磐田と30分×2本の練習試合を実施。冨安は1本目に出場し、無失点に抑えた [写真]=三浦彩乃
FIFA U-20ワールドカップ開幕を前に、選手たちは初戦が大事だと口を揃える。DF冨安健洋(アビスパ福岡)もその1人だ。
冨安はセンターバックからボランチをこなすオールラウンダー。高校3年生で出場した昨年のAFC U-19選手権ではDF中山雄太(柏レイソル)と鉄壁の守備を築き、初のアジア制覇に貢献した。所属クラブでもコンスタントに出場機会を重ね、守備陣では欠かせない存在となっている。
そして、いよいよ初めての世界舞台を迎えようとしている。冨安は先輩からあるアドバイスをもらったという。
「駒さん(駒野友一)に話をちょっと聞いた時に『初戦は大事だよ』と言われました。やっぱり経験者の言葉なので、初戦は特に気合を入れて臨みたい。でも、(プレーは)いつも通りにやりたいと思います」
駒野が出場した南アフリカ・ワールドカップで、日本は初戦のカメルーンを1-0で破った。第2戦のオランダ戦では負けたものの、第3戦でデンマークを撃破。決勝トーナメントへと駒を進めた。世界を経験した先輩の「初戦で勝てば、次に負けたとしても可能性はある。逆に初戦で負けてしまうとメンタル的にも追い込まれる」という言葉には重みがある。
南アフリカとの初戦まで10日を切ったが、12日に行われたジュビロ磐田との練習試合では細かい部分で課題が残った。「ビルドアップでもっと縦パスだったり、相手を動かしながらクサビのボールを入れられれば良かった」と語るように、最終ラインから前線にロングボールを放り込む場面が多く、パススピードやテンポをもっと上げる必要があると話す。
「自分のチームで試合に出る選手が多くなって、それぞれのやり方が体に染みついている部分がある。そこを代表チームに合わせていかないといけないので、まだまだ合わせていかないといけない部分があると感じました」
普段はどこかほんわかとした雰囲気を漂わせる冨安だが、試合は「緊張していない時のほうがプレーは良くない。ちょっと緊張しているくらいがいい」という。世界に挑む18歳が、静かに闘志を燃やしている。
取材・文=高尾太恵子
By 高尾太恵子
サッカーキング編集部