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「日本の生命線」は更なる進化なるか…改めて香川を活かす重要性を強調した長友

2014.10.10

前日練習を行ったDF長友佑都 [写真]=嶋田健一

 ハビエル・アギーレ監督率いる新生・日本代表の初勝利がかかる重要なジャマイカ戦(新潟)が10日に行われる。6日から新潟市内で調整を続けてきた彼らは9日、試合会場となるデンカビッグスワンスタジアムで19時から約1時間半の公式練習にのぞんだが、アップを兼ねた鬼ごっこをやっていた冒頭15分だけがメディア公開。それ以降は非公開で4-3-3のフォーメーションとセットプレーの確認が行われた模様だ。

 今回の最大の注目点は、やはりエースナンバー10・香川真司(ドルトムント)の左インサイドハーフでのパフォーマンス。9月シリーズではこのポジションに田中順也(スポルティング・リスボン)と柴崎岳(鹿島)が入り、柴崎がベネズエラ戦(横浜)で1得点を挙げるなど、2人とも持ち味をある程度、発揮していた。香川が定位置を確保し、チームの絶対的中心になるためには、彼ら以上の強烈なインパクトを残さなければいけない。本人も「どんなポジションでも自分のクオリティを示していけるチャンス」と新たなポジションに積極果敢にチャレンジしていく意気込みを新たにした。

 その香川をサポートしようという機運がチーム全体に芽生えているのも確か。アンカーでの先発が有力視される細貝萌(ヘルタ・ベルリン)は「数多くボールに触りながらリズムを作っていくのが真司だと思うし、できるかぎり高い位置でプレーできるようにやれたらいい」と攻撃面の援護射撃を精力的にしていくつもりだ。長友佑都(インテル)に至っては「真司とは4年以上、一緒にやってきて、彼の好きなプレーは分かっている。あくまで僕は真司を気持ちよくプレーさせる。それが日本代表のためには一番大事なこと。彼が消えるとに日本代表としての特徴が出ない」と語気を強めるほど、香川との関係を重視している。

 長友にしてみれば、ザックジャパン4年間は彼と左サイドのタテ関係を形成し、「日本の生命線」とまで称されるほどの脅威を世界に与えてきた。しかし、2014年ブラジル・ワールドカップ本番を迎えた時、このコンビは対戦相手に徹底的に分析され、彼等はお互いのよさを全くと言っていいほど出し切れなかった。その反省は長友の心に深く刻まれている。

 アギーレジャパンの2人は単なるタテ関係ではなく、左サイドバック+左サイドハーフに加えて、前線に陣取る左アタッカーも絡みながらのトライアングルへと発展していく可能性が高い。前線に陣取るのが武藤嘉紀FC東京)なのか、柿谷曜一朗(バーゼル)なのかは分からないが、新たな選手を交えながらこれまでになかったバリエーションを構築していくことが、成功への条件になってくるだろう。

 わずか1試合で左サイドの連携面を完全に機能させるのは難しいが、代表チームは限られた時間の中で成長していかなければならない。それは代表経験豊富な香川も長友もよく分かっているはず。とにかくジャマイカ戦で1月のアジアカップ(オーストラリア)への前向きな一歩を示してほしいものだ。

文=元川悦子

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