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“成長”しながら東京五輪を戦う日本代表 まず勝ち切って『+2試合』の権利を

日本はニュージーランドとの準々決勝へ [写真]=Getty Images

 最強のチームとは、成長するチームである。東京オリンピックの男子サッカー日本代表は、そんな言葉を思い出させる集団になっている。

 3戦全勝という単純な結果ほど、個々の内容がそれほど良かったわけではない。むしろ第1戦と第2戦で選手たちが口にしていた材料は課題のほうが多かったくらいだ。だが、その勝って兜の緒を締めまくる姿勢と、「このチームはもっと強くなれる」(MF堂安律)と自然に全員が確信している雰囲気こそ、このチームの強さの源泉に思える。

 2試合を終えた段階で、DF酒井宏樹は「いい感じで課題が出ている」と言っていたのが象徴的だ。たとえばメキシコとの第2戦で言えば、試合の終わらせ方、ペースコントロールにシリアスな課題が残ったのは確かだろう。だが、そうした問題点を選手たちが共有した上で、次の試合に活かすというサイクルができている。

 森保一監督は日頃から「成長」という言葉を強調しているが、個々の選手たちが自らの成長を実感している様子なのも印象的だ。攻守で貢献しているMF相馬勇紀は、こう振り返る。

「攻撃のところであったら、相手の懐に入っていくところは大会前からまるで変わったところですね。自分のドリブルは、今までだったら縦に剥がしてクロスで終わるところを、もうちょっと潜り込んでから、クロスというよりは横パスくらいにできたりしています」

 そう攻撃面での自らの変化を語るが、これだけではないのだと言う。

「後はメキシコ戦で特に後半から(ディエゴ)ライネス選手の切り返しに対して結構ついていけるようになった感覚もあった。まだ大会の真っ最中ですけど、成長を実感しながらプレーできています」

 世界大会ならではの強敵との戦いで掴んだ自信やきっかけももあれば、ドリブルについて言えば、練習のマッチアップで酒井に完璧な形で抑え込まれたあとに受けたアドバイスを、自分の中で消化して実践した結果であり、チームメイトから受けている刺激も大きい。

 DF橋岡大樹も酒井からクロスに対する体の向き一つでクリアボールの方向をコントロールする術を学び、実践していると言う。若い選手たちのそうした成長へのどん欲さに対し、酒井も「それもオーバーエイジの役割」と快く応じてスキルを授け、惜しみない助言を授け続けている。

 初めての世界大会について「試合に入ってからちょっと経つまで、ずっと緊張していた」と言うDF旗手怜央も、海外でプレーする選手たちのプレーと言葉の両方に大きな刺激を受けている一人だ。

「オーバーエイジの選手と話していてもそうですし、プレーを見ていても世界の相手と渡り合っているのは海外でプレーしている選手たちだと感じている。『負けていられないな』とも思うし、海外のサッカーの話、戦術の話をいろいろと聞いていてもそうなんですが、勝負にこだわる大会を戦いながら、そういった話もしてもらって、得られている部分がたくさんある」(旗手)

 新型コロナウイルス感染症への対策として、今大会期間中も選手各部屋の行き来は規制されており、部屋で一人過ごす時間が長くなっている。旗手は「読書をするか、窓のそばに椅子を持ってきて外を眺めて過ごしている」という退屈な時間も過ごしつつ、だが「毎日が楽しい」と笑う。

「個人的にこういう大会に入ってからいろいろな部分で成長を感じられていますし、また新たな発見もありました。日を追うごとに、成長できているな、と。毎日楽しい1日を送れているなと感じている」(旗手)

 ボールを蹴り始めた少年が抱く原初的な感情である「上手くなりたい!」という思いを、大人になっても持ち続けている選手たちがこの代表には集まっている。大会を戦いながら、チームとしても個人としても成長を感じる日々をどこまで伸ばせるか。

 まずは準々決勝、ニュージーランド戦。油断ならない相手を勝ち切り、必ずや成長に繋がるであろう“+2試合”の権利を勝ち取りに行く。

取材・文=川端暁彦

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