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【コラム】11月に待ち受ける“未知”なる相手…久保裕也、エース襲名へ問われる真価

2017.11.07

11月の2連戦を心待ちにする久保裕也 [写真]=Getty Images

 今年1月、ヤングボーイズ(スイス)からヘント(ベルギー)に移籍し、後半戦だけで17試合11得点という凄まじい活躍を見せた久保裕也。その勢いを2018 FIFAワールドカップ ロシアの直前となる今シーズンにつなげたいところだった。

 ところが、7月30日の開幕戦から不発が続き、今シーズン初得点が9月17日の第7節・オーステンデ戦までずれ込む想定外の苦境に直面した。チームも低迷を余儀なくされ、10月1日のブルージュ戦後にはベルギー有数の名将と評されるハイン・ヴァンハーゼルブルック監督が更迭される。後を引き継いだイブ・ヴァンデルハーゲ監督が立て直しを図り、新体制移行後は3勝1分け1敗とようやく結果がついてきた。久保自身も10月に3得点と本来の鋭い得点感覚を取り戻しつつある。

「今の監督は前の監督より自由がありますね。前の監督はもうガチガチに役割を決めていたんで。もちろん結果を残せば何でもいいところがあったけど、残さないと型にはめられる感じだった。今はそういうのが全くないんで、崩していく時は前の選手のイメージが大事になると思います」と本人も言うように、自由度が高まったことでゴールに直結するプレーの幅を広げることができた様子だ。

久保裕也

ヘントでも徐々にコンディションを上げている [写真]=Getty Images

 クラブでの復調傾向が日本代表の11月2連戦(10日・ブラジル代表戦/リール、14日・ベルギー代表戦/ブルージュ)のパフォーマンスに直結すれば理想的。彼自身も未知なる領域の相手との対峙を心待ちにしている。

「自分はブラジル、ベルギーのような高いレベルの相手と全くやったことがないので、どういうものなのか全く想像できないですね。全員がうまいし、個の能力が物凄く高いイメージですけど、どういう感じかしっかり自分の中でつかみたい。とりあえず楽しみたいと思います」と本人は前向きに言う。

 確かに久保の過去を振り返ってみると、10代の頃は世代別の世界大会出場権を逃し、昨年のリオ・デ・ジャネイロ五輪も当時所属していたヤングボーイズの招集拒否によって参戦が叶わなかった。五輪直前にはブラジルとの親善試合があり、同世代の仲間が「ネイマール(パリ・サンジェルマン)がすごかった」と話すのを耳にしたようだが、実際のところはやってみなければ分からない。今回の2連戦は久保にとって「自身の現在地」を測る絶好のチャンスなのだ。

「自分に足りないものをすごく感じられると思うし、それを感じに行きたい。自分がどれだけできるかを試したいというのもあります」と彼は11月3日のスタンダール・リエージュ戦後、並々ならぬ意欲を口にしたという。

 そのためにも、代表での定位置争いに勝たないといけない。10月のニュージーランド代表(豊田)、ハイチ代表(横浜)の2連戦に続いて本田圭佑(パチューカ)は招集見送りとなったが、同じ右FWを巡ってしのぎを削っている浅野拓磨がシュトゥットガルトで直近公式戦4戦スタメン出場と好調だ。3月のアジア最終予選・UAE代表(アルアイン)、タイ代表(埼玉)の2連戦でブレイクを果たし、一躍スターダムに駆け上がった久保も、8月31日のオーストラリア代表戦(埼玉)で先制弾を挙げた浅野の追い上げを受けているだけに、足踏み状態を続けるわけにはいかない。今こそベストの自分を取り戻す必要があるのだ。

レギュラー定着へ結果が求められる [写真]=Getty Images

「今はめちゃくちゃフィットしているわけじゃないけど、シーズンの始まりに比べて良くなっている感じはしています。このまま続けていくことが大事かなと。自分は常日頃から『1試合1ゴール』を目指していますけど、1試合2ゴールと固め取りもしたい。フィニッシュに至るボールタッチとかは本当に繊細な部分ですし、細かいところをもっと正確にできるようになれば、結果も変わってくるかなと思います」と生粋の点取り屋はディテールにこだわりながら、自身の野性を呼び覚ましていく考えだ。

 本田、岡崎慎司(レスター)、香川真司(ドルトムント)の『ビッグ3』が揃って選外となった今回の日本代表は絶対的な得点源が不在。1トップに君臨する大迫勇也(ケルン)もようやくクラブで浮上の兆しを見せ始めたが、代表での通算ゴール数は「7」とまだまだ物足りない。久保にしても「2」というのは少なすぎる。今の日本代表は日替わりヒーローが誕生し、それがチーム全体の活性化につながっている部分も少なからずあるが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとっては確実に得点を計算できる選手がほしいのも確かだろう。

 それが久保であれば申し分ない。3月の得点シーンを見れば、彼にそれだけの傑出したゴールセンスがあるのは誰もが認めるところ。それをブラジル、ベルギーを相手に遺憾なく発揮することができれば、彼自身のキャリアも大きく変わるかもしれない。しかも今回はある意味、彼にとってのホーム2連戦といってもいい状況だ。注目度はかつてないほど高まるはず。かねてから5大リーグへの移籍願望を口にし続けている生粋のゴールハンターが爆発するか否か……。11月の2連戦はハリルジャパンにとっても、久保自身にとっても、非常に大きな意味を持つ戦いになりそうだ。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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