日本代表MF中野就斗 [写真]=金田慎平
サンフレッチェ広島で成長を遂げたMF中野就斗が日の丸を背負ってエディオンピースウイング広島のピッチに立つと、地元ファン・サポーターの一際大きい声援が響いた。
「本当に『ありがとうございます』の一言です。その歓声を胸にもっともっと自分は成長していかないといけないと思いました」
日本代表は9月28日、キリンチャレンジカップ2026でベネズエラ代表と対戦し、2-1で勝利した。中野はスタメンで日本代表デビューを飾り、右ウイングバック(WB)で71分までプレー。「普段やってるスタジアムで日本代表としてデビューすることができて楽しかったです」と喜びを口にした。
大卒プロ4年目。広島で公式戦179試合の出場数を積み重ね、確かな成長を続けて日本代表へと上り詰めた。東京都青梅市出身の26歳は、桐蔭横浜大学4年時に全日本大学サッカー選手権大会で主将として日本一に貢献し、大会ベストDFを受賞。大学ナンバーワンDFの輝かしい経歴を持って広島でプロキャリアをスタートした。
もともとは対人や空中戦の強さを誇るセンターバック(CB)だが、プロ1年目は新境地の右WBで開花し、豊富な運動量を活かした迫力ある攻撃参加を持ち味にした。ロングフィードやロングスローでチャンスの起点になり、右サイドでウインガーのような縦突破やカットインからアシストしたかと思えば、ペナルティエリア内でストライカー顔負けのゴールも決めて結果を出してきた。攻守にアグレッシブなプレーを磨き、まっすぐに成長を続けて、広島に欠かせない存在となった。
日本代表はプロ1年目から意識していた。試合で日本代表の選手とマッチアップになれば、「自分も代表を目指していて、現役の代表選手がいる相手に負けているようでは、そこに入れないので密かに燃えていました」と内なる闘志をみなぎらせていた。
プロ3年目の2025年1月、新シーズンに向けたチーム始動日には「Jリーグで圧倒的な存在になって代表に入ることが個人の大きな目標です」と明言。着実に成長を遂げてきたことで、日本代表という目標をより身近に思い描いていた。
「昔に比べれば手の届かない存在ではなくなってきていると思うけど、まだまだ選ばれていないのは力が足りないから。広島で活躍すれば代表も近づくと思うので、今自分ができることをやっていきたいです」
2026年は半年間の明治安田J1百年構想リーグで20試合出場3得点を記録し、2026-27シーズンはこれまで8試合出場で2得点をマーク。右WBでもCBでも攻守にアグレッシブなスタイルを貫き、ついに日本代表初招集をつかんだ。
「自分のサッカー人生はエリート街道でもないですし、努力をし続けたことで今があると思っています」
努力を続けた先にたどり着いた日本代表の舞台。中野は9月21日から活動に参加し、初戦のウルグアイ戦は出番がなかったものの、「今までのサッカー人生でこんなに濃い時間はない」とこの1週間だけでも多くを吸収してきた。
巡ってきたデビューの地は「自分のホーム」という所属クラブの本拠地・Eピース。「ここまで成長できた感謝をプレーに込めたい」。そう意気込んでいた中野は、キックオフから広島のチャント「Hiroshima Night」の日本代表バージョンが繰り返し響く中、立ち上がりから積極的に前へ出た。
開始2分に相手選手との競り合いでファールで止められてFKを獲得。14分に自陣深い位置の球際バトルで粘り強さを発揮し、19分に右サイドの高い位置に飛び出してカットインからクロスを供給した。35分にはFW佐藤龍之介との鮮やかな連係でチャンスを作ってスタジアムを沸かせた。「普段からコミュニケーションを多くとって、相手の出方によってどういうプレーをしていくかを考えながらやっていたのでいい攻撃もできたと思います」。
逆サイドで攻撃が始まると、中野は広島で見せてきたようにペナルティエリアへと何度も駆け上がった。55分には左WBのMF相馬勇紀からクロスが入り、ゴール前で構えていた中野が胸トラップから右足シュート。これは惜しくも相手DFにブロックされ、「狙っていた部分でもあったので決めきりたかった」と振り返った。
「1対1の強さや攻守においての推進力、アグレッシブさは自分の武器であり存在価値なので、そういったところを見せていきたい」。前日練習後に口にしていたその言葉どおり、日本代表のユニフォームを着ても変わらぬ中野らしさを発揮した。
だが、同時に「(自分らしさを)出せた部分もあるけど、失点のところは自分の強さでもあるところなのに国際舞台ではやられてしまうので、そういうところを突き詰めないといけない」と悔しさを滲ませた。
それは後半開始直後の46分。中野は自陣ペナルティエリア前で競り合ったベネズエラ代表DFルイス・バルボに突破を許して失点に絡んだ。持ち味の対人能力を出しきれず悔しいシーンとなったが、それも日の丸を背負って戦ったこその経験。「こういう舞台に立ったからこそ得られたことなのでマイナスになりすぎず、プラスにもっと成長していきたいです」と前を向いた。
守備で課題は出たものの、自分らしさを示したデビュー戦となった。中野は71分まで戦い抜き、最後は温かい拍手を受けながらピッチを後にした。「日本でやる上で、日本代表を背負う上で、負けていい試合なんて1試合もないので、最後の最後で勝ててよかったです」と勝利を喜びつつ、変わらぬ姿勢を貫く。「今日の課題とも向き合って、これからも課題から逃げずに成長していきたいです」。広島での代表デビュー戦で心に刻んだ歓声と経験がまた中野をさらなる努力へと突き動かす。
取材・文=湊昂大
【PR】「U-NEXT」でアジア大会 愛知・名古屋の男女代表をチェック!
「U-NEXT」は、月額2,189円(税込)で42万本以上の動画見放題や電子書籍を楽しめる国内最大級の総合エンタメサービス。今回、32年ぶりの日本開催となる『アジア大会 愛知・名古屋』を、最大7チャンネルで複数競技を同時にライブ配信する。
注目のサッカー競技では、2028年ロサンゼルス五輪を見据える21歳以下のメンバーで挑む“大岩ジャパン”(男子)と、WEリーグの選手を中心とした国内組構成となる“なでしこジャパン”(女子)が参加。
複数の競技が同時進行するアジア最大の舞台をリアルタイムで楽しもう!
- ① 男女日本代表のアジア大会の熱戦をライブ配信!
- ② 最大7チャンネルで複数競技を同時にライブ配信!
- ③ 初回無料トライアルで31日間見放題&500円分ポイントプレゼント!
By 湊昂大
