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プレミア勢は「絶対ではない」CLを勝てるのか!? 最も期待が持てるのは…

2018.09.18

2012年を最後に優勝から遠ざかるプレミア勢は、CLを勝ち抜くことができるのか [写真]=Getty Images

 もしフットボールが足し算と引き算だけの世界だったなら、来年6月1日にビッグイヤーを掲げるのはリヴァプールだろう。

 3連覇中の欧州王者が絶対的エースを失ったのだから、的確な戦力補強に成功した昨シーズンの準優勝チームが頂点に立つ……。安直な発想だが、決して悪くない予想に思う。しかし、そこは他クラブのサポーターが黙っていないはずだ。実力ならば昨季イングランドのトップリーグで前人未到の勝ち点100を達成したマンチェスター・Cの方が上だろうし、昨季のチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージでレアル・マドリードに1勝1分けの成績を残したトッテナムにも少なからず可能性があるはずだ。さらに黙っていないと言えば、マンチェスターの赤い方の監督だ。何かしら自分たちが優位な要素を必ず見つけてくるはずだ。

 そもそも、過去6シーズンで3チームしかCLベスト4に進めていないリーグから優勝者が生まれることを前提に話を進めること自体が間違っているのかもしれない。プレミアリーグが欧州を席巻していたのは、もう10年前の話なのだ。

 イングランド勢は、2006-07シーズンから3季連続でCLベスト4に3チームも送り込んだ。それを可能にしていたのが“トップ4”の定着だった。当時はユナイテッド、チェルシー、アーセナル、リヴァプールが盤石の強さを誇り、リーグ戦で4位までを独占し続けた。そしてCLに出場し、その放映権収入でさらに力をつけていったのだ。2006-07シーズンなど、5位のトッテナムは優勝したユナイテッドに29ポイントも差をつけられ、降格圏の方が近いほどだった(22ポイント差)。

多額の放映権で“絶対”ではなくなったCL

2000年代中盤からプレミアリーグの“ビッグ4”がCLを席巻した [写真]=Getty Images

 当時の“トップ4”は、ほぼプレミア4位以内が約束されていたため、シーズンの終盤戦でもCLへ意識を向けることができたのだ。リーグ戦で少しメンバーを落としてでも、本気でCL制覇を狙っていた。だが、この状況に待ったをかけたのが、2008年に中東マネーにより変貌を遂げたマンチェスター・Cだった。彼らの台頭により4強の構図は崩れ、トップ4争いが激化した。その結果、CLで頂点を狙うことより、リーグ戦で4位に入りCL出場権を確保することが優先されるようになった。どこかの“絶対的な二強”とは違い、リーグ戦でクリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシを温存するような余裕は皆無だった。そのため、CLは「優勝よりも参加を目指す大会」という感覚が芽生え始めたのだ。2010-11シーズンから7季連続でCLベスト16敗退のアーセナルにとっては耳の痛い話である。こういう背景があり、プレミア勢は2012年のチェルシーを最後に欧州制覇から遠ざかることになったのだ。

 しかし、ここ数年はこの状況に変化が見られる。プレミアは、2016-17シーズンから過去に類を見ないバブル期を迎えているのだ。現在のプレミアの放映権収入は、6年前の約2.5倍。2012-13シーズンにプレミアを制したマンチェスター・Uの放映権収入は6000万ポンド(約90億円)だったが、昨季は最下位のウェスト・ブロムウィッチでさえ9500万ポンド(約140億円)の収入があり、優勝のシティと2位のユナイテッドは約1億5000万ポンド(約225億円)も懐に収めたのだ。

 昨年、アーセナルが20シーズンぶりにCL出場権を逃した際に、「以前ほどCL出場権は絶対ではない。資金面では、あまり選手補強に影響はない」とアーセン・ヴェンゲルは言い張ったが、必ずしも強がりではなかったのだ。今季からCL放映権も刷新され、参加チームの獲得賞金が前年比で38%ほど上がるが、“CLマネー”は以前ほど絶対ではないのだ。

 加えて、2016年にマンチェスター勢が揃って監督交代したように、今季CL出場中のプレミア勢は、いずれも監督が3年目以上に突入している。監督も3年周期と言われる近代サッカーで考えると、4チームとも集大成を迎えつつあるのだ。無論、“ビッグ6”時代のプレミアではトップ4争いが熾烈を極める。だが、過去6シーズンのCLでの低迷期よりは、プレミア勢の躍進に期待が持てる状況が揃ったのだ。

“地の利”を持つリヴァプール…仮住まいのトッテナムは死の組に

いずれの監督も就任から3年以上を経過し、チームは集大成を迎えようとしている(左からグアルディオラ、モウリーニョ、クロップ、ポチェッティーノ) [写真]=Getty Images

 では、最も期待が持てるクラブはどこなのか。英国ブックメーカーがこぞって優勝候補に挙げているのはマンチェスター・Cである。8月にケヴィン・デ・ブルイネが膝の靭帯損傷で離脱した際にはチームに激震が走ったが、順調な回復を見せており11月の復帰が見込まれる。グループステージは粒揃いの組(リヨン、シャフタール、ホッフェンハイム)に入っているが、むしろ2位争いが激化してシティにとっては望ましい展開になるかもしれない。主将のヴァンサン・コンパニも「手にしたことのないタイトルが最も欲しい」とプレミア連覇よりもCLを優先することを示唆している。

 対抗馬に挙げられるのは今季プレミアで5連勝スタートを切ったリヴァプールだが、優勝オッズを見ると彼らは意外にも7番手に甘んじている。バルセロナ、ユヴェントス、バイエルンやレアルといったCL上位常連チームには劣ると見られているのだ。グループステージでパリ・サンジェルマンやナポリと同居したのも低く見られている要因だろう。だが、それでもイングランド勢で最も欧州制覇の可能性を感じさせるのはリヴァプールなのだ。彼らには、他の3チームにはない「地の利」があるからだ。

 実は、シーズン開幕前までは密かにトッテナムの躍進を期待していた。マウリシオ・ポチェッティーノ監督の戦術の柔軟性は、リーグ戦よりもカップ戦に向いていると思うし、新スタジアム移転という強いモチベーションが生まれるはずだった。だが、新スタジアム移転は延期の連続で、結局グループステージは全て仮住まいのウェンブリー・スタジアムを使用することに。バルセロナ、インテル、PSVと同居することになり、グループステージで散ってしまう危険さえ出ている。

 CLを制するためには、少なくとも決勝まで勝ち上がるためには、ホームアドバンテージは絶対なのだ。特に、まだアウェイゴール・ルールが撤廃されていない現状では、ホームの威圧感は物を言う。その点に関して、シティや“今の”ユナイテッドでは胸を張ることができない。だがリヴァプールは違う。昨シーズンの準々決勝でシティのチームバスを襲撃したのは褒められないが、彼らにはアンフィールドという破られない要塞があるのだ。

 だから、やはりこういう結論に至る。フットボールが足し算と引き算だけの世界でも、そうでなくても、来年6月1日にビッグイヤーを掲げるのはリヴァプールだろう!?

文=田島大(フットメディア)

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