2017.11.15

【コラム】「攻撃のスイッチ役」を託されるも不発…W杯へ、森岡亮太の生きる道とは

森岡亮太
ベルギー戦に後半途中から出場した森岡亮太 [写真]=VI Images via Getty Images
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 前半から強固な守備ブロックを形成し、FIFAランク5位の強豪・ベルギーの猛攻を封じ続けてきた14日の日本代表。0-0のまま前半が終了し、後半も15分が過ぎたところで、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が動いた。攻撃のスイッチ役として抜擢されたのは、背番号14をつける森岡亮太(ワースラント・ヴェフェレン)。今シーズン、ベルギー1部で7ゴール8アシストという目覚ましい実績を残し、現地で大いに注目を集める旬のアタッカーにゴールに直結する仕事を託したのだ。

「0-0の時間帯は守備的に入っているので仕方ないところはあったけど、攻撃がすごく単発になっていた。監督からはダイレクトにつなげと指示を受けました」と本人は速い攻めを頭に入れつつチャンスを伺おうとした。

 アクセル・ヴィツェル(天津権健)を徹底マークするなど守備面でハードワークし続けた長澤和輝(浦和レッズ)に代わってピッチに立った森岡は、攻撃活性化を強く意識。70分には酒井宏樹(マルセイユ)のパスを受け、ナセル・シャドリ(ウェスト・ブロムウィッチ)をかわして左足で思い切りのいいシュートを放つ。「もう少し力が入っていればもっといいシュートが打てたのかな」と悔やみつつも、「何人か絡んでシュートまで行けたので、あのシーン自体はすごくよかった」と少なからず手応えをつかんだ様子だった。

 だが、手痛い失点を喫したのはその直後。自らのシュートシーンでマークに入っていたシャドリが左サイドから小気味いいドリブルを仕掛けてきた際、森岡は久保裕也(ヘント)、山口蛍(セレッソ大阪)らとともに相手についていった。が、スルスルと加速したベルギー代表MFは吉田麻也(サウサンプトン)さえもかわしてクロスを上げた。そこにファーからロメル・ルカク(マンチェスター・U)が飛び込んできて、与えてはいけない1点を献上してしまう。「人数はいたのに一瞬ちょっと曖昧になってしまった。そこがもったいないところだった」と森岡も反省の弁を口にするしかなかった。

 こうなれば、ゴールという形で巻き返すしかない。杉本健勇(C大阪)が入ってきた78分には狙い通りのワンタッチプレーから3対1のビッグチャンスを作り、86分には久保とのワンツーからペナルティエリア内に侵入。ゴールの匂いを感じさせた。複数回のCKからも果敢に1点を狙いに行った。球際や寄せなど守備面を武器とするMFが多い今回の日本代表にあって、森岡は数少ないファンタジスタ的な選手。その能力の一端を垣間見せたのは間違いない。

 しかしながら、本人は「途中出場で攻撃のスイッチを入れる役目? いや、全然できてないです。結果的に得点になっていないので。アピールも全然だったと思います」と険しい表情を浮かべるしかなかった。

 3年ぶりに招集された代表で生き残り、7カ月後の2018 FIFAワールドカップロシアに行くためには、数少ないチャンスをモノにするしかない……。その厳しい現実を森岡自身も強く認識し、今回のブラジル・ベルギー2連戦に挑んだはずだった。が、やはり世界屈指の強豪は一筋縄で勝てる相手ではなかった。「1人1人の個の力はすごく高かった。体も大きいですし、技術的な部分はやっぱり高かった」と本人も舌を巻いた。その一方で「チームとしてはそこまで、個の能力の高さの割に…と感じはしました」ともコメントしていて、ツケ入るスキはあったと感じていた。それだけに不完全燃焼感は募る。森岡の悔しさはひとしおだろう。

 彼のポジションには、国際Aマッチ89試合出場28ゴールの香川真司(ドルトムント)、同43試合出場5ゴールの清武弘嗣(C大阪)、今シーズン、スペイン1部でブレイクを果たしながら負傷離脱中の柴崎岳(ヘタフェ)というタレントがひしめいている。今回で代表4試合目という森岡は彼らに比べるとどうしても実績面で劣る。それでもハリルホジッチ監督があえて招集に踏み切ったのは、ベルギーで華々しい活躍をして、評価が急上昇していたからだ。

 実際、現地でも「なぜ森岡は代表に選ばれていないのか」という疑問の声が高まっていた。こうした世論を味方につけ、狭き門を突破し、慣れ親しんだ地・ベルギーでの大一番で30分間というプレー時間を与えられたわけだが、攻撃リズムに変化をつけたり、フィニッシュに至る形をお膳立てできる長所は発揮したものの、課題の守備面で物足りなさを垣間見せてしまった。

 次の国際Aマッチデーである来年3月にも代表入りするためには、この反省を生かしてもう1段階、2段階ステップアップするしかない。「ベルギーは欧州5大リーグじゃない」と本人も口癖のように話しているが、そこで際立った数字を残してこそ、香川や清武に肩を並べることができる。12月に中断を迎えるリーグ前半戦での2ケタゴールはもちろんのこと、球際や寄せといった守備の部分でもよりアグレッシブになることが肝要だ。

 ヴェフェレンではゴールを狙う回数を増やすため、我慢して下がらず前で張っていることが多いが、代表ではそうはいかない。よりダイナミックにプレスをかけることが求められる。それをこなせるフィジカル能力の向上、走力アップは不可欠だ。多角的に自分自身を飛躍させていくことが、森岡が代表で生きていくための絶対条件と言っていい。

 自らの進むべき道を明確に理解したインテリジェンスあふれるアタッカーがここからどう変貌を遂げていくのか。大きな期待を寄せつつ、その動向を見守りたい。

文=元川悦子

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