2017.12.12

静かに“その時”を待つ三浦弦太、鋭く冷静な守備で相手を苦しめる

三浦弦太
12日の中国戦でデビューを飾れるか [写真]=三浦彩乃
スポーツ報道を主戦場とするノンフィクションライター。

 雌伏して時の至るを待つ――日本代表におけるDF三浦弦太(ガンバ大阪)の心境を表せば、実力を養いながら活躍の機会を静かに待つ、という意味の「雌伏」に凝縮されると言っていい。

 今年6月にハリルジャパンへ初招集されて以来、アジア最終予選や国際親善試合で1度もピッチに立っていない。国内組のみのメンバー編成で臨んだ、東アジアの頂点を決める2年に1度の国際大会でも、9日の北朝鮮代表との初戦で最後までベンチを温めた。

 特に北朝鮮戦では同世代のGK中村航輔、FW伊東純也(ともに柏レイソル)、DF室屋成(FC東京)が国際Aマッチデビュー。日本が6大会連続6度目の世界大会出場を決めた、8月のオーストラリア代表戦では、これも同世代のFW浅野拓磨(シュツットガルト)、MF井手口陽介(G大阪)がゴールを決めた。

 焦りがないと言えば、嘘になるかもしれない。それでも22歳の三浦は静かな口調で、年齢の近い仲間たちの活躍ぶりをさらなる成長への力に変えたいと前を見すえた。

「出場したら結果を出すことにこだわり、自分のベストを出したい」

 2017シーズンはサッカー人生の転換点になった。大阪桐蔭高校から加入し、4年間プレーした清水エスパルスからG大阪へ移籍。すぐにセンターバックのレギュラーを獲得した。

「対人プレーやフィードは自分の武器。それらを代表でも出していけたら」

 初招集時にはこう語っていた三浦は、自身初のリーグ戦全34試合、3060分間フルタイム出場を果たした。大いなる手応えと同時に、蹉跌も味わわされた。6月25日の川崎フロンターレ戦から、19試合連続で失点を喫した。この間の成績は3勝5分け11敗。チームは10位に沈んだ。

 北朝鮮戦でセンターバックとして先発フル出場した昌子源と谷口彰悟も、リーグ戦34試合でフルタイム出場を達成。両者が所属する鹿島アントラーズと川崎は最終節まで優勝争いを展開し、後者が大逆転で美酒に酔った。失点がチームの成績に直結するポジションだと痛感させられた。

 印象に残る一戦がある。9月23日の鹿島戦。相手のエース金崎夢生と壮絶な肉弾戦を展開し、途中で流血させられても務めて冷静に、それでいて激しく対応し続けた。試合は負けたが、代表にも通じる課題に挙げていたフィジカル的な部分で成長の跡を見せた。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は6月の初招集時に、大抜擢した三浦についてこう言及している。

「パワーとテクニックがあり、あの年齢ですでに全員に向かって喋ることもできる。1、2年後には素晴らしいセンターバックになる」

 183センチ、77キロのボディに搭載されているのは、無限のポテンシャルと静かに燃やされる闘志、そしていじり役といじられ役の両面を演じられる特異なコミュニケーション能力。普段はクールに映る表情や言動でそれらを覆い隠し、代表で期待を、クラブでは責任を背負いながら、三浦は一歩ずつ前進していく。

文=藤江直人

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