2014.06.11

これほど潔い日本代表が、いまだかつて存在したであろうか

「攻撃が好きな選手が多い」と語る長谷部(中央)【写真】=宇都宮徹壱

 アメリカ・タンパ合宿中に行われた親善試合2試合(6月2日コスタリカ戦、6日ザンビア戦)を終えての日本代表について、ざっくりと述べるならこのようになる。

「よし、確実に点が取れることはわかった」

「でも、やっぱり守備に不安を残すよね」

 まず「確実に点が取れる」ことについて。この2試合の得点者は、香川と本田が2得点、遠藤と柿谷と大久保が1得点。遠藤を除くと全員がFW、しかも日本の得点源である岡崎は脇役に回っているという贅沢さである。加えて、アシストもまた見事なものが目立った。森重の右サイドの巧みなターンからのクロス(ザンビア戦の3点目。本田が滑りこんでゴール)、青山の研ぎ澄まされた縦へのロングパス(ザンビア戦の4点目。大久保が右足でトラップして左足でゴール)など、普段Jリーグで活躍している選手たちが、欧州組が主流となっている代表戦でも躍動していたのは、見ていてうれしい限りである。

 次に「守備に不安を残す」ことについて。これについては、これまでたびたび目にしてきた光景が繰り返されたという意味で、今さら多くを語る必要もないだろう。相手陣内で攻め続けての一発カウンター、セットプレーでの対応のまずさ、そして集中力の一瞬の欠如や連携ミスや寄せの甘さ、などなど。コスタリカ戦の失点について、コンディション不良のためスタンドで観戦していたキャプテンの長谷部は、苦笑まじりにこう語っている。「守備については誰がというより、チーム全体で考えなければならないこと。でもウチは攻撃が好きな選手が多いから」。この「攻撃が好きな選手が多い」というのは、今の日本代表の長所であり、短所でもある。

 今の日本代表の現状分析は、非常にわかりやすい。すなわち、期待できる部分は「確実に点が取れる」ことであり、心配な部分は「守備に不安を残す」こと。タンパでの2試合は、できることとできないことが、はっきり示されたとも言える。一方、合宿期間中のトレーニングに関しては、酒井高徳や長谷部の別メニューが続いたものの、総じて選手のコンディションは徐々に高まっている印象を受けた。日中は40度を超えるタンパの環境は、明らかにレシフェ(コートジボワール戦の会場)やナタル(ギリシャ戦の会場)を想定したもので、今回のタンパ合宿は極めて高い効果が望めるものとなったといえよう。

 その上で、過去のワールドカップに出場した4つの日本代表に比べると、今回の日本代表は良くも悪くもユニークであると感じる。すなわち「確実に点が取れる」という長所を伸ばし、「守備に不安を残す」という短所は抜本的な改善がなされないまま本大会を迎えることなったからだ。ものすごく端的に言えば、先制点を奪われることはもはや“仕様”であり、それを補ってあまりある攻撃力を持っているのが、ザッケローニ率いる日本代表なのである。これほど潔い日本代表が、いまだかつて存在したであろうか!

 本田や長友は「優勝」を口にしているが、おそらく7試合目を迎える前に、どこかで日本代表は敗戦を受け入れざるを得ないだろう。問題は、その敗れっぷりが清々しいか否かである。われらが代表には、もちろん勝ち進んでほしい。だがどの段階であれ、いざ敗れたときは「悔しいなあ」「でも、楽しかったよね」と思わせるような、あっぱれな敗れっぷりであってほしいと個人的には思っている。今回の日本代表は、その点においても大いに期待できるのではないか。

文=宇都宮徹壱

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