手応えを感じた一方で、ノーゴールで終わったことについては「ちょっと悔しかった」と語った岩崎 [写真]=兼子愼一郎
ゴールという目に見える結果はなかった。それでも岩崎悠人は手応えを感じていた。
「1カ月くらいやってきた成果が出たんじゃないかな」
意識したのは、選手と選手の間でボールを受けて前を向くプレーだという。今季から京都サンガF.C.に加入した岩崎は、「背後を狙うだけではなく、ギャップで受けてチャンスメイクするプレーもやっていかなくてはいけない」と練習に取り組んできた。
8日に行われたFC東京との練習試合で、U-20日本代表候補に招集された岩崎は2トップの一角に入った。中盤まで下がってボールを受けることが多く、なかなかゴール前に抜け出すことができないでいたが、常に相手チームのギャップを探していた。すると15分、狭いスペースに体を入れた岩崎は、ボールを受けるとすぐさま前を向き、裏に抜け出したMF森島司(サンフレッチェ広島)にスルーパス。結果的に森島が飛び出してきた相手GKのファウルを誘い、先制点に結びつくPKを獲得した。
「これは5月に向けて継続して取り組みたいところ。何でもできる選手になりたいんで。とにかく前線での選択肢やバリエーションを増やしていきたいです」
シュート技術だけではなく、前線での動きに磨きがかかれば、5月の2017 FIFA U-20ワールドカップを戦うU-20日本代表にとって間違いなく武器になる。岩崎の言葉に、今後の成長への期待が膨らんだ。
そんな話を聞くなかで印象的だったのは、飛び級招集で注目を集める久保建英(FC東京U-18)について話題が及んだ時、“素直に”褒めている姿だ。後半から出場した久保のプレーを見ていた岩崎は、「いや、すごいですよ。めちゃくちゃすごい! 僕はできないですもん(笑)。見ていて楽しかった」と笑顔を浮かべながら無邪気に話す。もちろん、15歳の高い技術力をただ呆然と眺めていただけではない。「多分、(久保がボールを)出してくれる側になる。ボールの蹴り方をよく見て、タイミングをつかんで、いいパスをもらえるような動きができればいい」と、2トップを組んだ時のイメージを頭のなかでしっかりと描いていた。
U-20W杯のメンバー入りをめぐる競争はすでに始まっている。「まずは試合に出ることが大事。チームでスタメンを取れるようにやっていきたい」。高校ナンバーワンストライカーとして名を馳せた岩崎が、新たに踏み入れたプロの世界でさらなる成長を目指す。
取材・文=高尾太恵子