2014.03.06

マンUでの苦境も「すべては自分次第」…NZ戦3得点に絡んだ香川真司の強い決意

香川真司
[写真]=兼子 愼一郎

「僕は試合でやるだけなんで、そこで結果を出すか出さないか。自分が悪ければ『試合に出てないから』ってことになるし、自分がピッチの上で結果を残せれば『そこまで心配しなくても問題ない』って証明できる。全ては自分次第なんで、自分を強く持ってこの状況をしっかり把握して頑張ります」

 4日の東京・国立競技場で行われたニュージーランド戦前日の公式練習。エースナンバー10をつける香川真司は大勢のメディアに囲まれる中、一つの覚悟を口にした。2014年に入ってから所属クラブでわずか3試合(先発1試合)しか試合に出ていない屈辱を晴らし、試合勘を懸念する周囲の雑音を振り払うため、ブラジルW杯イヤー初戦となるこの一戦で明確な結果を残すことを改めて誓ったのだ。

 その意気込みはキックオフ直後から全面に出た。いつも通り、岡崎慎司、本田圭佑と並んで2列目左に入った香川は、開始早々から積極的にボールに絡み、攻撃を組み立てようと試みる。そして4分、相手ディフェンスラインの裏に絶妙の浮き球のパスを送る。ここに走りこんだ岡崎がDFに体を入れられながらも泥臭く滑り込み、右足で待望の先制点を挙げた。

 いきなりの1アシストに気をよくした背番号10はこの2分後、本田の縦パスを受けてペナルティーエリア内に侵入。マルセイユルーレットという大技を出して相手を抜こうとした。これには相手もたまらず足を出し、PKを得ることになったが、「あれは一瞬の判断。一瞬のイマジネーションがかみ合ったし、相手の股を取って、というイメージがその場で出てきた。抜けていればもっとよかったですね」と、創造性とアイディアが凝縮されたプレーだったことを嬉しそうに打ち明けた。
 
 こういう動きが即座に出るのは、調子が上向いている証拠だ。そんな手ごたえがあったからこそ、彼は本田が蹴るはずのPKを「自ら行く」と主張したのだろう。
 
「ファウルを受けた瞬間、真司の方を見たら『行かせて』って言ってきたから、俺も察した。真司の蹴りたい気持ちが俺より勝っていたのかもしれない」とは本田。日頃おとなしい10番がここまで強くゴールへの意志を出したことは、過去の代表戦ではなかった。
 
 シュートはややコースが甘く、GKに触られたが、彼自身の得点への思いが上回ったか、ボールはゴールネットを揺らした。「PKでもゴールはゴール」と本人も目に見える結果を出したことに少なからず安堵感を口にした。
 
 この後も前半17分に岡崎が奪ったチーム4点目の起点となり、21分には大迫勇也とのワンツーから果敢にシュートを狙いにいくなど、香川は貪欲にゴールに迫り続けた。加えて前線からのプレスにも積極的にいき、守備面でも献身的な姿勢を見せた。

 前半の香川は確かに目の色が違っていた。それだけ頭から飛ばしたために、後半になって運動量が激減し、最終的に後半29分に齋藤学と代わることになったが、最初から持てる力の全てを出し切ろう挑み、結果として3得点に絡んだことは、ポジティブに捉えていいはずだ。

「後半、少し体力的に落ちたのは確かに課題。でもホントにピッチで見せなきゃ、結果残さなきゃいけないっていう、ただそれだけだったんで。途中から出ようが、最初から出ようが、とにかくピッチの上でやるだけだった」と香川も熱い胸の内をのぞかせた。

 ただ、今回のニュージーランドが予想以上に歯ごたえのないチームだったことは、彼自身も冷静に捉えている。ウェイン・ルーニーやロビン・ファンペルシーといった超一流プレーヤーと日頃からともに戦っている香川にしてみれば、このくらいはやれて当たり前。相手がW杯レベルになった時にこれ以上のパフォーマンスを出せるかどうかが重要だ。

「正直、もっと強い相手とやりたかったですけどね。相手がW杯に出る国と想定すれば、最初の岡ちゃんへのパスもそう簡単には通っていないと思うし、俺の感覚的には他にも難しいところがあった。もっとトップレベルのプレッシャーや戦いの中で評価されることもあると思いますね」と本人も冷静に自分自身を客観視している。
 
 それでも、今は努めて前向きになることが肝要だ。下を向いていてもマンUでの状況が好転するわけではないし、ブラジル本大会で活躍できるわけでもない。このニュージーランド戦で得た収穫をどう先につなげるか。それが一番重要だと本人も分かっている。

「今はネガティブになるよりはいいところもあったので、それをしっかりと継続したい。この試合をきっかけにするかどうかは自分次第。向こうに帰ってまた厳しい戦いが待ってるし、それを頭に入れてやっていきたい。ホントにシーズンの残りわずかでその後にはW杯もあるので、それも意識しながら自分でやるしかない。僕自身は楽しみに思ってるので、頑張りたいです」

 香川に託された次なる大仕事は、今季無得点にとどまっているイングランドで早く1点目を取ること。その日が早く訪れることを、日本中が待ちわびている。

文/元川悦子

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