2015.07.02

攻撃面で高い万能性を見せつけた野津田…先制点は佐藤寿人のアドバイスが呼び水に

野津田岳人
コスタリカ戦に先発出場した野津田(中央)[写真]=兼子愼一郎
学生時代から全国のスタジアムへ通い続けてきた経験と人脈を生かして、Jリーグを取り巻くピッチ内外のネタを探り続ける。

文=青山知雄

 U-22日本代表は1日に行われた国際親善試合でU−22コスタリカ代表に2-0と快勝。ユアテックスタジアム仙台に1万人以上の観衆を集めたゲームで、来年1月のリオデジャネイロ・オリンピック アジア最終予選に向けて確かな手応えを得た。

 先制ゴールを決めたのは野津田岳人(サンフレッチェ広島)。36分、左サイドで縦へ仕掛けた亀川諒史(アビスパ福岡)が「青いユニフォームがマイナスの角度で狙っているのが見えた」と鋭角に低いクロスを上げ、ここに走り込んだ野津田が利き足とは逆の右足で豪快にジャンピングボレーを叩き込んだ。

 もっとも、ゴールを決めた本人は「正直、うまく当たってなかったんですよ。ダブルタッチみたいになってツルンと当たったんで、自分でも驚きましたし、本当に入って良かった」と苦笑を浮かべていたが、「決めたいという気持ちが強かったので、そういうところで押し込めたのかなと思いますし、ツイてたところはありますね」と素直にゴールを喜んでいた。

 実は試合前、野津田の携帯電話に佐藤寿人からLINEで「貪欲に狙っていけ」とメッセージが入っていたという。これを受けて「狙っていきます!」と返信し、自身の先制点は「寿人さんからアドバイスをもらって、貪欲に狙っていったから、あそこに入っていけたという部分はあると思います」と先輩の助言が自らの積極性を後押ししたことも明かした。

 野津田にとって今回のコスタリカ戦は、ゴールという結果だけでなく、ピッチ内や激化するポジション争いでも十分な存在感を見せた一戦となった。

 手倉森誠監督は前日会見でシステム、選手の組み合わせなど「あらゆるテストをしたい」と話していたとおり、後半は選手交代を交えながらフォーメーションを変更し、スタメン組のポジションや役割を矢継ぎ早に入れ替えていく。その中で野津田は指揮官の狙いにしっかりと応えたと言っていい。

 キックオフ時のオリジナルポジションは4-2-3-1の左MF。54分にオナイウ阿道(ジェフユナイテッド千葉)が投入されたところで右MFに移ると、矢島慎也(ファジアーノ岡山)が投入された61分からはトップ下に入り、70分に金森健志(福岡)と交代するまでプレー。ゴールシーンはもちろん、縦への突破やスルーパスなどでも積極性を見せただけでなく、高精度の左足が評価されて左右のCKを含むプレースキッカーを任されるなど、攻撃のメインキャストとして活躍した。

 今シーズンは途中出場を中心にJ1で8試合3得点という結果を残している野津田。所属の広島は3-6-1という特殊なシステムを採用しているが、「普段の練習でも相手チームを想定した中でサイドもやっていて、U−22日本代表に来た時のイメージはできているので、特にやりづらさはなかった」と日々の積み上げが実になっていることを実感している様子。コスタリカ戦で2列目の複数ポジションを託されたことに関しては、「(攻撃的なポジションが)どこでもできることを証明したかった」と自らの持ち味を認識しており、手倉森監督にとっては展開に応じた選手起用やポジション変更で計算できる存在となりそうだ。

 ただし、手倉森ジャパンにおける2列目のポジション争いは群雄割拠の最激戦区だ。

 今回の合宿に呼ばれたメンバーだけでも、チーム立ち上げから主力として重宝されてきた中島翔哉(FC東京)、積極的な仕掛けで一気に頭角を現した前田直輝(松本山雅FC)、コスタリカ相手に途中交代で豪快なゴールを決めた金森、卓越したスピードでサイドを駆ける小屋松知哉(名古屋グランパス)、岡山で実戦経験を積む万能型の矢島が居並び、ここに南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)が加わる見込み。浦和レッズで不動のレギュラーとなった関根貴大(浦和レッズ)が名乗りを上げてくる可能性も十分にあり、広島でチームメートの浅野拓磨がアタッカーとして起用されることも想定される。

 もちろん野津田自身、今回の結果と現状に甘えているわけではない。「中心選手になるためにはもっと結果が必要だし、攻撃の起点になることも増さなければいけない。それを継続することが重要だし、まずは広島で活躍して自分のレベルを上げることが一番。(U-22日本代表に)新しいメンバーが入ったことに関係なく常に危機感は持っています。この代表チームに定位置はないので、そういう危機感の中で一回一回の活動で100パーセントの力を出し切ることを常に意識しています。その上でもっと周囲との連係を深めていきたい」と今後を見据える。

 最終予選まで約半年。メンバーが集まって活動できる機会は決して多くはない。U-22日本代表の一員として機能することを考えながら、広島で個の力を伸ばしていくことが必要になる。同年代のライバルとのサバイバル競争を勝ち抜いた先には、アジアの強豪が待っている。その壁を打ち破り、リオデジャネイロの地を踏むために。若きレフティモンスターがさらなる進化を誓う。

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