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1ゴール1アシストの本田、6得点大勝にも満足せず「内容的には60点」

2015.09.09

アフガニスタン戦で2試合連続ゴールを決めた本田圭佑 [写真]=Getty Images

文=元川悦子

 気温30度超の暑さ、湿度20パーセント程度の乾燥、標高1200mの高地、そしてアザディ・スタジアムの劣悪なピッチ状態。まさに「四重苦」ともいえる中立地・テヘランの環境下で、日本は8日の2018年ロシア・ワールドカップ アジア2次予選・アフガニスタン戦に勝利しなければならなかった。試合開始前からアフガニスタン・サポーターの熱狂的応援も繰り広げられ、「場所が場所(中立地)なんで、スタジアムが満員にならなかったけど、人数の割にはすごい声援だと感じた」と国際Aマッチ75試合目を数える本田圭佑ミラン)も迫力を実感したという。「こっちはピッチを濡らしてほしいと要望したけど、濡らさないという情報が入ってきた。ボールが滑らないことも分かっていたんで、非常に難しい試合になると思っていた」と彼は警戒心を募らせた。

 攻めあぐねてゴールを奪えない状態が続くと、3日のカンボジア戦(埼玉)の二の舞になってしまう。その嫌なムードを一蹴したのが香川真司(ドルトムント)の開始10分の豪快なミドルシュートだった。

「大量得点を狙う場合はやっぱり先制点が重要。できるだけ早く決めることができれば、その可能性は高まるわけで、真司は非常に重要な仕事をしてくれましたね。チーム全体が落ち着きました」と本田も素直に感謝した。

 そこから日本は一方的に押し込み、前半のうちに森重真人FC東京)が追加点をゲット。本田はゴールギリギリのところで粘って折り返し、森重のゴールをアシストすることに成功した。2-0で折り返した後半も開始早々の香川の3点目を皮切りに、岡崎慎司(レスター)が2ゴールを挙げて5-0に。本田は強引な突破から岡崎の4点目もお膳立てするが、自らのゴールはなかなか生まれない。

「大量得点の試合だと、自分だけが取っていないのはかなりつらい。何とかしたい」と本人は得点への渇望が高まって仕方なかったという。

 そんな彼に待望の瞬間が訪れる。それが73分の6点目のシーンだ。左に開いた香川から絶妙のタイミングでパスを受けた途中出場の宇佐美貴史ガンバ大阪)がペナルティエリア左側をえぐって折り返したところに走りこんだのが本田だった。

「貴史がタッチした瞬間に抜き去るのが分かったんで、自分がどういうポジションを取るかと。いつもならもう少し後ろのマイナス気味のところに行くんですけど、あの瞬間はオカ(岡崎)が少し遅れて僕より後ろにいた。それでいつもオカが狙ってるような一番ニアのところを間に合うなと思って飛び込みました。貴史のボールがすごくよかったんで、感謝していますね。点取れるとホッとします」とダメ押し点を奪った本田は、心からの安堵感をのぞかせた。

 2014年ブラジル・ワールドカップでの惨敗以降、決定力不足に悩み続けてきた日本代表にとって、今回の大量6ゴールは、例え相手がアフガニスタンでも意味のあることだ。悪循環を払拭する重要な転機になるかもしれない。けれども本田は「今日の試合は60点くらいですかね」とやや辛い評価を下した。「内容的には決して満足いくものではなかった」と彼自身、感じているからだ。

「内容は前回(カンボジア戦)の方がよかった。今回はボールの取られ方が悪い時が多かったと思う。それはピッチのせいでもあるけど、ホントにうまい選手はこの環境でもしっかり判断してダイレクトではたいたり、相手の嫌がるプレーをしたりする。点を取ったことで何とかノルマ達成ですね」と本人も自己批判を忘れなかった。

 確かにアフガニスタン戦の本田はFK、CKからゴールに直結する仕事を見せられなかったし、香川が下がった76分以降、久しぶりに入ったトップ下でも目立った存在感は示せなかった。40分にゴール前でフリーになった場面でも相手をかわそうとしてチャンスをフイにするなど、さらに1~2点取れる好機をモノにしきれなかった、彼にしてみれば、突き詰めなければならない課題はいくつもあるのだ。そうやってディテールを1つ1つ向上させていかなければ、3度目の世界舞台となるロシアではブラジルの屈辱を晴らせない。それが分かっているから、本田は絶対に満足しないのだろう。

 日本代表は2次予選・3戦を終えて勝ち点7の2位。トップを走るシリアは3連勝で同9を稼いでいる。次の10月8日の直接対決(マスカット)は今後の予選の行く末を左右する大一番だ。それまでの1カ月間、ミランでいかにパフォーマンスを高めていくべきか。本人の意識は早くもそこに切り替わっている。「まずシリア戦を語るよりは、所属チームに戻ってどういったことをやるか。自分自身もレギュラー争いがありますし、帰ってすぐ(ミラノ)ダービーなんで、いい準備をしたいと思います」と彼は語気を強めた。

 ミランでのジャコモ・ボナヴェントゥーラやスソらとのトップ下争いに勝って、ゴールという結果を残し、10月を迎える…。それが本田自身にとっても、日本代表にとっても理想的な展開だ。そうなるように、今回の9月代表2連戦で得たものをプラスの方向へ生かしてほしいものだ。

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