2017.01.25

【ドルトムントに何が起こっているのか?】トゥヘル流ポゼッションサッカーの功罪

注目クラブ、テーマをピックアップし、多角的に掘り下げるワールドサッカー誌。チャンピオンズリーグやワールドカップなどの特集企画も掲載。幅広い海外サッカーファンに向けたワンテーママガジン。

理想とするサッカーが機能せず、試行錯誤を繰り返すトーマス・トゥヘル。結果が出るまで自身の“こだわり”を追求するのか、はたまた若いタレントを生かした堅守速攻に活路を見いだすのか。過渡期を迎えたドルトムントの指揮官は今、選択を迫られている。
[ワールドサッカーキング2017年3月号増刊「2016-2017 ブンデスリーガ後半戦ガイド」]

好調だった1年目から一転試行錯誤が続く


「私はいつだってバルセロナのファンだ。ペップが率いていたバルセロナこそ、私の目標なんだ」

 トーマス・トゥヘル監督が、昨シーズンまでバイエルンを率いていたジョゼップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)を敬愛していることはドイツ国内では有名な話だ。マインツ時代こそ、“身の丈に合った”カウンターサッカーで地道に勝ち星を拾っていたが、2015年夏にドルトムントの指揮官に就任すると、中盤の底に若き司令塔ユリアン・ヴァイグルを抜擢し、バルセロナを彷彿とさせるポゼッションサッカーを展開。「ファンタスティック4」と称された香川真司、マルコ・ロイス、ヘンリク・ムヒタリアン(現マンチェスター・ユナイテッド)、ピエール・エメリク・オーバメヤンの4人がチーム総得点の半数以上を叩き出すなど、圧巻の破壊力を見せつけた。タイトルこそ逃したが、勝ち点はクラブ史上最多の「78」。トゥヘル体制1年目はポジティブに捉えて然るべきシーズンだった。

 そうして迎えたトゥヘル体制2年目の今シーズン、ドルトムントは再びバイエルンの有力な対抗馬として期待されていた。しかし、現実には第16節終了時点で首位バイエルンと12ポイント差の6位。スポーツディレクターのミヒャエル・ツォルクは「満足できる結果ではないが、心配するほどでもない」と、どっちつかずのコメントを残している。

 昨シーズンから続くリーグ戦でのホーム無敗記録こそ29にまで伸ばしているが、アウェーではわずかに2勝。昨シーズンはたった4敗だったチームがすでに3つの黒星を喫していることも、すっきりしない原因の一つだろう。

 だが、問題は成績そのものだけにあるのではない。トゥヘル監督が志していたはずのポゼッションサッカーが機能せず、結果として試行錯誤を繰り返す。そんな場当たり的な采配が繰り返されていることが、ファンや関係者をヤキモキさせているようだ。

 2016年の最終戦となった第16節のアウクスブルク戦では、3バックの布陣を敷いて中盤を厚くし、ボールポゼッションは73パーセントを記録した。しかし、カウンターによる一発を浴びて1-1のドロー。昨シーズンの華麗さは失われ、もがき苦しむような戦いを続けている。

 今シーズン開幕前にマッツ・フンメルス、イルカイ・ギュンドアン、ムヒタリアンの主力3選手が退団したことを理由に、トゥヘルに同情的な見方があるのは確かだ。マリオ・ゲッツェやアンドレ・シュールレらドイツ代表クラスの加入で大幅な戦力ダウンは免れたとはいえ、負傷者も多く、新戦力がフィットするまでローテーションを選択せざるを得なかった点は致し方ない。だが、それらを差し引いても、トゥヘルが理想としているはずのポゼッションサッカーをたびたび放棄し、試合ごとにスターティングメンバーを入れ替えている点は気掛かりだ。そのことがチームの熟成を妨げるばかりか、むしろ混乱を招いているのではないか、という疑念を拭うことはできていない。

バイエルンとの大一番はゲーム序盤にオーバメヤンのゴールが生まれて1-0で勝利した[写真]=Getty Images

バイエルンとの大一番はゲーム序盤にオーバメヤンのゴールが生まれて1-0で勝利した[写真]=Getty Images

バイエルン戦の勝利は理想からはほど遠かった


 象徴的な試合はいくつかあった。例えば第6節のレヴァークーゼン戦では、指揮官が低い位置からのビルドアップを重視し、左サイドバックのラファエル・ゲレイロを中盤センターにスライド。ヴァイグルとともにゲームメークの役割を担わせた(バイエルン時代のペップがダヴィド・アラバに課したタスクとよく似ている)。

 しかし、雨が降ったことも手伝い、チームはボールを前に運べず、セットプレーから先制を許してしまう。その後、突破力のあるエムレ・モルを投入するなど、時間が経つにつれて縦に速いフィジカルサッカーへと転換が図られたが、結果、不用意なボールロストから逆襲を受け、追加点を奪われて0-2で敗れた。

 スコアレスドローに終わった第9節のルールダービーでは、ゲッツェと香川が左右のインサイドハーフに起用された。この試合でドルトムントのボールポゼッションは66パーセントを記録。パス成功率は87パーセントに達したが、シュート数はシャルケをわずかに1本上回る9本。そのうち枠内シュートは5本と凡庸な内容に終始した。香川とゲッツェは中盤の守備に追われ、攻撃面で違いを作り出す場面は少なかった。トゥヘルのポゼッションサッカーに限界が近づいているように思われた。

試行錯誤を繰り返す“トゥヘル・ドルトムント”は後半戦に向けてどのような決断を下すのか? ワールドサッカーキング2017年3月号増刊「2016-2017 ブンデスリーガ後半戦ガイド」では、過渡期を迎えたドルトムントが抱える問題点を読み解きます!

2016-2017 ブンデスリーガ後半戦ガイド

[主なコンテンツ]

『2016-2017 ブンデスリーガ 後半戦ガイド』では、約1年9カ月ぶりの復帰を果たした内田篤人選手の巻頭ロングインタビューを始め、ケルンで充実の日々を過ごす大迫勇也選手や2部で研鑽を積む浅野拓磨選手のインタビューもお届けします。
さらに、首位争いを繰り広げるバイエルンやライプツィヒ、躍進を遂げたヘルタ・ベルリンや巻き返しを図るシャルケなどのレポートに加え、冬の移籍市場を反映したブンデスリーガ全18クラブの選手名鑑も掲載。例年以上に盛り上がりを見せるブンデスリーガの魅力が詰まった一冊に仕上がっています。

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