を迎える同国代表とマンチェスター・Uの主将FWウェイン・ルーニーは、これまでにもピッチ内外で起伏の激しい現役生活を歩んできたが、ここへきて代表とクラブの両方で先発落ちという屈辱を味わうなど、キャリア最大とも言える大きな壁にぶつかっている。

 9月後半からは公式戦4試合連続で後半途中からの出場にとどまり、チームも国内リーグ2試合で連続して引き分けるなど、ルーニーの不調に呼応するかのような結果を残している。さらに今月10日に行われたイングランド代表の2018 FIFAワールドカップロシア 欧州予選のスロベニア代表戦でも後半途中から出場し、結果を出せずに0-0の引き分けに終わった。

 一方、20日にホームで行われたヨーロッパリーグ・グループステージのフェネルバフチェ戦では4-1で快勝するも、ルーニーは最近の立場を考慮してか、2度のPKを蹴るチャンスを同僚に譲るという消極的な態度を見せた。

 これについてBTスポーツ解説者で元イングランド代表FWマイケル・オーウェン氏は「あの態度にはイラついた」と痛烈に批判し、次のように続けた。

「彼がチームの第一キッカーなら、そしてストライカーであるなら、2つのPKを蹴るべきだった。12年前、彼は同じフェネルバフチェ戦でマンチェスター・Uでのデビューを果たしたが、当時の彼はライアン・ギグスからFKのキッカー役を奪い、ハットトリックを決めるような勢いがあった。今の彼には点取り屋としての自信がない。今日の試合で2点を決めていたら、欧州戦でのクラブ通算ゴール数でルート・ファンニステルローイを抜いていた訳で、クラブ通算得点記録でもボビー・チャールトンの歴代最多記録に1と迫るはずだったんだ。彼がキッカーだったなら蹴るべきだったし、譲ったのは信じられない」

 オーウェン氏が語った通り、ルーニーはチャールトン氏が持つマンチェスター・Uの歴代通算記録である246ゴールにあと3と迫っているが、貴重な先制ゴールとなるPKを同僚のMFポール・ポグバ、2点目となるPKをFWアントニー・マルシャル(ともにフランス代表)に譲った。

 ルーニーが16歳のプロデビューから20代前半に見せていた力強い野性味あふれるプレーは薄れ、今では戦術やポゼッション、主将として同僚への気遣いを意識したチームプレーを目にするようになったが、側近はルーニーの復調を冷静に見守っているようだ。

 マンチェスター・Uのイングランド代表DFクリス・スモーリングはルーニーについて、「どんな時でも、彼が試合に出ても出なくても、僕らの主将であるという立場は変わらない。彼は常に代表でもユナイテッドでも中心選手だ」と擁護すると、マンチェスター・Uのジョゼ・モウリーニョ監督も「私は彼に絶大な信頼を寄せている。彼は私だけでなく、ユナイテッド、イングランドにとって、大きな選手であることに変わりはない」とサポートした。

 一方、ルーニーは自身が現在置かれている境遇について次のように話している。

「僕はこれまでの現役生活で常に先発し続けてきたけど、これは新たな挑戦だ。僕はプレーしたいし、今はただ全力で先発に入れるよう努力し続けるだけだ。チャンスは必ず来ると思うし、それをつかめるかは自分次第。僕は毎試合プレーできるつもりだけど、選ぶのは監督だから、僕はそれに従う。必要とされる時のために準備するつもりだし、僕の現役はまだ終わっちゃいない」

 イングランド代表最多得点記録保持者で、マンチェスター・Uでは5度のプレミアリーグ優勝に加え、チャンピオンズリーグとFAカップをそれぞれ1回制し、2度のリーグカップ優勝も経験したルーニー。選手として十分すぎるほどの栄光を手にしてきたエースが不振を脱却する日が来るのか。7位に沈むマンチェスター・Uは23日に敵地でチェルシーとの大一番を控えるが、イングランド中がキャプテンの復調に注目している。

文=藤井重隆

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