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自慢の堅守速攻はどこへ?…開幕戦黒星の王者レスター、その敗因とは

2016.08.18

ハルに敗れ、シーズン黒星スタートとなったレスター [写真]=Getty Images

 2016-17シーズンのプレミアリーグが13日に開幕した。

 開幕戦として日本代表FW岡崎慎司が所属する昨シーズン覇者のレスターが敵地で昇格組のハルと対戦し、1-2で敗れるという波乱から始まった。イングランドのトップリーグにおいて、前年王者が開幕戦で敗れるのは1989年にアーセナルがマンチェスター・Uに土を付けられて以来の不名誉な記録だ。

 レスターの敗因は何だったのか。

 昨シーズン優勝を果たした大きな要因は、強固な守備力と速攻からの決定力だったが、その持ち味が全く見られずに終わった背景には、チームの根幹をなすセンターバック(CB)、ボランチ、そして2トップが大きく変化してしまったという一言に終始する。

 元ドイツ代表DFロベルト・フートの代役としてCBに入った新加入のスペイン人DFルイス・エルナンデスが守備でもたつくと、今夏チェルシーへ移籍した昨シーズンの大黒柱、フランス代表MFエンゴロ・カンテの穴を埋めるべく起用されたウェールズ代表MFアンディ・キングも、運動量や守備面で大きく見劣った。

 そして、クラブ史上最高額となる推定1600万ポンド(約21億円)の移籍金で加入し、岡崎からポジションを奪う形で先発したナイジェリア代表FWアーメド・ムサも、攻撃陣との連携が噛み合わずに空回った。

 昨シーズン開幕時に交わした「僕の古巣レスターが優勝したら、来シーズン一発目の放送にパンツ一枚で出る」という公約を守ったBBC『マッチオブザデイ』司会者の元イングランド代表FWガリー・リネカー氏は、次のように今シーズンのレスターを展望する。

レスターの優勝を大きく支えたのはカンテだったし、彼がレスターの戦術の根幹を成していた。カンテの放出により、今シーズンのレスターはそれができなくなった。彼こそが優勝に大きく貢献した重要な選手だった。彼なしで連覇はありえないだろう」

 現にカンテは昨シーズン、欧州4大リーグ(スペイン、ドイツ、イングランド、イタリア)において、タックル(175回)とインターセプト(157回)の成功数で総合1位だったことからも、彼の抜けた穴の大きさは計り知れない。

 一方、ハルは未だ新監督が決まっておらず、下馬評では今シーズンの降格候補筆頭だが、暫定監督としてチームを率いるマイク・フェラン氏は元マンチェスター・U助監督で、アレックス・ファーガソン元監督の右腕として活躍を支えた人物としても知られる名コーチだ。フェラン監督はレスターの典型的カウンターサッカーを研究し尽くし、戦術的に深く守り、レスターの攻撃陣にディフェンスラインの裏を取らせなかった。

 レスターは今夏の移籍が噂されていた攻撃の要、アルジェリア代表MFリヤド・マフレズが新たに4年契約を締結。これで一つの大きな不安が解消されたが、今シーズンはチャンピオンズリーグによる過密日程も影響してくるため、チームの根幹をいかに立て直せるかが最優先課題となりそうだ。

文=藤井重隆

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