2018.04.02

【コラム】残された椅子は“あと1つ”か…柴崎岳、ロシアW杯へ求められる出場時間増と得点

柴崎岳
W杯日本代表メンバー入りを目指す柴崎岳 [写真]=Getty Images
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 2018 FIFAワールドカップ ロシア不出場国のウクライナ代表に2発を浴び、手痛い敗戦を喫した3月27日の日本代表。攻撃陣が前線からの守備で忙殺され、ほとんどシュートを打てない中、得意のFKで見せ場を作ったのが柴崎岳(ヘタフェ)だった。

 41分、原口元気(デュッセルドルフ)が左サイドやや高い位置で粘りファールを受けたことで、手にしたリスタートのチャンス。背番号7が右足で蹴った精度の高いボールをゴール前の槙野智章(浦和レッズ)がピンポイントで合わせ、起死回生の同点弾をネットに突き刺したのだ。

「柴崎選手は試合前からFK以外の部分でも『ここにパスを出してほしい』とか、『ここに入ってきてほしい』と僕に要求を出していたので、あとは僕がそこに入るだけでした。決められて良かったです」と槙野も2人の意思疎通の成果であることを強調していたが、確かに今回の柴崎はより自分から積極的にアクションを起こしていた印象を随所に残した。

柴崎岳

ウクライナ戦では槙野の得点をアシストした [写真]=Getty Images

 79分に中島翔哉(ポルティモネンセ)と交代するまで、彼は同じ前線でプレーする本田圭佑(パチューカ)や原口らと意思疎通を図り、自ら意欲的にボールを奪いに行っていた。ボールを奪うと屈強なDFにうまく体を預けてボールをキープする落ち着きも光った。こうしたプレー面の変化は精神的な余裕から来るものなのだろう。同じポジションを争う森岡亮太(アンデルレヒト)も「岳は成長したなと感じました」としみじみ話した通り、前回代表で先発した2017年9月のアジア最終予選・サウジアラビア戦の頃とは大きな進化を感じさせてくれた。

「ワールドカップならどの国も1人は世界最高クラスの選手がいるわけで、彼らと戦うためにはフィジカル的にもメンタル的にも相当な準備をしないといけないというのは理解している」と本人も語っていたように、まずは相手と互角以上のメンタリティを持って戦わなければ、世界で勝つのは難しい。そこは3月の欧州遠征2連戦に挑んだ日本代表に欠けていた部分かもしれない。

 柴崎がその重要性に気付いたのは、昨シーズンからスペインに戦いの場を移したことが大きい。とりわけ今シーズンからプレーするリーガ・エスパニョーラのヘタフェでは「パスの受け手」としてフィニッシャーの役割をより強く求められている。勝敗を左右する重責を担ったことで、ゲームメークやお膳立てをメインにしていた鹿島アントラーズ時代より強い精神力が求められると自覚したのだろう。

 こうした変化の一つの象徴が、9月16日のバルセロナ戦でのゴール。ロングフィードの落としを左足で巧みに合わせたボレー弾は世界を震撼させるハイレベルなものだった。これで彼の存在価値は一躍高まったと見られたが、悔しいことに世紀の一戦で左足中足骨を負傷。手術を余儀なくされ、本格復帰まで2カ月半もの時間を要することになった。

柴崎岳

バルセロナ戦で衝撃の初ゴールを記録 [写真]=Getty Images

 これにより、シーズン序盤に掴んでいた先発の座も失い、その後は途中出場が多くなっている。得点も奪えていない。常に高いレベルのパフォーマンスと結果を求める柴崎にしてみれば、現状は満足いかないはず。ここからのシーズン終盤に向けて出場時間増を図り、ゴールという結果を少しでも積み上げていくことは、ワールドカップメンバー滑り込みのために必要不可欠と言っていい。

「プレー時間はしっかり残していきたいし、スタメンで出る試合も増やしていきたいなと。それはコンディションに関わってくる。(ヴァイッド・ハリルホジッチ)監督も言っている通り、それが大前提。あと2カ月くらいあるので、さらにレベルアップできるところはやっていきたい」と本人もやるべきことを明確に描いている様子だった。

 目下、柴崎は香川真司(ドルトムント)や清武弘嗣(C大阪)、森岡らとのサバイバルを強いられている。香川と清武は負傷離脱中だが、国際経験値と代表実績ははるかに上。特に香川はほぼ当確とさえ見られている。となると、残された攻撃的MFの枠は1枚。今シーズン、スペインで1ゴールという柴崎をハリルホジッチ監督が選ぶか否かは定かではない。今の日本代表にとってもトップ下のポジションはフィニッシャーでなければならないからだ。ゴールという実績を積み上げることは、今の彼によって最重要テーマになってくるだろう。

 しかしながら、前述のバルセロナ戦、2015年のアジアカップ準々決勝・UAE戦の同点弾など、柴崎にはここ一番の決定力がある。それは鹿島の同期・昌子源も「岳は毎回鳥肌の立つプレーを練習からする。どこがマックスなのか全然分からん選手」と底知れぬポテンシャルに太鼓判を押していた。その非凡な潜在能力を出し切る時はまさに今だ。彼が残された攻撃的MFの枠を手にしようと思うなら、スペインの地で手にした強靭なメンタリティを武器にヘタフェで数字を残すこと。そこに集中するしかない。

文=元川悦子

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