今年1月以来となる代表復帰。手倉森監督からは「久しぶり」と声を掛けられたという
“最初で最後”のチャンスに懸ける思いは強い。DF室屋成(FC東京)が、今年1月のリオデジャネイロ・オリンピック アジア最終予選以来となる代表復帰を果たした。
守備の要としてリオ五輪の出場権獲得に大きく貢献した室屋は、2月にFC東京でのトレーニング中に左足ジョーンズ(第5中足骨基部)を骨折。手術を受け、全治約3カ月と診断された。本大会へ向けて強化を進めるU-23日本代表を見て、焦りがなかったと言えば嘘になる。「入院中はリハビリもできなかったので、少し焦るというか。不安になる気持ちはありました」と素直な思いを口にした。
ケガをした直後は落ち込んだが、リオ五輪への思いが消えることはなかった。「医者も間に合うと言ってくれていた。とにかく、オリンピックを目標にやってきた」と地道にリハビリを続けた。
実戦感覚も戻ってきた。長いリハビリ生活を経て、6月12日の藤枝MYFC戦で復帰した室屋は、J3で3試合連続出場。「1試合毎に体や(プレーの)質が良くなってきている」と徐々に出場時間を伸ばすと、26日のグルージャ盛岡戦では67分間プレーし、「試合勘は問題なかった」と手応えを感じた様子だった。
「まだ、すぐに息が切れてしまうところはあるんですけど、それは仕方のないこと。徐々に良くなってきているので、早くケガをする前のコンディションに戻したい」
29日に行われるU-23南アフリカ代表との試合は、リオ五輪前の国内ラストマッチ。本大会のメンバー入りへ生き残りを懸けた大事な一戦となる。アジア最終予選ではチームの主軸だった室屋も、今では当落線上に立っている。「(五輪代表発表前の)ギリギリのところで呼んでもらえた。最後のチャンスに間に合うことができたので、あとはしっかりと試合でアピールするだけ」。そう言って、表情を引き締めた。
すでにDF塩谷司(広島)とDF藤春廣輝(ガンバ大阪)、FW興梠慎三(浦和)がオーバーエイジ枠に内定している。リオ行きの切符を手にするのは、残り15人。室屋は「本当に最初で最後のチャンス。絶対にここでモノにしてやろうという気持ちが強い」と闘志を燃やした。