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日本のW杯準備は新たなステージに、強豪と試合を組まない調整法

2014.06.11

ザンビア戦で2失点に絡んだ山口【写真】=Getty Images

 日本時間15日、コートジボワールとのワールドカップ初戦を迎えるザックジャパン。今回のワールドカップ直前合宿は、強豪国とのマッチメークよりも、コンディショニングを重視したスケジュールを作成した。これは日本代表の歴史として、斬新な一歩を踏み出したと言っても過言ではない。

 なぜなら、かつては世界のトップレベルとの実戦経験をいかに積むか。そればかりが問題になっていたからだ。元日本代表監督のオシムは「地理的に遠いのはもちろんだが、強いチームとコンタクトするのが難しい。この夏、欧州の強豪チームがいくつか来日したが、彼らのプレーは疲れていたり、バケーション気分だったりして、欧州サッカーの現在を伝えるには程遠い」と語ったこともある。しかし現在は、香川真司、本田圭佑、長友佑都といった欧州ビッグクラブに所属する選手を筆頭に、ブンデスリーガでプレーする選手も増えた。海外組だけでスタメンを組めるほど、日本人選手の欧州進出が進んだことで、わざわざ無理をしてまで強豪と試合を組まない調整法も、選択肢の一つに入るようになったと言える。

 このやり方が日本に合っているのかどうかは、フタを開けてみなければわからないが、アメリカに入って1週間後のコスタリカ戦の時点でも、未だ時差ボケに苦しむ選手は少なくなかった。早めにブラジル時間に体内時計を合わせ、コンディショニングを始めたのは良い選択と言えるのではないだろうか。

 また、強豪国ではないとはいえ、コスタリカやザンビアとの強化試合は、日本にとって良い勉強になった。ザックジャパンが掲げるコンセプトは、前線から積極的にプレスをかけて主導権を握るサッカーだが、ボールの取りどころが定まらなければプレスはハマらない。そしてズルズルと後退させられれば、失点の確率はグンと上がる。どちらの試合も先制点を奪われたのは、そのような流れの悪い時間帯だった。

 とはいえ、さすがにコートジボワール戦は、ザンビア戦ほどプレスがハマらない事態には陥らないだろう。特別な対策をせずに臨んだザンビア戦とは違い、コートジボワール戦では、ザッケローニ監督が相手チームを徹底的に研究するはず。センターバックのゾコラとバンバ(コロ・トゥーレ)は、全くタイプの違う選手であり、足元のスキルという面では、本職がボランチのゾコラのほうが優れている。前線からのファーストディフェンスは、ゾコラ側から仕掛け、バンバ側に追い詰めていく。このようなプレッシングは必ず整理してくるだろう。日本がうまくハメている時間帯は、山口螢のボール奪取がどんどん増えるはずだ。

 しかし、逆に不安となるのは、コートジボワールがプレスを避け、ロングボールを蹴るようになってからだ。セカンドボールを完璧に拾い続けることはできないし、ロングボールが増えるとオープンな展開になる時間帯も予想される。そのような中で転がり込んだわずかなチャンスを、コートジボワールは決定機に結びつける力を持っている。

 うまくいかないときにどうするか。コスタリカ戦とザンビア戦では、やりたいサッカーができないとき、その時間帯を水際で耐えることができず、先制点や追加点を与えた。この点はずっと変わらず、大きな不安が残る。許せる失点は1点まで。2点を奪われると厳しい。

 典型的なのは、ザンビア戦で2失点に絡んだ山口のプレーだ。前半29分、ショートコーナーから変化をつけたボールは、山口がマークしていたシンカラにワンタッチで決められた。このときマークを離したことも問題だが、シュートに対して右アウトサイドを出し、背中を向ける格好でシュートブロックに行った場面。本来なら左インサイドを出し、体の正面でブロックに行かなければならない。この守備はNGだ。さらに後半44分、ムソンダのカットインからミドルシュートを決められた場面でも、山口は右アウトサイドを出した。結果としてシュートは、山口の足に当たってゴールに吸い込まれたが、ブロックに際して体の正面を向けず、背中を向けた逃げ腰のブロックでは、このようなイレギュラーが起こりやすくなる。

 元鹿島のジーコは、日本の選手がこのようなシーンで、遠くまで届く左足ではなく、右足を反射的に出してしまうことについて、よく怒っていたそうだ。山口の右足はクセとして出てしまっているのか、それとも親善試合ということでケガもしたくないし、何らかの自制が働いてそうなっているのか。

 いずれにせよ、このような緩慢な守備をしている限り、悪い時間帯を水際でしのぐことはできない。ワールドカップ本番で、どこまで選手たちがスイッチを入れられるか。

 思い返せば、2010年の岡田ジャパンは決してお洒落なチームではなかったが、本番の試合に対する集中力は並外れて高いものがあった。その域に到達できるか否かは、実力が拮抗した対戦の中で、最終的に試合の勝敗を分けることになる。

文=清水英斗

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