2014.12.12

必勝が義務のCL最終節で掴んだ勝利…シャルケ指揮官採用の3バックが奏功

CL第6節、マリボル(青)対シャルケ(白)のフォーメーション図

 チャンピオンズリーグのグループリーグ最終節が10日に行われた。ブンデスリーガでここ3試合11得点を奪って調子を上げてきたシャルケは、決勝トーナメント進出をかけてアウェーでマリボルと対戦。チェルシーがすでに勝ち抜けを決め、スポルティング・リスボンと残り1枠を争う状況になっていた。前節までにスポルティングに勝ち点2差をつけられていたシャルケは、勝利を手に入れるしか道が残されていなかったのである。

■3バックを採用したディ・マッテオ監督の狙い

 マリボル戦でシャルケは3バックを採用。右からロマン・ノイシュテッター、ヤン・キルヒホフ、ベネディクト・ヘーヴェデスの3人が最後尾に並んだ。シャルケのシステムは、3人のDFと5人のMF、2人のFWからなる[3-5-2]となり、内田は右ウイングバックに入った(図を参照)。

 一方のマリボルは、中盤の4人が四角形のボックス型を作る[4-4-2]。[3-5-2]と[4-4-2]のマッチアップとなった。

 注目すべき場所は、中央に位置する両チームの選手の数である。シャルケのMFが3人に対してマリボルは2人。3バックシステムのメリットである、中盤での数的優位を作ったのだ。そのメリットにこそディ・マッテオの狙いがあったのである。

■3バックのメリットから生まれた決勝点

 この試合の状況に則した3バックのメリットは以下のとおり。

【1】DFを3人にすることで、中盤に人数をかけられる
 中盤はシャルケのマルコ・ヘーガー、デニス・アオゴ、トランクイロ・バルネッタの3人に対して、マリボルはジェリコ・フィリポビッチとアレシュ・メルテリの2人。3対2でシャルケの数的優位となった。

【2】中盤に人数をかけて攻撃できるため、相手はマークのズレを起こし、フリーな選手が生まれて数的優位をさらに作れる好循環
 アンカーのアオゴは、マリボルの2人のFWの間に入って動きをけん制する。シャルケが攻撃にスイッチを入れると、アオゴはペナルティアーク近くまで前進して攻撃に加わり、ヘーガーとバルネッタは、マリボルのDFの裏に抜けようとする。また彼らは、右WBの内田と絡んでタッチライン沿いにポジショニングする。これらの動きによって、マリボルの左サイドにいるボハルやビレル、さらにはボランチのフィリポヴィッチらが、本来マークすべきシャルケの選手から離れることになる。

【3】スタートポジションの違い
 WBの選手がかなり高い位置をとる。攻撃の際の内田のポジショニングなど、あまりにも高い位置を取れるので、テレビ画面に映らないほど。

【4】ピッチを広く(横での展開)、そして深く(縦での展開)使用
 62分の決勝点になった場面が【4】にあたる。右サイドからのクロスをマリボルのGKがパンチングする。クリアしたこぼれ球が正面に転がり、バルネッタに交代して出場したマックス・マイヤーが、ダイレクトシュートを右足で決める。この場面、マイヤーがフリーでいられたことが得点に結びついている。シャルケから見て右サイドのタッチライン沿いでボールが細かく繋がれることで、マリボルのボランチの2人の選手は、ボールサイドの右側でプレーすることを余儀なくされた。マイヤーから少し離れた横に立っているのは、マリボルから見て右サイドのサラリッチだけであった。

■システムをマッチアップさせることで見えてくる可能性

 両チームのシステムをマッチアップさせた図を見れば、フリーになっている何人かの選手を確認できる。シャルケはアンカーのアオゴであり、マリボルは2人の両SBである。システムの上でフリーになれるアオゴに対してマリボルはどのような対策をとるかどうか。一方で、マリボルの両SBに対してシャルケはどのような対策をとるか、と注目して試合を見ていた。

 結論から言えば、マリボルはアオゴに対して特別な対策をとらずにおいた。シャルケは、フリーになれるマリボルの両SBに対して、攻撃的な姿勢で向かうことで圧力をかけた。上記で説明したように右サイドを見れば、WBの内田が高い位置でプレーしている。それゆえに、マリボルのSBは自陣に押し込まれて内田のケアに回らざるを得ない状況にさせられた。つまり、3バックシステムのメリットが守備の際にも活かされたことになる。

 勝たなければCL決勝トーナメント進出が不可能な状況の中で、シャルケは3バックという攻撃的なシステムを採用して得点を奪いにいった。3バックシステムの最大のメリットは、タッチライン沿いに人数をかけてボールを繋いでいくことで、サイドアタックの回数を増やして、相手がボールサイドに寄ってくる隙に、中央で数的優位を作って攻撃できることである。こうしたシステムの中で生まれたメリットを活かして、ディ・マッテオ監督率いるシャルケは、スポルティングがチェルシーに屈したこともあり、ベスト16入りを果たしたのであった。

文=川本梅花

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