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大一番で吉田麻也に匹敵するリーダーシップを示せるか 谷口彰悟に期待大

2022.01.27

[写真]=Getty Images

「今はライバル心をメラメラ燃やしている段階ではない。どうにかしてゲームに勝つところにフォーカスしているので。チャンスをもらった選手がとにかく持っているものを100%出すこと。それができれば勝利に近づくと思います」

 吉田麻也と冨安健洋という鉄板センターバックコンビが負傷で不在の中、不気味な敵、中国に挑むことになる日本代表。2022年カタールワールドカップ出場権を確保するためにも、27日の最終予選第7戦は絶対に勝ち点3を確保しなければならない。大黒柱2人の代役を担う人材の1人だと有力視されるのが、J1連覇の川崎フロンターレでキャプテンを務め、今予選メンバー入り後に冒頭の言葉の残した谷口彰悟だ。統率力や戦術眼、駆け引き、周りを動かす力を含め、今こそ彼の力が必要と言っていい。第100回全国高校サッカー選手権大会で準優勝となった大津高校出身の谷口は現在30歳。筑波大学を経て、2014年に川崎入りしてからコンスタントに主軸を担い続けてきた。風間八宏監督が率いていた当時は大久保嘉人ら傑出した得点源を擁しながらタイトルに手が届かなかったが、2017年に壁を破ってからは、5年間で4度のJリーグ制覇を経験した。とりわけ、直近2年間は谷口がキャプテンとしてチームを力強くけん引。コロナ禍という特殊環境に加え、中村憲剛の引退、三笘薫や田中碧らの海外移籍といったイレギュラーな出来事が続いたが、それでもチームが崩れなかったのは、彼の的確なマネージメントがあったから。恩師である平岡和徳総監督(大津)も「川崎というチャンピオンクラブで負けられない重圧を感じながら戦った経験は大きい。彼自身も肝が据わった」と成長を実感した様子である。

 こうした目に見える変化を森保一監督も認めたからこそ、30歳を目前にした昨年6月シリーズで満を持して日本代表招集に踏み切ったのではないか。

 振り返ってみれば、初めてA代表に呼ばれたのは、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代の2015年。同年6月のイラク戦で初キャップを飾り、直後のEAFF東アジアカップにも参戦。2017年12月の同大会にも名を連ねたが、同じ国内組の槙野智章や昌子源らを越えられず、2018年ロシアW杯メンバー入りは叶わなかった。森保ジャパン発足直後も槙野や三浦弦太らが名を連ね。谷口にお呼びはかからなかった。2019年のアジアカップで冨安が頭角を現すと、一気に吉田との鉄板コンビが定着。さらに植田直通や板倉滉、中山雄太らの海外移籍も加速し、欧州組の比率が高くなっていく。国内組参入の余地が少なくなり、年齢を重ねたこともあり、谷口自身も「もはやA代表に戻ることは難しい」という思いが脳裏をかすめたことも皆無ではなかったことだろう。それでも、彼は大津時代から胸に刻み付けた「凡事徹底」を忘れず、日々の自己研鑽を怠らなかった。川崎で磨きをかけた「止める」「蹴る」の技術に加え、精神的な落ち着きや安定感も生まれた。そこが大きな強みになったのは間違いない。

「一度呼ばれてから時間が経っていますけど、自分がやらなければいけないことや課題をJリーグで地道にやってきたつもりですし、自信を持って代表に参加できると思います。麻也選手と冨安選手の壁が高いのは代表を見ていれば分かること。でも、2人の陰に甘んじているようではダメ。競争の中でもっと戦えるCBが出てこないといけないですし、2人を脅かすようなパフォーマンスを発揮しないといけないと感じています」

 昨年6月のタジキスタン戦とセルビア戦の2試合に出場し、代表定着への布石を打った谷口。その後、9月からスタートした最終予選からは少し遠ざかる時期もあったが、11月シリーズでついにメンバー入り。オマーン戦でベンチ入りし、一つひとつ着実に階段を上ってきた。そして迎えた2022年のW杯イヤー。いよいよ最終予選初参戦を果たす可能性が高まった。パートナーは川崎の後輩である板倉なのか、大津の後輩である植田なのか、はたまた国内組合宿で共闘した中谷進之介なのかは未知数だが、誰と組んでも彼のリーダーシップにかかるところは大と言える。中国には帰化選手のアランや欧州組のウー・レイなど厄介な面々がいるが、彼らをフリーにさせないような組織的守備を構築することが最優先。これまで吉田が担ってきたゲームコントロール役をしっかりと遂行してくれれば、日本の守備陣が大崩れすることはないはずだ。

「今は変な気負いもないですし、変な自信もない。自然体でやるべきことを整理しながら準備できている。非常に心も体もいい状態になっている」と本人も手ごたえをつかんでいるというから、期待していいのではないか。

 サッカー人生で数少ない大ブレイクのチャンスをモノにすれば、日本のカタールW杯出場権獲得、そして彼自身の大舞台参戦も見えてくる。土肥洋一、巻誠一郎、植田に続く大津4人目のW杯出場を目指し、彼には何としても大きな関門を乗り越えてもらいたい。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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