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27歳という円熟期を迎えた香川真司…献身性を身につけ、チームをけん引する存在へ

2016.03.27

27日に埼玉県内でトレーニングに臨んだ香川真司 [写真]=兼子愼一郎

 29日の2018年ロシアワールドカップアジア2次予選最終戦・シリア戦(埼玉)まであと2日。最終予選の前哨戦とも言える重要な一戦に向け、日本代表は25日夜に外での食事会、26日には選手ミーティングを実施して、選手同士が意見をぶつけ合う機会を持った。

「今まで中心でやってきた選手も『もう一回、気を引き締め直す』と言い、僕たちも『もっと突き上げて行く』と。みんなの言葉に熱く響いたのは、『このチームで成功したい』、『成功するために1人1人がもっと成長しなきゃいけない』という意見。より積極的にコミュニケーションを取って、プレーしていくことが大事だという話もしました」と原口元気(ヘルタ・ベルリン)が全員の思いを代弁した。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督体制になってここまで選手たちが自発的にコミュニケーションを取るのは初めてのこと。この前向きなムードをチームの前進につなげることが肝要だ。

 迎えた27日。彼らは試合会場の埼玉スタジアムでメディアを締め出して非公開練習を実施。紅白戦などを通して攻守両面の戦術を入念に確認した模様だ。前日のトレーニング中に行われた10対10のスモールフィールドゲームで、今回の先発候補がDF酒井高徳(ハンブルガーSV)、吉田麻也サウサンプトン)、森重真人(FC東京)、長友佑都インテル)、ボランチ・長谷部誠(フランクフルト)、山口蛍(ハノーファー)、右FW本田圭佑ミラン)、左FW宇佐美貴史(ガンバ大阪)、トップ下・香川真司ドルトムント)、1トップ・岡崎慎司レスター)の4-2-3-1ということが明らかになったが、このベースは本番も変わらないだろう。GKも2次予選の流れを踏まえると、西川周作(浦和レッズ)が有力。現時点の最強布陣で勝ちに行くことになる。

 そこで注目されるのが、トップ下の香川の一挙手一投足だ。24日のアフガニスタン戦(埼玉)では清武弘嗣(ハノーファー)が非常に効果的な動きを見せ、攻撃のリズムを作っていた。その輝きを目の当たりにした香川は「キヨのプレーはよかったし、参考にできるところはある。何を言われようが、どんな状況に陥ろうが、結果を残さないと評価されない。自分も今年になってからなかなか点が取れていないんで、1つ冷静になってシュートを決められればいい」と危機感をにじませつつ、自分のやるべきことを改めて整理している様子だった。

 とはいえ、彼が「ゴールとゲームメークの両方をこなせるアタッカー」という理想にこだわりすぎると、アタッカー陣全員がまえのめりになりすぎて、攻めが連動しなくなる恐れがある。

 対戦相手のシリアとは昨年10月に中立地・オマーンで戦っているが、組織的かつアグレッシブで簡単に攻めさせてくれないチームだった。まさに難敵だからこそ、本田が言う「いい距離感」や「バランス」が大事になる。アフガニスタン戦でゲームメークに比重を置いていた清武のように、香川もお膳立てに主観を置くべき時間も増えてくる。そこは本人の中でしっかりと割り切りとメリハリをつけていくことが重要だ。

「パスの出し手としては自分自身、質を高めていきたいですし、そのクオリティが求められる試合になってくる。特に前半は相手もハードなディフェンスで、コンパクトに守備してくる中で、どう辛抱強く戦うかが大事になる。サイドからの攻撃は1つのキーになってくると思います」と彼自身も外との連携の重要性を口にする。そのためにも、香川が時には外に開いたり、ポジションチェンジをしたりと動きに変化を加えながら、単調にならないように工夫を凝らしていくべきだ。

 それがゴールやアシストという明確な結果につながらなくても、焦らなくていい。今の彼にとっては献身的にチームを支えていくことも重要な仕事。27歳という円熟期を迎えた香川は、日本代表のリーダーの1人としてチームを引っ張る立場にいるからだ。

「いろんな経験がともなってきたこういう時期に、1人の選手として成長している選手は多い。自分もいろんな経験を踏まえて、このチームでできることっていうのは沢山あると思う。それは自分自身が向き合わなきゃいけないこと。個人のことだけでなくて、やはりチームのことも考えながらやっていく必要をすごく感じているんで、この1年含めて成長していかないと。それがプレーの幅を広げる1つの要素だと思います」と彼は自分に言い聞かせるようにこう話した。

 仮にドルトムントでの今シーズン前半戦のように得点数が少なかったとしても、攻めの起点を作り、決定機を数多くお膳立てすることで、必ず多くの人々に評価される。まずはそこからしっかりと自分の立ち位置を確認してみることも重要ではないか。そのうえでゴールという結果がついてくれば理想的だ。清武というライバルより有利な立場で最終予選を迎えるためにも、香川真司の存在価値を今一度、このシリア戦で明確に示してもらいたい。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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