2018.10.13

直前での”薬“を好材料に 「世代全員の分まで」U20W杯出場権を/AFC U-19選手権

流経大との練習試合に臨んだU-19日本代表 [写真]=川端暁彦
2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

 11日、日本からの出発を目前に控えたU-19日本代表が流通経済大学とのトレーニングマッチを実施した。19日に初戦を迎えるAFC U-19選手権(U-20ワールドカップ・アジア最終予選を兼ねる)に向けた準備試合という位置付けである。

 とはいえ、集まったばかりのU-19代表は「今季フルタイム近く出ている選手もいれば、まるで試合に出ていない選手もいる」(影山雅永監督)状態で、コンディションはバラバラ。高卒1、2年目の選手たちが主力になるU-19年代特有の問題であるが、日本での4日間の合宿は、こうした点の解消に主眼が置かれることとなっていた。

 締めくくりとなる流経大との試合についてもそれは同じで、プロのステージで連戦をくぐり抜けてきて肉体的ダメージのある安部裕葵(鹿島アントラーズ)と齊藤未月(湘南ベルマーレ)に関しては試合自体を回避。10番と主将を欠いたことに加え、出場時間をセーブする選手もいる中でのゲームとなった。

 調整が主目的とはいえ、本番までの時間もない中での試合である。「日本に特別な対策を立ててくることが考えられる」(影山監督)アジアの戦いを想定しつつ、「戦術的なバリエーションを増やす」(同監督)をもう一つの目的として臨んだ。

 前日の練習では、たとえば相手がサイドバックへ追い込む形のプレッシングで来るならば、サイドバックを中に入れて全体をスライドさせてビルドアップする形をテスト。あるいはリトリートした状態でのポゼッションから相手を引き込んでしまって裏を取る疑似カウンターのような形を狙う形など、幾つもの戦術的な引き出しを準備。「相手もあることなので」と影山監督が前置きしたように、そう都合良く出せるものではないのだが、複数のシステムを使い分けるところも含め、この練習試合は一つのテストの場となった。

[写真]=川端暁彦

 これはもちろんアジアに向けた対策なのだが、より大きな意味では来年のU-20ワールドカップを見据えての支度であり、彼らが将来A代表になったときの引き出しを増やしておくという考え方でもある。チームの団長を務める内山篤技術委員(前U-20日本代表監督)の言葉を借りれば、「FIFAランキング50位くらいの国が、世界を相手にして『僕らは一つのやり方でしか戦えません』なんて甘い、甘い」ということだ。

 試合は事前に予想されていたことでもあるのだが、全体的には上手くいかない場面が目立った。代表チームの宿命だが、チームのやり方と大きく異なる選手は「感覚を取り戻さないと」(DF石原広教=湘南ベルマーレ)という状態で、ビルドアップから詰まるシーンが頻発。試合途中から[3-4-2-1]のフォーメーションへシフトして相手の守備の狙いを外してボールを運び出すという形が奏功することもあったが、流経大のレギュラークラスが出ていた時間帯に関しては、ほとんどチャンスを作ることができなかった。

 30分×4本の変則形式で行われた試合は2本目の早々に失点し、そこからFW原大智(FC東京)と久保建英(横浜F・マリノス)のゴールで逆転。終盤に同点ゴールを許してしまったものの、4本目の最後に原がクロスボールをダイビングヘッドで決めて何とか勝ち越すという形になった。

[写真]=川端暁彦

 特別結果を重視するような試合ではないだけに、影山監督が強く問題視したのは相手のカウンターに対して切り替えが遅れた最初の失点場面。アジアの試合でいかにも“ありそう”なシーンだったこともあり、試合後には「選手にあらためて厳しく言わないといけない」と渋い顔で振り返った。

 もっとも、こうした事前の試合でいかにも「薬」になりそうな場面が出ていたのはむしろ好材料だろう。ああいう形で失点しないと、逆に反省材料を見失いかねない。アジアでありそうな流れから、日本のスキを逃さずキッチリ決めてきてくれた流経大には感謝しておきたいくらいで、うまく初戦にフィードバックしたいところだ。

 世界切符を懸けて争われるAFC U-19選手権で日本の初戦は10月19日。日本時間21時からU-19北朝鮮代表との対戦となる。前回大会は見事に優勝を飾ったとはいえ、世界切符獲得は10年ぶりのことだった。最近の日本はアジアでの好結果が続いているが、決して甘い舞台でないことは間違いない。

「U-19世代を代表して大会に行かせてもらうので、この世代全員の分まで絶対に出場権を獲らないといけない」(石原)という決意を胸に、日本の若武者たちが「絶対にタフな戦いになる」(MF伊藤洋輝=ジュビロ磐田U-18)アジアを乗り越え、世界への扉をこじ開ける。

取材・文=川端暁彦

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