2015.10.08

シリア戦勝利のカギは左FW…香川ら主力組と相性の良い“清武”という選択肢

清武弘嗣
2012年11月にオーマンで日本代表初ゴールを決めたMF清武弘嗣 [写真]=Getty Images
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 2018年ロシア・ワールドカップへの重要なターニングポイントとなる2次予選の天王山・シリア戦(マスカット)が8日に迫ってきた。5日に中立地・オマーン入りした日本代表は、最初の2日間は2012年11月に行われた2014年ブラジル・ワールドカップのアジア最終予選・オマーン戦で使われたスルタン・カブース・スポーツコンプレックスのサブグランドで練習していたが、決戦前日は試合会場となるシーブ・スタジアムで最終調整を行った。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は少しでも暑さの厳しい時間にトレーニングした方がいいと思ったのか、予定の17時より20分早く練習を開始。冒頭15分が過ぎたところで報道陣を締め出して1時間程度、シリア対策や攻守両面のセットプレーを確認した。気温35度前後の過酷な条件下で、日本代表はいかに効率的な試合運びを見せるのか。そこが最初のポイントになってくる。

 指揮官が前日会見で「シリアには3~4人のいい選手、得点力の高い選手もいる。我々と対戦する時にはより攻撃に力を置いてくるのではないか」と語ったように、シリアは強力な個を生かして攻めてくる可能性が高い。それで逆にシリア陣内が空き、岡崎慎司(レスター)ら前線が裏に飛び出したり、香川真司(ドルトムント)や本田圭佑(ミラン)がゴール前へ出ていく回数も増えそうだ。

 ただ、相手が引いた戦いを仕掛けてくることも十分あり得る。その場合、日本は臨機応変に戦い方を変化させなければならない。岡崎は「相手が引いていたとしても、自分たちが細かいところで1タッチ2タッチで速い攻撃をすれば崩せる。逆に前から来れば、それをはがせる武器を持った選手もいっぱいいる。気持ちで相手を上回れば勝てる」と改めて自信を口にした。長友佑都(インテル)も「今回の試合はしっかりメリハリをつけること。そこが一番大事になる」と強調。日本のペースで試合を運ぶ重要性を口にした。

 まさに拮抗したギリギリの勝負になりそうなシリア戦。日本のスタメンは本田、岡崎ら主力中心になるのは間違いないが、気になるのは左FWのポジション。この位置はブラジル・ワールドカップの後、本田が右FW、香川がトップ下に移動して以来、流動的な状況が続いている。今回の2次予選開始後も宇佐美貴史(ガンバ大阪)、武藤嘉紀(マインツ)、原口元気(ヘルタ・ベルリン)が次々と先発。6月のシンガポール戦(埼玉)に出た宇佐美はゴールへの意識が強すぎるあまり、香川や本田と重なってスペースを消していた。9月のカンボジア戦(埼玉)に出場した武藤も前へ前へ出過ぎる傾向が顕著だった。アフガニスタン戦(テヘラン)に出た原口は周囲とうまく連携し、2得点に絡む働きを見せ、右サイドバックまでこなすなどユーティリティな一面もアピールしたが、毎試合安定感ある仕事ができるかどうかはまだ未知数。誰を出すにしても、ハリルホジッチ監督にしてみれば「帯に短したすきに長し」という印象なのだ。

 そこで浮上するのが、6月の代表合宿中に負傷離脱した清武弘嗣(ハノーファー)。彼は香川とトップ下を争うと目されているが、実は2列目の全ポジションをスムーズにこなせる万能選手。代表で本田ら主力組とプレーした回数は一番多く、誰にでも合わせられるのが強み。香川とポジションチェンジをしながら真ん中からゴールを狙うこともできる。

「自分が左に入ったら? ゴール前で仕留めれる選手が多いですし、圭佑君だったり、真司君だったり、そういう人にボールはなるべく多く触らせた方が代表はすごくリズムがよくなる。自分はそれをサポートしたい。ただ、ゴールを狙う仕事にはこだわってやっていきたいし、結果を求められればいいかなと思います」と自身の役割が明確に整理されている様子だった。オマーンは2012年11月のオマーン代表戦で国際Aマッチ初ゴールを飾ったゲンのいい場所でもある。本人も意欲が高まることだろう。

 清武が入ることで、ハリルホジッチ監督が強調しているリスタートの部分も向上できる。FKの名手である清武がいれば、直接FK弾はもちろんのこと、ピンポイントに味方に合わせるボールを蹴ることができる。本田に集中するマークを分散させ、重圧を和らげることも可能になるはずだ。そういうメリットを含め、今回は清武という選択肢を取るのも一案ではないか。

 若い南野拓実(ザルツブルク)も左をこなせる人材で、誰を出してもゲームの変化をつけられる。逆に言えば、起用法を誤れば、日本のサッカーはノッキングを起こすかもしれない。左FWは諸刃の剣になりかねないだけに、慎重な判断が求められる。

「ワールドカップに負けてから、もう一度ワールドカップに行きたいという気持ちを今も持っている。その気持ちを明日出して、しっかり勝ちたいと思います」と岡崎も語気を強めたが、日本はこんなところで負けているわけにはいかない。シリアを威勢よく叩いて、未来への力強い一歩を踏み出すことが肝要だ。

文=元川悦子

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