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フットサル日本代表、パラグアイに敗戦もW杯16強進出 視線は“巨大な相手”ブラジル戦へ

2021.09.21

清水が先制点を決めたが… [写真]=Getty Images

 フットサル日本代表は20日、FIFAフットサルワールドカップ リトアニア2021グループステージ第3戦のパラグアイ代表戦に臨んだ。

 チームの要であるキャプテンのFP吉川智貴を欠く日本は、GKピレス・イゴール、FP清水和也、逸見勝利ラファエル、西谷良介、オリベイラ・アルトゥールの5人で試合をスタートした。吉川の代わりに入った西谷がファーストシュートを放ち、初戦で4ゴールを挙げたアルトゥールや、セットプレーでポイント起用されたFP森村孝志も序盤から先制点を狙う。すると3分、FP逸見のパスを受けたFPアルトゥールが左サイドから仕掛け、パラグアイの守備が乱れたところですかさずボールを前線に送る。これをゴールを背にしたFP清水が左足のアウトに当て、相手GKの股を通過したボールがネットを揺らした。ここまでピヴォとして得点を期待されながらもゴールを挙げることができなかった清水の得点に、ピッチ内外の選手が喜びを爆発させた。

 他グループの結果によっては、敗戦してもグループステージ突破の可能性が高い試合だったが、前日のオンラインインタビューでブルーノ・ガルシア監督が「最初からそういった条件を考えることなく、勝ってグループステージ突破を目指す」と話したとおり、アグレッシブな戦いを見せた日本。しかし、徐々にパラグアイにペースを握られると、高い位置でのプレスやスピーディーで精度の高いパス回しに苦戦する。7分にはスピードに乗ったパスからFPマレコに同点弾を決められ、試合は振り出しに戻った。

[写真]=Getty Images

 1-1で折り返した第2ピリオドも相手の強度に圧されながらチャンスをうかがう日本は、FP清水と第2戦でゴールを挙げたFP逸見の連係、FP室田祐希、FP加藤未渚実のシュートなどで惜しいシーンを作るが、決めきることができない。33分には、日本の星兄弟と同じく兄弟でのワールドカップ出場を果たしたパラグアイのサラス兄弟の連係でリードを許した。試合時間も残り少なくなった37分、日本は前回のスペイン戦と同じくFPアルトゥールをGKに置き、パワープレーを仕掛ける。距離があっても強烈なシュートを打つことができるFPアルトゥールは、パワープレー開始直後は左サイドに位置していたが、残り1分を切るあたりで底辺まで下り、持ち味を生かせるポジションからシュートチャンスをうかがう。しかし、ゴールをこじ開けることができずに1-2で試合終了。この結果により日本はグループステージを3位で終え、各グループの3位チームのうち成績上位チームが進出できる大会レギュレーションにより、2012年大会に続き、2度目のノックアウトステージ進出を果たした。

 第3戦で出場時間を伸ばしたFP八木聖人は試合後、「今回、出場時間は増えましたが、第1戦、第2戦でも誰よりもベンチ裏で走り、常に準備はしていました。今日も試合にしっかり入ることはできましたが、その最低ラインしかできなかった、という感想です」と振り返った。3位通過については「(星)翔太さんにも試合後に言われましたが、ノックアウトステージに上がったという事実は変わりません。反省するところは反省し、いい意味で忘れて、切り替えて次に臨みたいと思います」と意気込むと、「期待しています」の問いかけに力強くうなずき、会場を後にした。

 この試合でワールドカップ初ゴールを挙げたFP清水和也は敗因について、「パラグアイという速攻のチームに対してボールの失い方を気をつけなくてはいけないと思っていました。失点の原因を作ってしまったのは自分だと思うのでなおさら…。もっと冷静にできたのではないか、プレーをやり切るべきところだったかのではないか、と思います。ただ、勝ちにいく姿勢を見せた結果なので、しっかりとこの敗戦を受け止めて次に進みたいと思います」と時々目線を落としながらも、しっかりと答えた。ノックアウトステージ初戦で対戦するブラジルは強豪だが、「どこと当たっても苦しい試合になるのはわかっているので、しっかりと休んで、切り替えて、また対策をして、ブラジル戦に向けて100%以上の力を出せるようにしていきたいと思います」と意気込みを語った。

 敗れた日本のブルーノ・ガルシア監督は、試合後のミックスゾーンで取材に応じた。

ブルーノ・ガルシア

日本代表のブルーノ・ガルシア監督 [写真]=Getty Images

―――勝ちにいったなかでの敗戦となりました。

試合前から話をしてきたとおり、勝つための準備をし、勝つためのプレーをした結果です。実力的には拮抗した展開だったと思いますが、ワールドカップの出場回数から見ても経験値の高いパラグアイが、こういう競ったゲームのときにどのように戦うか、その競争力で一歩先手を取った。私たちはそれに対し、行ってはいけないエラーから2失点をしてしまいました。拮抗したゲームであればあるほど、代償は大きく出るので、そういうゲームになってしまったな、と思います。

―――敗戦でしたが、ノックアウトステージ進出となりました。次戦ブラジル戦へのイメージを教えてください。

ブラジルはワールドカップの最多優勝国です。グループステージ突破という当面の目標を達成しましたが、本当に歴史を変えたいと目標を掲げて進んできたことを考えれば、強大ではなく“巨大な相手”。ただの強敵ではない相手に勝ち切らないと、歴史は変えられないと思います。そこを目指して戦っていきたいと思います。

―――グループステージ3連勝を目指していた中で1勝2敗。メンタル面のダメージは?

大会が始まる前の段階では、3勝してグループステージ1位で次のフェーズに進むことを目標にし、そのための準備を続けていました。ただ、もう一方で日本代表は(2016年の)前回大会に出ておらず、強豪国と同じポットに入ったことも免れない現実です。そのなかでアンゴラに勝利し、スペインと素晴らしいゲームができ、最後のパラグアイという強豪に競って敗れました。一つひとつの目標に対して達成できなかった部分はありますが、それを包括したグループステージ突破は勝ち取っている、ということを握りしめて次のチャレンジに向けて最善の準備をするというマインドです。

―――選手からは「グループステージを突破したという事実は変わらない」と前を向く姿が見られました。監督も同じようにノックアウトステージに気持ちが向いていますか?

まったく自分の感覚も同じです。グループステージ突破は果たしましたが、第3戦は勝利または引き分けで抜けたいと思っていたので、グループステージを突破した喜びと目の前の目標が叶わなかったという気持ちが交錯する複雑な感情はあります。ただ、試合後にロッカールームでも話をしましたが、我々は次の試合に向けての「0分」のスタートラインに立っています。今から最高の回復をして最大限の戦いができるように準備をするというマインドでいます。

 史上2度目のノックアウトステージ進出を果たした日本代表は、23日(日本時間24日2時)にブラジル代表と対戦する。

取材・文=しょうこ

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