2019.09.12

“死の組”の戦いへ課題を露呈…それでも、ドルトムントにグループ突破への勝機あり!

[写真]=Getty Images

 現キャプテンのマルコ・ロイスが加入した2012-13シーズン以降、ドルトムントはチャンピオンズリーグ(CL)に6度出場している。そのうち、グループステージを突破できなかったのは一度だけ。トッテナムとレアル・マドリードにそれぞれ連敗し、格下と目されたアポエルにさえ勝利できなかった2017-18シーズンだ。十字靭帯断裂で離脱中だったロイスの不在による攻撃力の低下やディフェンスの強度不足が敗因となった。


 その頃に比べ、陣容の充実度は高まっている。昨シーズンのブンデスリーガ2位躍進に貢献したロイスやジェイドン・サンチョら主軸をほとんど手元に残したうえで、総額1億ユーロ超えの大型補強を敢行。マッツ・フンメルスにトルガン・アザール、ユリアン・ブラント、ニコ・シュルツと複数の即戦力を手に入れた。昨シーズンの結果と補強に手応えを得たクラブの関係者たちは、今季の最大目標をブンデスリーガ制覇に設定している。

期待を集めるも開幕早々に露呈した不安要素

昇格組のウニオン・ベルリンに敗れるなど、セットプレーの守備に不安を抱える [写真]=Getty Images


 大方の見方も「バイエルンの8連覇を阻止し得る唯一のチーム」で一致。そうした下馬評とは裏腹に、早くも不安を露呈している。ブンデスリーガ第2節のケルン戦で辛勝(70分まで1点のリードを許し、逆転したのは86分。3点目はアディショナルタイムに捨て身の攻撃に出た相手から奪ったもの)、続くウニオン・ベルリン戦で金星を献上(1-3)と、昇格クラブを相手に大苦戦したのは偶然ではない。

 改善点を挙げるなら、まずはセットプレーの守備だ。第2~3節に喫した4失点のうち、3つがCKから奪われた。個々の競り合いで敗れたのならともかく、完全にフリーとなった相手にやられている。ゾーンで守る姿勢を貫くのか、マンマークに切り替えるのか。リュシアン・ファーヴル監督の修正力が問われる。

 流れの中における守備も盤石ではなく、ケルン戦ではパワフルな相手2トップの対応に手を焼き、ウニオン戦では高めに設定した最終ラインの裏を突かれる場面があった。ウニオン戦の2失点目は、昨季終盤に散見された集中力の欠如から生まれている(CBのマヌエル・アカンジがフリーでトラップミス。そこからショートカウンターを浴びた)。ロイスはウニオン・ベルリン戦後、そのメンタル面に関して警鐘を鳴らした。

「自分たちのクオリティーに頼るだけではいけない。誰もがそう理解しないと。試合に勝つには決意と情熱が必要だ」

 いずれもアウェイゲームだったとはいえ、明らかな格下に苦しんだドルトムントにとって、CLで対戦するスラヴィア・プラハさえも侮れない相手だ。国内リーグ8試合で2失点、CLプレーオフの2試合で無失点と堅守が光るチェコ王者は、ケルンやウニオン・ベルリンの戦い方を参考にするに違いない。ボール保持にはこだわらずに守備を固めて、カウンターやセットプレーに攻略の糸口を見出そうとするはずだ。

もしも“死の組”を首位通過できたら…

スーパーカップでバイエルンに完勝したように、強豪相手の方が長所を出しやすい [写真]=Getty Images


 スラヴィア・プラハ(10月2日/第2節アウェイ、12月10日/第6節ホーム)から取りこぼすようだと、ドルトムントのベスト16進出はかなり難しくなる。なにしろグループステージで激突する残りの2チームはバルセロナとインテル。2シーズン前のレアル、トッテナム同様に、それぞれ優勝、躍進の可能性を大いに秘めている。公式戦でその2チームと顔を合わせるのは久々で、バルサは1997年のUEFAスーパーカップ(2戦合計1-3の敗戦)、インテルは1993-94シーズンのUEFAカップ準々決勝(2戦合計3-4の敗戦)以来となる。

 もはや説明不要のバルサ攻撃陣に加え、ロメル・ルカクやアレクシス・サンチェスの獲得で前線の迫力が上がったインテルを相手に、守備に不安を抱えるドルトムントが無傷で切り抜けるのは困難だろう。ただ、どちらもケルンやウニオンとは異なり、守備より攻撃に比重を置くはず。相手が前掛かりになれば、敵陣には自ずとスペースが広がる。その際はロイスやサンチョのスピードを活かす速攻のチャンス到来だ。得点源のパコ・アルカセルや新顔のアザール、ブラントを含め、チーム自慢の攻撃陣が猛威を振るうだろう。

 まだまだシーズンは始まったばかりだが、ドイツ・スーパーカップでバイエルンに完勝したように、現在のドルトムントは同格もしくは格上との対戦時の方が自分たちの良さを発揮しやすいのではないか。仮にバルサやインテルを破り、“死の組”と化したグループを首位通過するようなら、大きな自信をつけたチームの勢いが増すのは間違いない。組み合わせ次第とはいえ、8強や4強入りも夢ではないはずだ。開幕早々に課題がはっきりしたことは、むしろポジティブに捉えてもいいかもしれない。

文=遠藤孝輔

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