2017.09.01

【コラム】サウジ戦控える日本代表…原口元気、再び定位置奪取へアピール誓う

原口元気
豪州戦は途中出場にとどまった原口元気 [写真]=Getty Images
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 2018 FIFAワールドカップ ロシア出場権獲得を決め、日本中が歓喜に沸いた8月31日のアジア最終予選天王山・オーストラリア代表戦(埼玉)から一夜明けた9月1日。日本代表は次なる戦いに向けて再出発を切った。埼玉県内でトレーニングに臨んだヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「ここまででチームの1章(2次予選)、2章(最終予選)が終わった。ここから新たな3章が始まる」と選手たちを鼓舞。前夜は家族の問題で公式会見を打ち切った指揮官だが、急な帰国や辞任はなく、来年6月の本大会に向けて新たな意欲と闘争心を強く押し出した。

 6月のシリア代表戦(東京)で左肩脱臼の重傷を負い、今季ドルトムントでまだ1度もスタメン出場していない香川真司9月5日のアジア最終予選最終節・サウジアラビア代表戦を回避してドイツに戻ることになったが、それ以外の26人は揃って次戦の地・ジェッダへ向かうことになった。予選突破した日本はケガの不安を抱え、この日のクールダウンも室内トレーニングだけにとどめた長谷部誠(フランクフルト)、大迫勇也(ケルン)を筆頭に負傷回復を急いだがゆえに万全でない選手もいる。そういう面々がすでに消化試合となったサウジアラビア戦に欠場するのは確実。それ以外でもフレッシュなメンバーが抜擢される可能性が少なくない。

 大量9人を招集したFW陣もオーストラリア戦は1トップに大迫、右FW浅野拓磨(シュツットガルト)、左FW乾貴士(エイバル)という3人が先発したが、まず大迫のところは岡崎慎司(レスター)の抜擢が有力。ただ、指揮官も武藤嘉紀(マインツ)や杉本健勇(セレッソ大阪)といった新たな顔ぶれを使いたい思いもあるはず。右サイドにしても久保裕也(ヘント)なのか、本田圭佑(パチューカ)なのか微妙な情勢だ。

 そんな中、左はオーストラリア戦で後半途中出場し、井手口陽介(ガンバ大阪)の2点目につながるボール奪取を見せた原口元気(ヘルタ・ベルリン)の先発復帰が濃厚だろう。原口はご存知の通り、昨年9月のアジア最終予選・タイ代表戦(バンコク)から4試合連続ゴール。日本代表新記録を樹立し、一気にエース格へと躍り出た。2017年に入ってからもUAE、タイ、イラクの3試合には出ていたが、ここへきて所属クラブでの去就問題が揺れに揺れ、一時は構想外のような扱いを受けた。

「ホントにここ数カ月、いろいろなストレスがあったり、悔しさがあったりして、全然晴らせていない。試合でベンチ外だったり、右サイドバックをやったり、いろいろ大変だったし、整理がしにくかったけど、練習だけは常にやってきた。(パル・ダルダイ)監督も2年半一緒にやっていて自分のことを分かっているし、調子がよければ使ってくれる。もう(移籍市場も)閉まったし、ヘルタで勝ち切るしかない。(左サイドの)サロモン(・カルー)のポジションを取りたい」と原口は覚悟を持って次への一歩を踏み出そうとしている。

 ヘルタでのゴタゴタによって、今季公式戦ではまだ先発ゼロ。日本代表左FWの座をエイバルで常にスタメンをキープしている乾に奪われたことも当然の判断だと言う。

原口元気

2点目の起点となるプレーもあった [写真]=Getty Images

「昨日(オーストラリア戦)のメンバー見ても分かるように、コンディションがいい選手が出るっていうのが(ハリルホジッチ)監督の考えなんで。納得はしてないけど、理解もリスペクトもしています。だけど今の自分は全然ポジティブにやれてますよ」と再び定位置奪回に乗り出す野心を覗かせている。

 次のサウジアラビア戦はそのための絶好のチャンス。相手は日本に勝てば自力でワールドカップ出場権を得られるとあって真剣味が違う。UAEとの試合も2日早い29日に消化していて、コンディションもいいはずだ。ホームの大歓声を背に、アグレッシブに攻め込んでくるのは間違いない。だからこそ、原口が持ち前の守備力と献身性を前面に押し出しつつ、スピーディーなカウンターからゴールを取りに行けるチャンスも増えるのではないだろうか。

「サウジ戦はもっと効率的にやることをトライしたい。常に100パーセントやっていい結果を求めるだけじゃなくて、うまく抜いたり、相手と駆け引きしたりと、ここまでの最終予選ではできなかった部分にチャレンジしていけたらいい」と本人も言う。

 確かに原口は常日頃から守備も攻撃も全力で行き過ぎて、オーバーモチベーションになってしまいがち。そこをヘルタでも問題視されていた時期があった。来年6月のロシアワールドカップで結果を出そうと思うなら、要所要所でメリハリをつけ、抜くところと力を入れるところの緩急も考えられるようなプレーヤーにならなければいけない。そういう術を身に着ければ、同じポジションのライバルである乾の特徴にも近づける。原口にとってのサウジアラビア戦は新たな自分へと変貌する好機になるはずだ。

文=元川悦子

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