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東南アジア王者に返り咲いたタイ代表…その歩みと今後の課題

[写真]=Getty Images

元日決戦を制して最多6度目の東南アジア王者に

 東南アジアサッカー界の新年は、タイのAFFスズキカップ制覇で幕を開けた。東南アジア諸国のナショナルチーム王者を決めるAFFスズキカップは昨年12月5日に幕を開け、決勝戦はそれぞれグループリーグを1位で突破したタイとインドネシアが激突。1stレグを4ー0で快勝して圧倒的優位な状況に立ったタイが、元日決戦となった2ndレグを2ー2のドローで乗り切って2大会ぶり最多6度目の東南アジア王者に輝いた。

 日本での注目度は決して高いとは言えないが、AFFスズキカップは東南アジアサッカー界における最大のタイトルだ。1996年にタイガーカップの名称でスタートして以降、隔年をベースに開催されてきた同大会は、激しいライバル意識を持つ東南アジア諸国にとって非常に重要な大会として位置付けられている。

 タイは前回までの12大会で8度決勝に駒を進め、最多5度の優勝を誇る。しかし、2018年の前回大会ではJリーグでプレーしていたチャナティップやティーラトン、ティーラシン・デーンダーらを招集できなかったことも響き、急成長を遂げたベトナムに王座を譲った。同グループでの直接対決となった2022 FIFAワールドカップ カタール・アジア2次予選でもベトナムの後塵を拝したタイにとって、今回のAFFスズキカップはなんとしてもタイトルを奪い返さなければならない大会だった。

 しかし、新型コロナウイルスの影響で代表活動が制限されたこともあり、大会へ向けての準備は決して万全とはいかなかった。カタールW杯・アジア2次予選での敗退を受けて昨年7月に西野朗前監督が解任となり、AFFスズキカップに向けて時間のないなか、後任にはタイリーグでの監督経験を持つドイツ系ブラジル人のアレシャンドレ・ポルキンが就任。グループリーグ初戦の東ティモール戦が新体制での初陣というぶっつけ本番の開幕となった。

再び上昇気流に乗れるか、真価の問われる2022年

 開幕に向けたチーム作りは非常に難しい状況にあったものの、メンバー選考の段階から今大会に懸けるタイの意気込みは表れていた。本来、AFFスズキカップの開催期間は国際マッチデーには当たらないため海外組の招集は容易ではないが、今大会はJリーグ勢をはじめとする海外でプレーする選手たちも招集。Jリーグでプレーしていたチャナティップとティーラトンの2選手はグループリーグ開幕後、J1最終節終了を待っての合流という強行日程での招集だった。

 Jリーグ組の2選手を欠いて行われた開幕戦は2ー0と勝利したものの、大きく力の劣る東ティモールを相手に不安を感じさせる面もあった。しかし、チャナティップとティーラトンが合流した2戦目からは徐々に本来のタイらしいリズムが生まれ、フィリピンやシンガポールといった難敵にも勝利してグループリーグ4戦全勝でベスト4進出を決めた。

 そして、準決勝は宿敵ベトナムとの対戦となり、1stレグはチャナティップの2ゴールでタイが2ー0と先勝。2ndレグは0ー0のドローで終え、タイが2大会ぶり9度目となるファイナル進出を決めた。ライバルを撃破した勢いでインドネシアとの決勝1stレグは4ー0と快勝を収め、そのままミッションであった東南アジア王座の奪還に成功した。

 圧倒的なパフォーマンスで大会得点王と自身3度目のMVPを獲得したチャナティップを筆頭に、タイは個々の能力と選手層の厚さを改めて印象づけた。東南アジアの盟主として長く君臨してきたプライドを示す大会となったが、言うまでもなくその地位は安泰ではない。近年のタイ代表の躍進を支えてきたチャナティップ世代は20代後半を迎え、エースのティーラシンはすでにベテランの域に入っている。東南アジアの王座を守りつつアジアの上位グループに加わっていくためには、彼らに替わる若手の台頭が不可欠だ。

 新体制で好スタートを切ったタイはこの後、6月にアジアカップ予選を戦い、2大会連続の本戦出場を狙う。さらに、年末には再び東南アジア王者を争うAFFスズキカップが控えている。同大会は本来、隔年で開催されているが、今大会は2020年大会が新型コロナウイルスの影響で延期されたものであったため2年連続での開催となる。ベトナムからの王座奪還を機に、再び上昇気流に乗ることができるのか。タイ代表にとって、2022年は真価の問われる年となる。

文=本多辰成

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