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【徹底分析】UAEとの雪辱戦へ…司令塔・オマルに気を取られすぎるな!

2017.03.23

9月の日本戦でも攻撃の起点となったMFオマル [写真]=Getty Images

 2018 FIFAワールドカップ ロシア アジア最終予選の初戦で日本を相手にアウェイの勝利をおさめたが、ホームでオーストラリアに0-1で屈すると、サウジアラビアにも敗れるなど前半戦で4位に転落。首位と勝ち点1差に付けてはいるが、マハディ・アリ・ハッサン監督に対する厳しい声も強まっているようで、試合会場となるハッツァ・ビン・ゼイド・スタジアムでは報道陣をシャットアウトしての練習が行われている。ある意味でアウェイの日本より厳しいプレッシャーの中での試合となるかもしれない。

 UAE出身ながらイングランドに指導者留学した経験もあるアリ監督はモダンなパスサッカーを植え付けながら、天才的な司令塔のMFオマル・アブドゥラフマンには攻撃面での自由を与え、チームに組み込んでいる。しかし、日本をPK戦の末に破ったアジアカップの準々決勝を前に自分たちの攻撃的なスタイルを封印し、勝利のために守備から入り、カウンターを主体に戦うことを指示したと試合後の会見で明かした。

 そこから1年半たった最終予選の初戦も主力に大きな変化は無い中で、同じような戦い方で2-1と勝利した。今回も堅実なディフェンスからオマルを起点に、前回の試合で直接FKなど2得点のFWアハメド・ハリルと快足のFWアリ・マハメド・マブフートが背後を狙う戦い方をしてくるはずだが、もう少し前からのプレッシャーを強めてくるかもしれない。

 中盤は攻守を活性させる役割のMFタリク・アフメドが出場停止でおらず、アジアカップでマブフートのゴールをアシストしたMFアメル・アブドゥラフマンもケガで欠場の見込み。負傷で離脱したと伝えられるMFマジェド・ハッサンに加え、攻守の要となるボランチのポジションが火の車になっている。中盤のオーガニゼーションに優れるMFハミス・イスマイールは健在だが、日本にとっては1つ突き所になりそうだ。

 攻撃の起点となるオマルは自分の庭での代表戦となり、やる気に満ちあふれているはず。4-4-2の右サイドハーフが基本ポジションだが、広域に動きながら左足の正確なキックを発揮してくる。左サイドバックと同じぐらい左のボランチが彼と顔を合わせる機会が多くなるだろう。キープ力が高く、意外性のあるタイミングで、一瞬フリーになった味方に決定的なパスを通してくる。マンマークを付けるような形を取ると前からプレッシャーをかける日本の守備のコンセプトが崩れてしまうが、意識としては常に監視を共有していくことが重要だ。

 ただし、司令塔オマルに気を取られすぎると左サイドの兄ムハンマド・アブドゥラフマンが効果的に仕掛けてくる。過去の2度の対戦でもオマルに苦しめられる中で、結局は周囲の選手にやられており、特に斜め前のマブフートとのラインは危険だ。右サイドバックで先発が予想されるDF酒井宏樹がボランチやセンターバックとうまく連係しながらムハンマドに自由を許さず、局面の“デュエル”も制することが求められる。

 日本戦でキャプテンマークを巻いていたFWのハリルの出場が微妙との情報もあり、そうなると昨年11月のイラク戦でゴールを決めたベテランのイスマイル・マタルあたりが代役候補になるが、こちらも前日会見後に出場が微妙との情報が入ってきた。マブフートを1トップに配置し、2列目からの飛び出しを得意とするMFハッサン・イブラヒムをトップ下に入れてくるか。もちろんオマルを4-2-3-1のトップ下に配置するオプションもあるが、ボールを持つ時間が短くなることが予想される中で、チャンスの起点となる選手を常にプレッシャーのあるポジションに置くかどうか。蓋を開けてみないと分からない部分もあり、MF長谷部誠キャプテンが離脱した状況でも、事前の情報から早くチームで整理していく必要がある。

 日本が主導権を握る形になれば、最も怖いのは中途半端なボールの失い方をしたところからのカウンターだ。前回の対戦では2つの失点がボランチのミスパスからカウンターを受ける形で生まれており、アウェイの地ではより注意して試合を進めていく必要がある。MF山口蛍とMF今野泰幸の組み合わせになるのか、MF高萩洋次郎が起用されるか不明だが、ボランチのところにかかってくるプレッシャーをうまくいなして、高い位置に起点を作る形を出していくことが、効果的なカウンターを出させないことにもなる。

文=河治良幸

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