日本代表は10日、ブラジル代表との一戦に臨む [写真]=Getty Images
とにかく耐えて、我慢して、縦に速い攻撃で仕留める。それが強豪ブラジルに勝つための日本のプランだ。
FW原口元気が「90分間、苦しむような展開になる」と想像するように、10日に行われるブラジル戦は日本が押し込まれる展開が予想される。選手たちは一様に「まずはしっかりとした守備から」と口をそろえた。
とはいえ、日本の選手たちに単純に引いて守るつもりはないようだ。リオデジャネイロ・オリンピック前にブラジルとの親善試合を経験しているMF遠藤航は、大胆なアプローチが必要だと説明する。「剥がされることをビビっていては、ボールは取れない。行く時は思い切って行く。剥がされても次の人がカバーすればいい」。耐えるべき場面なのか、積極的に奪いに行く場面なのか。その辺りの意思統一が重要になってくる。
キーマンはDF長友佑都やDF吉田麻也らベテラン勢だろう。長友は自身の役割について次のように語った。
「前線の選手が攻撃のスイッチを入れた時に、いかに連動していけるか。ただ、後ろが行けない時は僕らが声をかけなければいけない。ピッチの中で声を掛け合わないと難しくなりますよね。味方が剥がされた時に、チームや周りの状況、そして相手の状況を冷静に見られるか、経験のある僕らが声をかけるべきところで声をかけられるかがすごく大事になってくる」
一方で攻撃時はボールを奪った後のシンプルな仕掛けがポイントになるが、相手は全員が世界トップクラスのブラジル。昨年6月にチッチ監督が就任してからは組織的な守備にも磨きがかかり、一筋縄ではいかない。日本はヴァイッド・ハリルホジッチ監督が目指す速い攻撃を優先しつつ、相手の出方を見ながら攻撃の形を変えていく必要がある。ピッチ内での臨機応変な判断が試される試合になるだろう。
日本は2006年のドイツ・ワールドカップでの対戦を最後に約11年もブラジルからゴールを奪っていない。通算でも過去11度の対戦で奪ったゴールはわずか4つ。それでもエースの大迫勇也は虎視眈々と5つ目を狙う。
「今までのブラジルの試合を見る限り、チャンスの数も時間もそう多くはない。効率良く、なるべく速くゴールに迫るというイメージはみんなの頭の中にある」
ハリルホジッチ監督が就任当初から一貫して求めてきた「縦に速いサッカー」は、強豪国を相手にした時にこそ真価を発揮するもの。積み上げてきたスタイルがどこまで通用するか、ブラジル戦は日本の現在地と総合力を測るための試金石となる。「自分たちがどれだけできるのか。たくさんトライしたい」。吉田の口調はいつもと変わらず冷静だった。
取材・文=高尾太恵子
By 高尾太恵子
サッカーキング編集部